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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「無線メッシュネットワークを軸に価値あるソリューションを提供したい」〜通信技術RMRシリーズ、ユビキタス・センサソリューションを提供〜【シンクチューブ】

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海藻 敬之代表取締役

(株)シンクチューブ
代表取締役 海藻 敬之

〒658-0032
兵庫県神戸市東灘区向洋町中6-9
http://www.thinktube.com/

大規模災害に見舞われ、ビルも通信網も崩壊した現場で要救助者を発見し、安全かつ迅速に救助活動をアシストするレスキューロボットの開発が進められている。国際レスキューシステム研究機構(IRS)が開発する「閉鎖空間内高速走行探査群ロボット」がその1つで、2月に「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」(NEDO)のステージゲートを通過し、5月には兵庫県三木市の兵庫県広域防災センターで実証実験を公開した。

実験では、クローラタイプの半自律ロボットが、瓦礫を乗り越えて土管の中を走行したり、対向するロボットを避けて目的地へ移動したりするデモを披露。建築物内で要救助者を探索する、ドアノブ開放機能を持つロボットや、発見した要救助者の位置や状況を遠隔地にいるレスキュー隊員に知らせるロボットが活動した。
 神戸のベンチャー企業・シンクチューブは、これらが収集した各種データのリアルタイム伝送をはじめ、通信技術の提供というかたちで同プロジェクトに参画している。

5月に兵庫県広域防災センターで実施した災害探査ロボット「Kenaf(ケナフ)」の実証実験の様子。被災想定した建物の1階から10階までの階段を遠隔制御により昇降走破。また、被災者の探索なども行った。 シンクチューブはバッテリー一体型のRMRユニット(写真左)とメッシュネットワーク可視化ソフトウエア「MeshVista」を提供。同ユニットをKenafが搭載しており、それが捉えたカメラ映像や各種センサデータをリアルタイムで送信した。

(左)5月に兵庫県広域防災センターで実施した災害探査ロボット「Kenaf(ケナフ)」の実証実験の様子。被災想定した建物の1階から10階までの階段を遠隔制御により昇降走破。また、被災者の探索なども行った。 (右)シンクチューブはバッテリー一体型のRMRユニット(写真左)とメッシュネットワーク可視化ソフトウエア「MeshVista」を提供。同ユニットをKenafが搭載しており、それが捉えたカメラ映像や各種センサデータをリアルタイムで送信した。

災害現場では、通常稼働している通信網の断絶や容量不足などにより満足に通信できないことがある。レスキューロボットの運用では、このような状況下でもオペレータがロボットを遠隔操作したり、画像や音声データをリアルタイムで送受信したりすることが要求され、安定した通信網の確保が欠かせない。
 同社が提供する無線メッシュネットワーク機能(デモでは有線・無線のハイブリッドネットワーク機能を使用)は、複数の通信端末が互いの情報を伝え合い、編み目のようにネットワークを形成する。また、最適な通信経路を見つけ出すことができ、安定した通信を確保することができる。実証実験では各ロボットの安定した動作を支えた。

「当社の技術は黒子的な役割を果たしているので、少々かわりづらいかもしれませんが...」代表取締役の海藻敬之さんは、そう謙遜するが、「この技術がなければ、これらのロボットは十分機能できない」という声がプロジェクトの参加者からあがっている。
 また、「場所を問わずにメッシュネットワークを構築できる」(海藻さん)という特徴から、屋外での映像によるモニタリングや各種センサとの連携による環境モニタリングなど応用範囲を拡大している。

地方から東京へ、有意な技術を発信

シンクチューブは、2001年に海藻さんが立ち上げた企業である。海藻さんは日本IBMでシステムエンジニアとして活動した後、1996年からカリフォルニア大学サンタクルーズ校で無線インターネットの研究に、1998年からはシリコンバレーのベンチャー企業でメッシュネットワークの研究に、それぞれ従事した。その経験を生かして起業した。
 無線ネットワーク、特にユビキタスネットワーク技術に主眼をおいた次世代ネットワークの研究開発から製品化までを手がけている。

