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ロボ・ステーション


俺の起業!ロボットベンチャー奮戦記2010―事業拡大に邁進するその後の彼ら
専門学校でロボクリニック復活、来年度は学校との連携で発展を期す―大阪ハイテク・ロボクリニック 大野一廣さん、赤澤夏郎さん

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左は大野一廣院長、右は赤澤夏郎教育顧問""
左は大野一廣院長、右は赤澤夏郎教育顧問

大阪ハイテク・ロボクリニック

院長 大野一廣、教育顧問 赤澤夏郎

〒530-0003 大阪市淀川区宮原1-2-43
http://roboclinic.osaka-hightech.ac.jp(大阪ハイテク・ロボクリニック)
http://www.plen.jp/(PLEN公式サイト)

世界初のロボット専門の診療所として、2006年8月に開院した「アカザワロボクリニック」。ロボットに深い愛情を抱くオーナーの心を察して、修理部門ではなく「クリニック」と命名した同院の思いやりや、丹念な診療・治療は国内外で報道され、当時大きな話題になった。ところが、2008年秋以降の経済危機の影響で、運営母体のシステクアカザワが自己破産を申請し、閉院に追い込まれる。2009年1月のことである。

それでも同年9月には、大阪滋慶学園大阪ハイテクノロジー専門学校の支援のもと「大阪ハイテク・ロボクリニック」として再び開業する。院長には大野一廣さんが再び就任し、システクアカザワのグループ企業である創和の赤澤夏郎代表が教育顧問としてサポートに当たっている。最適な人材により運営されている。

2009年9月に開業した大阪ハイテク・ロボクリニックで診療に当たる大野院長。

2009年9月に開業した大阪ハイテク・ロボクリニックで診療に当たる大野院長。

ロボット学科との有機的な連携を視野に

ロボクリニックでは、前身のアカザワロボクニックと同様の診療方針を掲げている。つまり、『現在販売中、あるいは過去に市販されたすべての民生用ロボット等の診療・治療を行う』。また、ロボットを治療する一般診断科とモーションの改良などを行うリハビリ科からなる診療科目や5,000円の初診療なども踏襲している。

大阪ハイテクノロジー専門学校が開設を支援し、同校内に設置した背景には「ロボット学科」の新設がある。ロボクリニックでの診療や治療を見学することで実際のロボット開発の一端に触れることができ、より実践力を身に付けた学生の輩出につながる。学科との有機的な連携が期待されるからである。また、ロボクリニックの存在はロボット学科そのもののPRにもなり、生徒募集の後押しになることが見込まれることもある。

ロボット学科は、早ければ2010年度からの開講を目指していたが、学科のさらなる広報活動が必要との認識から、大野さんと赤澤さんは「今年度は来年度の開講に向けた準備期間」と捉え、活動している。そこで、問い合わせがあった学生や保護者への学科の説明とともに、力を入れているのが親子ロボット工作教室である。「新大阪からロボットを盛り上げてほしい」という学校側の強い要請があったからでもある。

工作教室といっても、参加者にはモータと電池などの素材を提供するが、身近な材料を用いての機構部品の設計・製作や電子工作などは、それぞれの創意工夫に委ねている。リピーターが多く、「子供以上に熱くなってデザインなどに凝る親御さんや、めきめきと腕(工作力)を上げている小中校生がいますよ」と、大野さんは盛況ぶりを強調する。
 もちろん、工作教室の開催はロボット学科の広報という側面もあり、参加者には楽しんでもらうことを大切にしている。そうした配慮があっての盛況でもあるが、ゆくゆくは「参加した子供たちがロボット学科を受講してくれれば」(赤澤さん)と期待を寄せている。

大阪ハイテクノロジー専門学校内に設けられた大阪ハイテク・ロボクリニック。毎週水曜・土曜日に、ホビーロボットなどの診察や修理、改良などを受け付ける。ロボット学科にて、診察の見学などを通じて、学生がロボット開発の実際を学習できる場としても活用することもあり、部品の製作や塗装などが行える環境も整備されている。 親子ロボット工作教室で製作した作品の一例。ギヤの仕組みを理解するために製作したクルマやリモコン操作できるクルマなど。左上に写っているのはデスクトップロボット「PLEN」。

