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ロボ・ステーション


ロボットビジネス勝利の方程式を探る!
「ロボットをつくらないロボットビジネス」を提示-経験を生かしたビジネスモデルと確かな価値分析【ロボリューション】

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(株)ロボリューション
代表取締役社長 小西康晴

〒592-0001
高石市高砂3-24(生野金属内に併設)
http://www.robot-revolution.com/


現在のロボットビジネスでは、ハードウエア一体型のロボットを開発・販売する企業が圧倒的に多い。確かに、そうしたビジネスもあるだろうが、現状の技術レベルでは十分な価値提供は難しく成立しにくい。特に、資金的なリスクを伴いがちなベンチャーにはなおさら厳しい。ゆえに『ロボットをつくらないロボットビジネス』を模索することの重要性が指摘されている。その代表と言えるのがロボリューションの小西康晴氏で、ロボット分野にウェイトを置いた"独自のコンサルテーション"で実績を上げている。

前職での経験を踏まえたビジネスモデル

「コンサルタント」という言葉の定義は少々曖昧ではあるが、一般には専門的な知識を生かして顧客の業務内容を分析し、業務課題を解決するための指導やアドバイスをしてくれる人というイメージがある。しかし、小西氏のコンサルテーションは相当異なる。

小西氏は以前、大和ハウス工業の住宅床下点検ロボット開発プロジェクトに参画していた。ロボットスーツ「HAL福祉用」のリース販売をはじめ、ロボット事業への取り組みが目立つ大和ハウスだが、住宅床下点検ロボットの技術調査をして作業条件と要素技術を整理し、システム案としてまとめ上げたのは小西氏である。それが結果として、大和ハウスと千葉工大を結び付けることになった。同プロジェクトでは運用マニュアルの作成も行っている。またその後は、以前紹介した村田製作所(ムラタ)の「ムラタセイコちゃん」プロジェクトで、筐体デザインのプロデュースなども担当している(図1)。  このように、単なるコンサルテーションの域を超え、システムインテグレータなど複数の職種を加味した業態(※1)がロボリューションの特徴である。

図1 小西氏がムラタセイコちゃんの開発プロジェクトで担当した業務(図提供:ロボリューション)

図1 小西氏がムラタセイコちゃんの開発プロジェクトで担当した業務(図提供:ロボリューション)

※1:ロボットビジネス推進協議会の石黒周幹事は、サービス分野におけるロボット市場の創出には、サービス事業者の側に立って、かつ、システムインテグレーションという形態でロボット/RT(Robot Technology)システムによる課題解決や代替案を提示するキープレイヤーを「ロボットシステムプロデューサー」と表現している。同社の業態はそれに近い。

小西さんは独立する以前、2002年から05年までムラタの生産技術開発本部に在籍し、グループ企業向けの産業用ロボットの開発に携わっていた。リーダーと開発を立ち上げたが、ほどなくリーダーが異動となり、入社間もない小西さんが独りで開発全体をまとめるという経験を積んだ。また、ロボットを利用する各部署の要望を聞き出して整理し、全関係者に発信するという仕事もこなした。「"ロボットのシステム設計"+"社内広報"という珍しい役割を担っていた」と、小西氏は説明するが、ここでの経験を自身の強みとして見出し、そのままビジネスモデルにしたと言えよう。

また、このような業態を目指したのには、創業した2006年当時はサービスロボット市場の黎明期にあり、システムインテグレータのような存在が必要になるという認識があったからでもある。

2007年6月に逝去された、著名なロボット研究者である首都大学東京の谷江和雄教授は、将来のロボット産業は、RT(Robot Technology)要素メーカー、ハードウエアとして提供するロボットメーカー、これらを顧客ニーズに合わせて設計して提供するシステムインテグレータの3業種による分業体制で運営されることを予想していた(注1)。すでにRT要素技術は数多くあり、また、ロボットメーカーも存在するが、非産業分野におけるシステムインテグレータ(※2)は少ない。ムラタ時代の経験を生かせば、その役割を担うことは十分可能で、図2に示した小西さんのビジネスモデルは、故・谷江教授がイメージした産業構造モデルを継承して描いている。

