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ロボ・ステーション


ロボットビジネス勝利の方程式を探る!
「巧みな教育カリキュラムにより顧客満足を得る」 ―顧客ニーズを捉えた教育ビジネス【ロボット科学教育】【JAPAN ROBOTECH】

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(株)ロボット科学教育(Crefus)
代表取締役社長 鴨志田英樹

〒227-0063
横浜市青葉区榎が丘1-6(青葉台校)
http://www.crefus.com/index.html


(株)JAPAN ROBOTECH
代表取締役 河野孝治

〒812-0025
福岡市博多区店屋町4番18号
http://www.japan-robotech.com/


ロボットの開発では、メカニズムに加え、ハードウエアおよびソフトウエアに関する総合的な知識や技術(システム設計技術)が求められる。ゆえに開発したロボットから、その技術者の現在の技術レベルを判定することができ、ロボットが教育に活用されることにつながっている。

ロボットを活用した教育事業は、非産業分野におけるロボットビジネスでは、数少ない成立しやすい分野と言われている。子供がロボットに触れ、試行錯誤を繰り返すことで問題解決力が養われるという効果が認められているからであり、また、親は子供のためなら投資を惜しまないからでもある。

この分野でパイオニアと言われるのが、ロボット科学教育(Crefus)である。巧みな教育カリキュラムにより理数系の教育で大きな成果を上げている。また業態は異なるが、JAPAN ROBOTECHも、同様に教育カリキュラムを用意することで、自社の教育教材ロボットの販売につなげている。両社に共通するのは、顧客価値を捉えた教育カリキュラムにより業績を上げていることであり、教育事業においても、それを捉えることの重要性に気づかせてくれる。

子供たちが喜々として学習に取り組む

Crefusは2003年に設立した学習塾である。高度な理数系の知識を楽しみながら習得できるロボット製作のカリキュラムを開発し、教室の全国展開を果たしている。2003年7月の目白教室の開校に始まり、いまでは直営校が18教室、FC加盟校は24教室にまで拡大している。全国各地へのFC展開によるロイヤリティ収入により経営は安定しているという。また、小学1、2年生を対象とした「Crefus Junior Elite(クレファスジュニアエリート)」も開校している。

ロボット科学教育の授業風景。子供たちはロボット製作を通じて、探求心や論理的な思考能力を養っていく

ロボット科学教育の授業風景。子供たちはロボット製作を通じて、探求心や論理的な思考能力を養っていく

授業内容は、ロボット製作を中心とした実習形式となっている(※1)。子供たちにはその日の課題が与えられており、インストラクターとともに解決していく。ロボットにはLEGO社の「LEGO MINDSTORMS」を利用している。
 教科書には、テキスト兼ノート代わりになるワークシートを利用している。そこには、その日の課題やサンプルプログラム、問題点を見つけるためのヒントなどが記載されている。また、ロボットの光センサの測定結果などを書き込めるようになっており、期末の発表会に役立てられるようにしている。実は、Crefusがビジネスとして成功している最大の要因が、この教科書にあると言われる。

子供たちはロボットを製作し、サンプルプログラムを利用してロボットを動かし、試行錯誤しながら課題をクリアしようとするが、最初はなかなかうまく動かない。そこで、ノートに記述されているヒントを参照することになる。そこには、その日の課題に関連するロボットの問題点や、算数や理科の教科書で記載されている原理・原則、重要な公式などが記されおり、これらを参照することでロボットの動作改善につなげることができる。
 つまり、ロボットをうまく動かすために算数や理科の教科書で書かれている内容を学習し、それを参考にロボットの動作改善に結び付け、課題を解決する喜びが得られる、という仕組みが盛り込まれているのである。単に理科や算数の公式を暗記させられるのは苦痛になるが、このようなスタイルで学習できれば楽しいうえ、身体を使って確実に記憶することができる。

また、このような学習スタイルは、親の満足度の向上にもつながっている。親が子供を学習塾に通わせる理由の1つは成績が良くなってほしいからだが、それでも、子供が長時間にわたって、つまらなさそうに学習している姿は、親には耐え難い。しかし、子供たちがロボット製作を通じて喜々として学習している姿を見ると、親もうれしくなるばかりか満足感も得られる。実際、子供が家に帰って塾で学んだことを楽しそうに話してくれることが多く、それに喜びを感じている親は多いという。

