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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「街の活性化はもちろん、ロボット産業の担い手の育成も目指しています」〜連絡会会員の情報交換から工作教室までを展開〜【日本橋でんでんタウンロボット連絡会】

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日本橋でんでんタウンロボット連絡会 代表幹事 蝉正敏さん 日本橋まちづくり振興 事務局長 大野一廣さん
日本橋でんでんタウンロボット連絡会 代表幹事 蝉正敏さん 日本橋まちづくり振興 事務局長 大野一廣さん
日本橋でんでんタウン電子工作教室 指導員 吉谷達嗣さん 日本橋でんでんタウン電子工作教室 指導員 那須章弘さん
日本橋でんでんタウン電子工作教室 指導員 吉谷達嗣さん(左)、那須章弘さん(右)

日本橋まちづくり振興

〒556-0005
大阪市浪速区日本橋4-5-19
TEL(06)6634-5020

日本橋でんでんタウンロボット連絡会は、電子部品やロボット関連商品を取り扱う店舗または企業を中心に、2006年9月に発足した。会員には、これまでに本連載で紹介したダイセン電子工業や共立電子産業、エルエルパレス、ロボットファクトリーなどが名を連ねる。会員同士の情報交換に加え、ロボットに関連する各種イベントの開催に熱心に取り組んでいる。

「本当は、お互いに"商売敵"になるんですが、会員同士で腹を割って知恵を出し合い、でんでんタウンの活性化を図ろうと話し合っています。とにかく、この街に足を運んでくれるお客さんを増やすことが大事なので、他地域の企業さんや商店さんがここで商売をされることを歓迎していますし、連絡会への参加もウェルカムです」
 そう熱心に話を始めるのは、同会代表幹事であり、ダイセン電子工業の蝉正敏社長である。
 2008年5月に、東京・秋葉原の電子部品専門店である千石電商が大阪進出の足がかりとして、日本橋でんでんタウンに店を開いた。ロボット関連商品をはじめLEDやコンデンサ、モータなど豊富な品揃えで、開店当初から話題となった。同店を気に入って足繁く通う顧客が多数おり、結果、日本橋でんでんタウン全体の集客力の向上、街の活性化につながっているという。「連絡会で目指していた成果の1つといえるでしょう」と、蝉さんは胸を張る。

また、同連絡会では街の活性化、さらには将来のロボット産業の担い手を生み出すべく講習会の開催にも力を入れている。会員の有志による手弁当での開催となっているが、継続的な取り組みにより街の活性化に結び付けている。

でんでんタウン電子工作教室での熱心な指導風景。知的財産に関するマナーも学習できる仕掛けを盛り込んでいるのが特徴。 毎年恒例の「出たばっかりの新製品を作ろう!シリーズ」として、このときは新型ミニ四駆を教材に選定。日本橋の専門店で購入したうえで参加。会場にはミニ四駆コースを用意して競い合った。

(左)でんでんタウン電子工作教室での熱心な指導風景。知的財産に関するマナーも学習できる仕掛けを盛り込んでいるのが特徴。 (右)毎年恒例の「出たばっかりの新製品を作ろう!シリーズ」として、このときは新型ミニ四駆を教材に選定。日本橋の専門店で購入したうえで参加。会場にはミニ四駆コースを用意して競い合った。

定例化を通して会員企業の一体感深める

ロボット連絡会では、情報交換を通じて会員同士の相互理解を深めている。そして、互いが保有する技術を理解したり技術の蓄積に役立てたりすることで、会員同士による製品開発に結び付けようとしている。いまはまだ「相互理解を深めている段階」(蝉さん)ではあるが、徐々に腹を割った話が行えるようになり、それに結び付きそうな雰囲気を醸し出している。その重要な場となっているのが、毎月開催している「定例会」である。

定例会では、活動報告や当月の案件の話し合いに加え、ゲストスピーカーを招いての講演会も行っている。定例会の運営、議題の選定やゲストスピーカーの人選は、事務局長の大野一廣さんが一手に行っている。大野さんは、世界初となるロボットクリニック「アカザワロボクリニック」の院長を務めたことで知られるほか、上述のロボットファクトリーの設立に関わるなど、この街では馴染みのある人でもある。
 「定例会では、各会員が新商品の発表やPRの場にしてもらっても構いませんが、継続的に開催するためには多くの会員さんに関心を持って参加してもらうことが大切です。そのため毎月、話し合う議題やゲストスピーカーの人選には結構気を遣っていますよ・・・」
 大野さんは、そんな苦労を抱えつつも前向きに話す。