独自開発した組込みミドルウエア「Mesh Cruzer」は、Plug&Playによりメッシュネットワークを自動的に構築することができ、同社の主力製品「Rokko Mesh Router(RMR)」に実装されている。また、RMRをエリア内に配置することにより、必要に応じて無線LANアクセス領域を拡大できるという特徴を備える。

Mesh Cruzer(V2)を実装する屋内用無線メッシュルーター「RMR7000-I」。RMRをエリア内に配置することにより、必要に応じて無線LANアクセス領域を拡大することができる。 同じく、屋外用無線メッシュルーター「RMR-7000-O」。

(左)Mesh Cruzer(V2)を実装する屋内用無線メッシュルーター「RMR7000-I」。RMRをエリア内に配置することにより、必要に応じて無線LANアクセス領域を拡大することができる。 (右)同じく、屋外用無線メッシュルーター「RMR-7000-O」。

このような高度な通信技術を有するベンチャーが、地方で起業するのは珍しい。
 「(東京のような)マーケットのど真ん中にいるのではなく、地方から見る方がきちんとニーズを捉えられるのでは?そう逆説的に捉えた結果です」海藻さんは、そう理由を説明する。また、「通信というグローバルに通用する技術を扱っており、海外とのネットワークを重視しています。海外との連携をアピールするのであれば、神戸から東京に向かって行う方が企業として大きな特徴になるでしょうから」そう続ける。
 そんな同社の知名度を向上させたのは、冒頭で紹介した三木市で実施した実証実験である。

実験では1度に1台のロボットしか稼働しなかったが、実際の現場では複数台のロボットが一斉に災害現場を動き回り、情報収集に当たることを想定している。それを支えるのが同社のRMRで、各ロボットに搭載することでそれぞれが「マルチホップ」と呼ばれる飛び石のような役割を果たし、ロボット(=ノード)が移動しても最適な通信経路を算出してメッシュネットワークを構築する。また、無線接続端末のみで構成されるアドホックネットワークと異なり、有線と無線によるハイブリッドネットワークで構築しているため、それに見られる通信の安定性および速度の低下という課題を克服している。映像データ伝送を有線で行うことで伝送容量を確保した。
 加えて、万一有線が切断したとしても、無線通信で代替することにより探索を継続することができる。

NEDOのプロジェクトでは2011年度までとなっており、残り2年弱の間で実用レベルに到達することが求められている。過酷な条件下で、かつ遠隔での運用を強いられるレスキューロボットを自在に制御できるのはこのような特徴によるものであり、同社の技術が実用化に大きく近づけたと言える。

5月の実証実験では、有線と無線によるハイブリッドネットワークを構成。安定した通信を可能にした。また、RMRを搭載した各ロボットは無線中継ノードの役割を果たしており、探索範囲の拡大に寄与した。

5月の実証実験では、有線と無線によるハイブリッドネットワークを構成。安定した通信を可能にした。また、RMRを搭載した各ロボットは無線中継ノードの役割を果たしており、探索範囲の拡大に寄与した。

手段の提供からソリューションの提供へ

RMRの用途はロボットの運用にとどまらず、すでに多くの導入事例がある。山間部や離島など有線によるネットワークの構築が困難な場所での情報網の構築や、道路などの映像モニタリング、各種センサやカメラとの連携による作物のモニタリングなど様々である。船舶の建造時に計器類をテストする臨時ネットワークとしてというユニークな用途もある。

船舶の建造時に構築した計器類テスト用の臨時ネットワーク。鋼板に囲まれた環境では無線の利用が困難だが、RMRを利用すれば、つながりにくい個所に1台を追加するだけでネットワークを構築することができる。設置の簡便さなどが評価された。