(左)大阪ハイテクノロジー専門学校内に設けられた大阪ハイテク・ロボクリニック。毎週水曜・土曜日に、ホビーロボットなどの診察や修理、改良などを受け付ける。ロボット学科にて、診察の見学などを通じて、学生がロボット開発の実際を学習できる場としても活用することもあり、部品の製作や塗装などが行える環境も整備されている。 (右)親子ロボット工作教室で製作した作品の一例。ギヤの仕組みを理解するために製作したクルマやリモコン操作できるクルマなど。左上に写っているのはデスクトップロボット「PLEN」。

2人とも本業でも教育関連に深く関わる

大野さんと赤澤さんは、過去にも紹介したように、それぞれに本業を抱えている。そして、ここでも教育に深く関わり、多忙を極めている。

大野さんは、大阪・日本橋まちづくり振興の事務局長を務めており、電子部品や関連商品を扱う店舗および企業から構成される「日本橋でんでんタウンロボット連絡会」の事務局担当として、ロボット市場の創生および人材育成に関わる事業の一環として電子工作教室の運営に携わっている。工作教室やロボット工作教室の開催を通じて、子供や親御さんに街に足を運んでもらい、各店が取り扱う電子部品を購入してもらうことで商店街の活性化を図る。同時に、次代のモノづくり人材を輩出することでロボット産業の活性化を図る、というチャレンジングな目標を掲げている。

教室は、おもに知的財産に関するマナーも身に付けられる、小中学生を対象にした「でんでんタウン電子工作教室」(※1)と、その上位版に当たる「でんでんタウン発明ロボット塾」の2つを開催している。
 後者は昨年4月からスタートした教室で、ラジオの製作やセンサ基板の製作をはじめとする電子工作から、市販ロボットキットの改造、からくり人形の製作、さらには「ロボカップジュニア大阪ノード大会」の参戦まで取り組む。「参加対象は小中学生だが高専レベルのロボット工学の習得を目指すという野心的な内容」(大野さん)になっている。参加者は昨年の16名から今年は18名に拡大しており、上述のチャレンジングな目標に向け一歩ずつ前進しているようだ。

※1:例えば、他人のアイデアを拝借するときは、その人に必ず許可を得るように指導しており、工作を通じて知的財産権の基礎を学習できる仕掛けも組み込んでいる。

電子工作教室の上位版として開講した「でんでんタウン発明ロボット塾」。参加対象は小学生から中学生と従来と同じだが、高専レベルのロボット工学の習得を目指すという野心的な内容が特徴である。

電子工作教室の上位版として開講した「でんでんタウン発明ロボット塾」。参加対象は小学生から中学生と従来と同じだが、高専レベルのロボット工学の習得を目指すという野心的な内容が特徴である。

一方、赤澤さんはロボライズ(※2)が運営するロボット教室でも教鞭を執るかたわら、デスクトップロボット「PLEN(プレン)」の教育版の発売に向け動き出している。
 私立校では生き残り(生徒集め)に向けた競争が激しさを増しており、他校との差別化を図るために、また、学校の魅力の一端を伝えるために、学内で使用する機材や教育教材にコストをかけるところが多い。例えば、学内のパソコンを「Mac」に統一したり「iPad」を提供したりするといった取り組みである。
 ロボット教育教材であれば、制御基板やサーボが剥き出しになっている無骨なものよりも、PLENのように愛らしい外観を備え、滑らかなモーションが行える方がよいわけで、低価格の2足歩行ロボットが多数あるにもかかわらず、25万円もするPLENを採用する学校があるという。このような"こだわりの強い"私立校に向けた提案を計画している。