Crefusでの学習は、あくまで理数系の教育であり、受験での成功を約束しているわけではない。が、子供の理科離れや詰め込み教育に疑問を持つ親は多いようで、そうした人たちに新しい教育スタイルとして提示し、共感を得たことも成功の要因にあると考えられている。

Crefusの教育ビジネスは早い段階から高く評価されており、「平成16年度 第1回よこはまビジネスグランプリ」(横浜市主催)では「優秀賞」「よこしん賞」「かわしん賞」の三冠を獲得。最近は、これまでの教育活動などが評価され、神奈川県による「次世代ロボット検定事業」にてロボット検定向け実技試験用キットの開発を受託したほか、経済産業省の「地域資源活用新事業展開支援事業」の認定を受け、小学~中学校向けロボット教材「DREAMS」の開発にも取り組んでいる。

※1:Crefusでは「LEVE1」「LEVEL2」「LEVE3」の3つのコースを設けている。レベル1は小学3年生~6年生を対象に、「ロボット」を題材としたモノづくりを通してメカニズムの基礎学習、プログラミングの基本、モノづくりに必要な算数、物理、電気の基礎について学習し、ロボット競技会を通して学習成果の発表を行う。LEVEL2は中学生を対象に、自律型ロボットの製作、自己設計によるロボットの改造、通信・画像認識・データロギングなどによるロボット制御の基本を学ぶ。さらに多足歩行ロボット製作を通して本格的なプログラミングを学習し、学習成果の発表としてファーストレゴリーグに挑戦する。そして、LEVEL3は高校生を対象にした授業で、ヒューマノイド型ロボットの製作を通じてメ機械力学やメカトロニクス、フィードバック制御、プログラミングを学習する。

秀逸なカリキュラムを実施するためのロボット

上述のCrefusと同様、九州のベンチャーであるJAPAN ROBOTECHも教育カリキュラムをうまく活用して業績を伸ばしている。
 同社が開発・販売するロボット学習教材「ROBO DESIGNER」(※2)は2007年の上期には累計販売台数1万台を達成し、「ひそかに最も売れているロボットの1つ」と言われるほど、全国の大学や高専で普及している。

※2:コントローラボードRDC-101には、フリースケール・セミコンダクタ社のM68系8ビットマイコンをカスタマイズしたマイコンを搭載している。このほか、DCモータ用フルブリッジドライバを2個、I2Cメモリを1個、LEDを4個搭載している。また、タッチセンサと赤外線フォトトランジスタをそれぞれ2個搭載し、ギヤボックスを一体化したモータ2個が付属している。
 また、組込み技術者向けには、「SYSTEM CREATOR」を提供している。マイコンボードや書き込みボードセットなどを備えており、実務で利用することができる。C言語プログラム開発環境「SC7000」も用意している。

ROBO DESIGNER Platformセット

ROBO DESIGNER Platformセット

同教材は、コントローラボードとアクチュエータ、センサおよび数点のロボットパーツ、専用の開発環境「TiColla(ティコラ)」から構成される。ユーザーはコントローラとセンサ、他のパーツ類とを組み合わせることで、簡単に自律型車輪駆動のロボットを製作することができる。
 TiCollaは、小学生でもアルゴリズムを習得できるよう、「タイル」と呼ばれるオブジェクトを組み合わせることでプログラミングができるソフトウエアである。フローチャートの「処理」や「判断」を表す図と同様に、タイルを扱うことができる。また、本格的なC言語プログラミングができる開発環境「TiColla CDE」も用意している。

TiCollaのハードウエア設計画面(左)と TiCollaのプログラム作成画面(右)。タイルを組み合わせることで簡単にプログラミングができる。

TiCollaのハードウエア設計画面(左)と TiCollaのプログラム作成画面(右)。タイルを組み合わせることで簡単にプログラミングができる。

このようなセットで構成されながら、税込みで9,975円(オリジナルロボット製作セット「ROBO DESIGINER RDS-X01」の場合)という超低価格で販売されている。この価格は同教材が注目される要因になっており、また、販売数の拡大にも寄与している。しかし、販売台数を伸ばしている最大の要因は、教育カリキュラムを完備していることにある。

最近は、様々なメーカーからロボット学習教材が販売されている。ところが、どれも教材とカリキュラムが一体となったかたちで販売されていない。先生自らが教材に合わせてカリキュラムを作成して、授業に臨まなければならない。何かと多忙な先生にとって、大変な作業になるのは想像に難くない。特に、生徒指導も課せられている高専の先生には、その作成は困難と言える。