船舶の建造時に構築した計器類テスト用の臨時ネットワーク。鋼板に囲まれた環境では無線の利用が困難だが、RMRを利用すれば、つながりにくい個所に1台を追加するだけでネットワークを構築することができる。設置の簡便さなどが評価された。

「RMR」シリーズは、すでに800セットを売り上げており、RMRに関心の高い企業や研究室などに「ほぼ行き渡ったのではないでしょうか」と、海藻さんは分析する。それを踏まえ、今年度はビジネスの拡大を図るため、RMRを軸としたソリューション提供に軸足を置こうとしている。その1つがユビキタス・センサソリューションである。
 「従来の通信という手段の提供ではなく、もう一歩顧客ニーズに踏み込んだ提案を目指す」もので、「何らかの目的を持つ顧客に対し、何らかのシステムと組み合わせることでソリューションに仕立て上げる」(海藻さん)ことを企図している

提案するシステムは、おもに「mesh Tube」(仮称)、「SensorTap」「sensor Connector」から成る。mesh Tubeは非同期マルチキャストを実現するミドルウエア、SensoeTapは複数センサをIPネットワークに接続するソフトウエア、sensor Connectorは各センサ情報を読み取るドライバであり、これらを開発・実装することにより、RMRと各種センサとの組み合わせを可能にしている。現場に設置したセンサ情報をもとにアラートなどを通知したり、Webを介してデータサーバに送信すればログの収集・解析をしたりすることができる。
 すでに大規模工事現場にて、騒音のモニタリングに適用した例がある。工事中に一定以上の騒音や振動を発生しているかどうかを記録・確認するデータロガーの用途で用いられており、RMRで構築したメッシュネットワークで騒音センサの情報を収集し、イーモバイルのデータ通信網公衆インターネット網を介してサーバに送信している。

大規模工事現場での騒音モニタリングに適用したユビキタス・センサソリューションの概要。無線メッシュネットワークにより騒音データをリアルタイムに収集。インターネット経由でモニタリングすることができる。

大規模工事現場での騒音モニタリングに適用したユビキタス・センサソリューションの概要。無線メッシュネットワークにより騒音データをリアルタイムに収集。インターネット経由でモニタリングすることができる。

騒音のモニタリングで構築したユビキタス・センサソリューションの通信網。RMRで構築したメッシュネットワークで騒音センサの情報を収集し、イーモバイルのデータ通信網公衆インターネット網を介してサーバに送信。 騒音のモニタリングで利用した機器の構成。

(左)騒音のモニタリングで構築したユビキタス・センサソリューションの通信網。RMRで構築したメッシュネットワークで騒音センサの情報を収集し、イーモバイルのデータ通信網公衆インターネット網を介してサーバに送信。 (右)騒音のモニタリングで利用した機器の構成。

工事現場をはじめ屋外環境では、いまだに作業者が手作業で記録やモニタリングを行っている。こうした作業の自動化、生産性の向上に寄与することが期待される。また、農業などに利用すれば農作物や土壌などの定量的なモニタリングが可能になり、従来の勘と経験にもとづく農業から脱却を図ることができる。
 このように、各種センサを組み合わせたソリューションとしての提案により、様々な可能性を提示することができる。「広域から有効な情報が収集できれば、生産性の向上や安心・安全の確保に寄与できるでしょうし、そこにビジネスチャンスがあるはずです」と海藻さんは期待を込める。

社名のシンクチューブ(Thinktubu)には、「通信システム上に音声や映像などインテリジェントな処理を載せ、新たな価値を創造する」という意が込められている。「『インテリジェンス』では少々大仰すぎるので『Think』にした」というが、その名の通り、単なる通信技術の提供ではなく、ユビキタス・センサソリューションにより新たな価値の創造を可能にしようとしている。社名に込めた思いが具現化しつつある今年度は、さらなる飛躍が期待されそうだ。


掲載日:2009年8月25日

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