2月に開催した定例会では、堀場製作所の宇野敏彦センター長を招き、わが国の生産技術や品質管理を語ってもらった。宇野センター長は、電卓メーカー・ビジコムにて4ビットマイコン「4004」の開発、製品化に携わったことで知られ、その後、同社で計測装置の生産工場を立ち上げ、当時の不況を乗り越えたという。いまの経済情勢下での企業経営に役立つ話題だったこともあり、参加者には好評だった。大野さんの苦労が報われたといえよう。
 また驚くことに、ゲストスピーカーにはほぼ手弁当で話をしてもらっており、宇野センター長にもその条件を快諾してもらったという。日本橋でんでんタウンの活性化を図りたいという大野さんをはじめとする会員の熱意が伝わったからであり、会員以外の周囲の人たちも巻き込みつつある活動は、着実に振興に寄与し始めている。

工作教室で発明の喜びと知的財産を指導

定例会の開催と併せ、ロボット連絡会が熱心に取り組んでいるのが「でんでんタウン電子工作教室」である。特許庁の「知的創造サイクル啓発事業」および経済産業局の「発明と工夫に関する出前授業」に関連した教室として実施している。なお、後述する出前授業では委託事業として実施しており、同事業を重視したものとなっている。

小・中学生を対象に毎月開催している電子工作教室では、次代のモノづくり人材の育成を目指しながら、知的財産に関するマナーも学習できる仕掛けを盛り込んでいるのが特徴である。他人のアイデアを拝借するときは、その人に必ず許可を得るように指導しており、工作を通じて知的財産権の基礎を学習できるようになっている。また、発明することの喜びを実感してもらうことも重視しており、課題の提示は、簡単な手書きのイラストを示すだけに留めている。サンプルを提示されないと不安に感じる参加者もいるようだが、ゼロベースから構想することにこそ発明の醍醐味があり、それを実感できるようになっている。

さらに、使用する教材にも工夫を凝らしている。教室ではさまざまな工作にトライしているが、できるだけ家庭で入手できる材料でつくれるように配慮している。特にすもうロボットの製作では、紙コップをベースに割り箸やストローなどを用いてつくる。搭載できるモータはRS130または140が2個、電池には単三電池1個を用いるが、市販のギヤボックスや市販キットは一切使用しない。参加した子供たちは、これらの材料を用いて補強したり、モータの配置を変更することで攻撃ができる工夫を施すことで、それぞれにすもうロボットを強化した。3月の「第5回 日本橋ストリートフェスタ2009」では「ストリートフェスタ場所」を大々的に開催し、予選を通過した参加者が競い合った。

3月の「第5回 日本橋ストリートフェスタ2009」では、すもうロボットによる「ストリートフェスタ場所」を開催。予選を通過した参加者が競い合った。また現在は、小学生ロボコンへの認定活動も展開している。

3月の「第5回 日本橋ストリートフェスタ2009」では、すもうロボットによる「ストリートフェスタ場所」を開催。予選を通過した参加者が競い合った。また現在は、小学生ロボコンへの認定活動も展開している。

同教室で講師を務める吉谷達嗣さんは言う。
 「中学・高校・高専・大学と各年齢層で『ロボコン』が盛んに開催されています。でも、小学生向けのロボコンがなくて、現在、すもうロボットを題材に競技会を『小学ロボコン』に認定してくれるよう各方面に働きかけています。そのためには、まず広げていくことが大切であり、全国どこでも安く入手できる材料で製作できる題材として、このようなロボットを教材に選択しているのです」
 また、同じく講師を務める那須章弘さんは、「相撲は礼に始まり、礼に終わります。日本の国技であり、教育の基本と言えます。すもうロボットには、そんな理由も込められているんですよ」と付け加える。

上述のように、同教室では知的財産教育の一環として取り組んでいるが、日本橋からも予算が出ており、街の活性化も念頭に置いて展開している。毎月30名程度の参加者がいるが、保護者や家族も同席するため、その3倍程度の人が訪れるという。必要な部品があれば日本橋商店街の電子部品専門店で購入してくれるため、結果、街の集客力および売上げの向上につながっている。電子工作教室の運営を通じて、こうした成果をきちんと得ているのは実にしたたかであり、『さすが商人(あきんど)の街!』と感心させられる。

人材の育成もロボット産業の創出には大切

吉谷さんは出前授業も精力的に展開しており、電子工作教室を全国各地に広げている。こちらでは知的創造サイクル啓発事業の受託事業として取り組んでおり、知財教育を重視した内容となっている。教室の後には、各参加者にそれへの理解度を確認している。
 電子工作教室と出前授業を合わせると、その実施回数は年間80回を超えるという。また、指導者向け研修も実施している。

吉谷さんは出前授業も精力的に展開しており、電子工作教室を全国各地に広げている。知的サイクル啓発事業の受託事業として取り組んでおり、知財教育を重視した内容となっている。また、電子工作教室培った指導ノウハウを各地の指導員に伝授している。 吉谷さんは出前授業も精力的に展開しており、電子工作教室を全国各地に広げている。知的サイクル啓発事業の受託事業として取り組んでおり、知財教育を重視した内容となっている。また、電子工作教室培った指導ノウハウを各地の指導員に伝授している。