※2:兵庫県の川西市を拠点にロボット教室を運営する企業。ロボットコースと科学技術コースを用意しており、前者では自分で考える練習をしてもらい、達成感を積み重ねることで意欲や創造力を向上したり興味を広げたりする。後者では、実験を通じて理科の概念や法則に触れてもらい、身体を使って習得してもらうことで基礎力・応用力を養成する。ロボットに触れてもらうことを通じて、科学への興味、理解を深める仕組みになっている。ロボット科学教育の手法に共通するところがある。

デスクトップロボット「PLEN」。全身に計18軸の関節自由度を備えており、20種類以上のモーションが滑らかに行える。サーボモータにはラジコン飛行機のラダー用のものを使用している。可動域は150度だが、モーションの工夫により可動制限を感じさせないダイナミックな動作を可能にしている。また、PLENはBluetooth対応のau携帯電話から操作が行える。 昨年開発したPLNE用の3次元シミュレータ。ダウンロードしたモーションやプログラミングした動作を画面上で事前に検証することができる。Webブラウザ上で楽しんでもらうことを意図して開発した。教育向けには、これをベースに直感的な操作でプログラミングができるものを用意する。"

(左)デスクトップロボット「PLEN」。全身に計18軸の関節自由度を備えており、20種類以上のモーションが滑らかに行える。サーボモータにはラジコン飛行機のラダー用のものを使用している。可動域は150度だが、モーションの工夫により可動制限を感じさせないダイナミックな動作を可能にしている。また、PLENはBluetooth対応のau携帯電話から操作が行える。 (右)昨年開発したPLNE用の3次元シミュレータ。ダウンロードしたモーションやプログラミングした動作を画面上で事前に検証することができる。Webブラウザ上で楽しんでもらうことを意図して開発した。教育向けには、これをベースに直感的な操作でプログラミングができるものを用意する。

PLENの金型を残していることもあり、外装および構造は2006年の発売時のものを継承する。モーションプログラミングには、一般的なホビーロボットと同様、関節角度を定義して組み上げるモーションエディタを利用するが、すでにあるPLEN用の3Dシミュレータを組み合わせることで、より直感的な操作でプログラミングできるものを用意する。「やはり開発環境も琴線に触れるようなGUIでないと、購入を決断してもらえないでしょうから」と、赤澤さんは開発へのこだわりを説明する。アカデミーパックとして15万~16万円での提供を予定している。

ゆくゆくは新大阪をロボ人材の供給地に

それぞれに本業を抱えるが、ロボクリニックの存在感をより一層高めるうえで、まずは来年度の学科の開講を成功させる必要がある。
 現在は、学校側と協議をしつつ、生徒の募集に向けた方策を検討している。具体的には、在阪のロボット関連企業に一定期間研修生として勤務できるインターンシップ制度を設けたり、他の新設学科と同様、関連学科と連動性を強くすることで資格取得につなげたりするなどである。「専門学校では、就職というきちんとした"出口"を提示することが求められる」(赤澤さん)ことを踏まえて議論している。

このように、就職に強い(就職の内定率が高い)ことを提示するためには、産業界といかに密接なつながりを持っているかが重要になる。「ロボクリニックを通じて産業界との関わりを深め、関連企業に生徒を送り出せるような関係性を築きたい」と、事務局担当は話す。また、「こうしたかたちで学生さんに還元できる仕組みにしたい」と続ける。

学校側としては、ゆくゆくは医療・福祉・生活支援ロボットの開発に携わる人材を養成し、同校がある新大阪を「ロボット人材の供給地に成長させたい」(同)との意向を抱いている。ロボクリニックや親子ロボット工作教室を通じて社会や地域との関係性を深め、来年度開講のロボット学科と有機的につながれば、その可能性は十分ある。
 ここ最近、大阪を含めた関西地域において、ロボット産業を興そうとする熱気が落ち着きつつある。それだけに、赤澤さんは「ロボット産業に関わる1人して、ロボット学科の開講という明るい話題を提供したい」と意気込む。その第一歩となる開講に至ることで、ロボット人材の拠点へと成長してほしいと願う。

(取材&テキスト作成:ロボナブル編集部)


掲載日:2010年9月21日

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