一方、同教材にはカリキュラムやティーチャーズマニュアルが用意されている。これらはROBO DESIGNERを使って授業を実施した先生が用意した資料などをもとに作成されており、学習要点をきちんと押さえているうえ、授業でそのまま活用できる構成になっている。多忙な先生にとっては、まさに至れり尽くせりである。したがって、授業で使える有益なカリキュラムがすでにあり、それを実施するためにはROBO DESIGNERが必要になり、結果、上述の販売台数につながっていると言えよう。「ROBO DESIGNERの価格ばかりが注目されるが、カリキュラムの完備に販売増の要因がある」と、河野孝治社長自身も認める。

同教材は、開発に早稲田大学の高西淳夫教授をはじめとする著名なロボット工学の先生方に加わってもらい、テスト授業を実施しながら仕様の過不足を検証し、各先生の要望を取り入れ、教育現場で使える教材に仕上がっている(※3)。これだけでも十分に売れる要素を有しているが、顧客となる現場の先生の事情を考慮してカリキュラムやティーチャーズマニュアルを用意したことにこそ成功の要因があり、JAPAN ROBOTECHの評価につながっているのである。

JAPAN ROBOTECHでは早大・高西教授と共同で倒立二輪タイプの教育教材「MiniWay(ミニウェイ)WV-007]を開発し、5月末の販売を予定している。無線通信ユニットとデータ収集MMC(マルチメディアカード)を搭載するフルスペックタイプと基本構成タイプの2種類を用意したほか、教育内容に幅を持たせるために応用例の開発にも取り組んでいる。発売前にもかかわらず、大学院から高専まで多くの注文を受けている。

5月末には発売予定の倒立二輪タイプの教育教材ロボット「MiniWay(ミニウェイ)WV-007」(右)。
制御基板には、STマイクロエレクトロニクス社製ARMコア採用の32ビットマイコン「STM32F103」(左)を搭載し、AMRプロセッサの習得に役立つ。また、専用のシミュレータに加え、J-TAG、オシロ計測端子、無線通信ユニットなどを備えており、教育教材として基礎から応用まで幅広く活用することができる。

5月末には発売予定の倒立二輪タイプの教育教材ロボット「MiniWay(ミニウェイ)WV-007」(右)。
制御基板には、STマイクロエレクトロニクス社製ARMコア採用の32ビットマイコン「STM32F103」(左)を搭載し、AMRプロセッサの習得に役立つ。また、専用のシミュレータに加え、J-TAG、オシロ計測端子、無線通信ユニットなどを備えており、教育教材として基礎から応用まで幅広く活用することができる。

※3:ROBO DESIGNERの教育効果は広く認められており、その効果判定の1つとして、久留米工業高等専門学校の熊丸憲男氏と中野明氏は、同教材を用いたモデル分析力に関する実験を実施している。
 福岡大学工学部電子情報工学科の3年生に協力してもらい、講義とロボット製作を行った「実験群」(22名)と、何も行っていない「統制群」(11名)に分け、講義開始前と講義終了時にモデル分析力に関するテストを実施して、その変化を調査した。
 テストは、一般的な物理系の文章問題からパラメータを抽出するもので、正しい物理現象を捉えている解答ひとつにつき1点を与えている。問題例および解答例は、以下の通りである。

 ・問題例:観覧車に乗った状態から、下を通りかかった友達に、物体Xを投げ渡そうと考えています。正確に渡すためには、どのようなことを考慮しますか?

 ・解答例:友人までの距離、友人がいる方向、友人の移動方向、友人の移動速度、物体Xの重さ、物体Xの形状、風、空気抵抗、観覧車の直径、観覧車の回転速度、観覧車の現在の回転角など。

 調査結果によると、「統制群」は講義開始前に実施したテストの平均点が5.72。終了後は5.91だった。これに対し、「実験群」は、講義開始前の平均点が7.53だったのに対し、終了後は14.88にまで上昇したという。モデル分析力の上昇が見られ、ロボット製作と講義が、その能力の育成に有意であることが報告されている。
 (参考文献 熊丸憲男、中野明 : 小型ロボット製作における教育効果測定について,日本ロボット学会誌,vol.24,No.1,pp.20―pp.24,2006.)


掲載日:2010年4月26日

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