吉谷さんは出前授業も精力的に展開しており、電子工作教室を全国各地に広げている。知的サイクル啓発事業の受託事業として取り組んでおり、知財教育を重視した内容となっている。また、電子工作教室培った指導ノウハウを各地の指導員に伝授している。

こうした活動の中で、吉谷さんは「電子工作教室で培ったノウハウを惜しみなく教えている」という。参加者に自主的に清掃を促すよう1つひとつの工作机にゴミ袋を設置するといった運営に関わることから、子供の興味を惹き付けたりアイデアを喚起したりするために、とにかく褒めてあげるという指導に関わる内容に至るまでだ。
 吉谷さんは言う。
 「電子工作教室にしても、すもうロボットの取組みにしても、全国に広げていきたいと考えています。だから、ノウハウを開示することに躊躇しないですし、他地域での開催への協力も惜しみません。何より、子供たちがモノづくりに興味を抱いてくれることを期待していますから」
 「でも、これらの取組みの発祥は、でんでんタウンであることだけは忘れないでほしいという条件は付けますけどね」と、付け加える。
 彼らの指導方法はすでに各地へと波及しており、子供たちのアイデアを喚起する内容に、多くの賛同を得ているという。

ロボット連絡会では、広がり始めた電子工作教室の上位版として「でんでんタウン発明ロボット塾」を企画し、4月より開講している。電子工作教室の参加者から広範な技術力の習得を望む声を受けて企画したもので、ラジオの製作やセンサ基板の製作をはじめとする電子工作から、市販ロボットキットの改造、からくり人形の製作、さらには「ロボカップジュニア大阪ノード大会」の参戦まで取り組む。参加対象は小学生から中学生と従来と同じだが、高専レベルのロボット工学の習得を目指すという野心的な内容となっている。

電子工作教室の上位版として開講した「でんでんタウン発明ロボット塾」。参加対象は小学生から中学生と従来と同じだが、高専レベルのロボット工学の習得を目指すという野心的な内容が特徴である。 ダイセン電子工業が開催している「ロボット講習会」。おもにロボカップジュニア大会の参加者をターゲットにしたハイレベルな教室となっている。参加メンバーの中からロボカップジュニア大会の「サッカーチャレンジ」「ダンスチャレンジ」のチャンピオンを輩出している。発明ロボット塾では、同大会への出場を希望する参加者については、こちらへの引き継ぎをすることにしている。

(左)電子工作教室の上位版として開講した「でんでんタウン発明ロボット塾」。参加対象は小学生から中学生と従来と同じだが、高専レベルのロボット工学の習得を目指すという野心的な内容が特徴である。 (右)ダイセン電子工業が開催している「ロボット講習会」。おもにロボカップジュニア大会の参加者をターゲットにしたハイレベルな教室となっている。参加メンバーの中からロボカップジュニア大会の「サッカーチャレンジ」「ダンスチャレンジ」のチャンピオンを輩出している。発明ロボット塾では、同大会への出場を希望する参加者については、こちらへの引き継ぎをすることにしている。

でんでんタウンでは、すでに本連載で紹介したダイセン電子工業が「ロボット講習会」を開催している。おもにロボカップジュニア大会の「セカンダリ・カテゴリ」(15〜19歳未満。プライマリ・カテゴリは14歳以下)の参加をターゲットにしたハイレベルな教室となっており、同大会への出場を希望する参加者については、こちらへの引継ぎをすることにしている。同塾の開講により3段階のレベルの教室が展開されることになり、今後、この街から次代のロボット産業を担う人材がどれほど輩出されるのだろうかと、期待を抱かずにはいられない。

が、「本来、こうした教育は行政が行うべきなんですよね・・・」と、那須さんはこぼす。さらに話し続ける。
 「ここ数年、大阪市ではロボットを次の産業に育てるべく、いくつもの開発プロジェクトを助成してきました。でも、人材育成への取組みはあまりなされていません。本当は、次代の技術者を育成していくことも大切だと考えるんですよね」

ロボット連絡会では、日本橋でんでんタウンの活性化とロボット市場の創出という大きな目標を掲げている。上述の教室は、その一環であり、特に街の活性化にうまく結び付けている。ロボット市場の創出と聞くと、ベンチャーを支援したり新規の開発プロジェクトを助成したりする施策がなされるが、次の世代を担う人材があってこそ新しい産業が創出、育成されるものである。同連絡会の活動は、彼らなりのロボット産業の創出として見逃せない取り組みに感じられた。
 ではあるが、吉谷さんをはじめロボット連絡会の人たちは、「教えるのが楽しいですから!」と、何事もないように話す。上述のような思いがあるとは思われつつも、手弁当ながら熱心に指導を続けられる秘訣が、ここにあるのだと感じられた。


掲載日:2009年5月 7日

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