図2:ロボリューションのビジネスモデル(図提供:ロボリューション)。谷江教授がイメージした産業構造モデル(注1)を継承して描かれている。

図2:ロボリューションのビジネスモデル(図提供:ロボリューション)。谷江教授がイメージした産業構造モデル(注1)を継承して描かれている。

※2:産業用ロボットの分野では、中規模ながら数多くのシステムインテグレータが存在する。産業用ロボットは、他システムと連携することによって機能を発揮する、いわば「半完成品」であり、自動車などのビッグユーザーを除き、彼らがいなければ十分に使いこなせる現場は多くない。ゆえに、彼らの存在が産業用ロボット市場の成長を左右すると言われており、今後、急成長が期待される中国市場が安定するか否かは、彼らがどの程度登場するかにかかっている、と見られている。

(注1)参考文献
谷江和雄 : ロボット市場を立ち上げるために,東芝レビュー2004年9月号, p12,vol.59,No.9, 2004.

機能価値と完成価値の両面からコンサルティング

また、同社が実績を上げているのには、顧客の側に立った、小西氏独自の価値分析によるプロデュース力もあげられる。大きくは「機能価値」と「感性価値」に分けて検討している。
 前者は「機能性」「安全性」「保全性」「耐久性」「信頼性」を指し、これら5項目に関する技術の蓄積が多い企業を、技術的な強みをもつロボット/RTシステム関連企業としている。後者は「デザイン」「こだわり」「調和」「共感」「遊び心」から構成され、これらはユーザーに対し「プラスαの訴求力」を生すとしている。また、すでにモノが溢れる中で、ロボットが既存製品よりも満足させる手段になり得るとも説明している。

図3:小西氏が考えるサービスロボットの価値(図提供:ロボリューション)

図3:小西氏が考えるサービスロボットの価値(図提供:ロボリューション)

筐体デザインをプロデュースしたムラタセイコちゃんでは、後者に力点を置いており、女性デザイナーによる女性視点による「デザイン」、開発秘話を通じての開発陣の「こだわり」の見える化、兄貴分(厳密には従兄弟にあたる)の「ムラタセイサク君」との「調和」、小冊子の配布など顧客から「共感」を得る努力、押し付けにならない「遊び心」を意識してプロデュースしている。結果、ムラタの電子部品を訴求するPR用ロボットでありながら、人に感動を与えたり共感を得たりすることにつなげている。詳細は以前の記事を参照してほしい。

つくるばかりがロボットビジネスではない

2000年以降、地方行政の後押しのもと、「ロボット」という切り口で起業や新規事業の立ち上げを図ろうとする個人や企業が各地に点在する。ところが、ハードウエア一体型ロボットやRT要素の開発を目指す取り組みが多く、小西氏のような業態を目指す例はほとんど見られない。

製造業もサービス業も急速に多様化が進んでいる以上、プロダクトアウト型の企業も必要だが、様々な要素を柔軟に組み合わせてシステムを構成するインテグレーションのような役割も求められるはずなのに、である。やがては、ロボット業界にIT系のシステムインテグレータなどが参入してくることも想定されているが、メカニカルな要素を多く伴うロボット/RTを敬遠するきらいがあり、現段階では目指す企業は数えるほどである(※3)。

※3:組込みシステム開発やシステムインテグレーションを手がける富士ソフトが小型ヒューマノイド「PALRO(パルロ)」を発表して話題になった。が、これは自社で開発・実装した知能化技術の成果を明示する役割も担っており、PALROを通じて、これらの技術を既存製品やシステムに応用展開することを狙っている。

現在も、ロボット産業におけるインテグレータ的な存在はまだ手薄な状態にある。仮に、モノづくり企業での開発経験などを生かしてロボットベンチャーを志すのであれば、小西氏のようなポジショニングをとる方が無難であり、成功への近道と言えるかもしれない。ただし、この業種はユーティリティーであるため重宝される反面、何でも屋になるきらいがある。小西氏のように自身の価値判断を明示し、共感を示す企業と協業する必要があることを断っておく。

(解説:ロボナブル編集部)


掲載日:2010年4月13日

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