本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > ロボ・ステーション

ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「まだ誰もやっていない飛行ロボットをいち早く実用化したいです」〜多様な用途が期待される飛行ロボを開発、若手技術者に向けた工学塾も運営〜【創機システムズ】

画像をクリックすると拡大表示します

峯山忠之 技術部長 福山大典 創機工学塾長
峯山忠之 技術部長(左) 福山大典 創機工学塾長(右)

創機システムズ

代表取締役 荻本 健二

〒577-0011
大阪府東大阪市荒本1-4-1
http://www.souki-co.jp/

「ご存知の通り、2足歩行ロボットの開発は多くの企業さんでなされています。また、無人ヘリコプターの開発もすでに行われています。まだ誰も手がけていないようなロボットを開発したいという思いがあり、取り組み始めたのです」  飛行ロボットの開発で注目される創機システムズの峯山忠之技術部長は、開発の経緯をこう切り出す。

同社は、今年の3月1日に創立2周年を迎えたばかりのベンチャー企業である。社員のほとんどが20〜30歳代と非常に若い。峯山さんは前職を退職後、荻本健二社長に声をかけられ、上述のような強い思いから会社の創業メンバーに加わった。創業当初は、後述する受託開発と工学塾の運営(担当は福山大典塾長)を事業の柱にしているが、3つの目の柱として新たに取り組んでいるのが飛行ロボットの開発である。

創機システムズが開発している飛行ロボット。GPS信号を利用して位置制御を行い、また、ジャイロセンサで検出した情報を利用することにより安定した飛行を実現している。

広い用途が期待される無人飛行型ロボット

開発している飛行ロボットは重量が約6.5kgと、1人で持ち運べる程度の小型機である。メインコピュータのほかGPSや姿勢制御のためのジャイロセンサを搭載している。現システムではGPS信号を利用して位置制御を行い、ジャイロセンサで検出した情報を利用することで安定した飛行を実現している。
 将来的には、目的地まで飛行したら、搭載した移動型ロボットやセンサ類をパラシュートで投下し、飛行ロボットが母機としてロボットやセンサから送られてくるデータを中継することで、広範囲な監視を行うことを目指している。
 実用化されたときには、森林火災や火山など災害現場での監視用途での利用が期待される。また、災害時はパイロットの確保などの問題から、ヘリコプターの運用が困難な場合があるが、飛行ロボットであれば、飛行経路を設定しておくだけで目的地まで自律飛行し、必要な情報を収集することができる。

飛行ロボットの運用イメージ。目的地まで飛行したら、搭載した移動型ロボットやセンサ類をパラシュートで投下し、飛行ロボットが母機としてロボットやセンサから送られてくるデータを中継する。移動型ロボットなどをモニタリングすることにより、広範囲な監視を可能にすることを目指している。

ほかにも、画像処理を組み合わせることで測量に役立てたり、崩落の危険がある斜面に小型センサを多数投下することで地形の変化を定期観測するといった用途も考えられる。
 「近い将来には、各自治体で保有してもらい、災害などの緊急時での活用のほか上空からの河川や森林の管理などにも活用してほしいと考えています。山間部などでは不法投棄などの問題を抱えていますが、このような監視にも十分に役立つでしょうから」
 峯山さんは、飛行ロボットの応用展開について、そう期待を込める。

開発にチャレンジする中で新たな技術を蓄積していきたい

峯山さんと福山さんたちは、大阪府が所有する大阪湾岸エリアを中心に、これまでに40回程度の飛行テストを実施している。こうした実証試験においては大阪府や大阪市のロボットラボラトリー、ネオクラスターの支援と協力を得ており、これらの機関に対して「非常に感謝している」と峯山さんは話す。

ここでの試験では滑走路から飛行しているが、山間部のような狭い場所でも運用できるよう、自作したランチャーから発射するテストにも取り組んでいる。ランチャーのゴムで飛行ロボットをドーンと押し出し、帰還してきたらトンボを捕まえる要領で、ネットで回収するというものである。同社のサイト上では、ランチャーから飛行機が飛び出すシーンや、飛行機に搭載したカメラで地上を撮影した様子を動画で閲覧できる。小型とはいえ、エンジン音を轟かせて飛び立つシーンはなかなかの迫力だ。
 ただし、「かなり軽量に設計しているので、うまく回収ネットでキャッチできないと、すぐに故障や破損につながってしまって・・・」と峯山さんは苦笑する。同社の研究室の片隅には、破損した機体がいくつか横たわっており、試行錯誤の跡が伺える。用途の広がりを望むには、このような運用試験は必須であり、今後の改良に期待したい。

ランチャーからの発射テストの様子。ランチャーは、市販のはしごなどを改良して製作した。ここから飛行ロボットを発射することにより、山間部のような狭い場所での運用を可能にしようとしている。

また、離着陸の改善に加えロボット本体にも、用途の広がりを考慮して本体構造には工夫を凝らしている。すなわち、機能のユニット化である。センサ信号などを処理・制御するメインコンピュータ搭載ユニットを設置したときは自律飛行し、移動ロボットなどを搭載する投下ユニットを設置したときはラジコン飛行を行う。機能ユニットの入れ替えにより用途や運用場所に適した飛行ができ、多様なニーズへの対応を可能にしている。
 現在の技術レベルなどを考慮して、このような構造を持たせたとのことだが、「将来的には、これらを統合することも考えている」(峯山さん)という。

飛行ロボットの中央部に機能ユニットを設置する。用途や場所に応じて使い分けることを検討している。 移動型ロボットの投下実験の様子。パラシュートを用いて地上に投下する。パラシュートの左右の紐を操作することで、目的地付近に降下させることを検討している。

(左)飛行ロボットの中央部に機能ユニットを設置する。用途や場所に応じて使い分けることを検討している。(右)移動型ロボットの投下実験の様子。パラシュートを用いて地上に投下する。パラシュートの左右の紐を操作することで、目的地付近に降下させることを検討している。

このような特徴を持つ飛行ロボットに対し、すでに具体的な開発案件が寄せられているという。大きな関心を寄せている企業の1つが関西電力で、鉄塔の保守点検や監視への利用を検討している。鉄塔の周囲を飛行することで画像情報を取得し、画像処理により設計情報と照合するというものである。鉄塔の経年変化などの確認に役立つことが見込まれる。「現在は、取得した画像情報の計測精度を検証しており、技術のつくり込みをしている段階」(峯山さん)だが、有望な用途の1つとして期待される。

なお実用化に向けては、磁気センサの利用により自己位置推定をすることで、より精緻な飛行を行うことも検討しているが、「特に開発スケジュールは設けていない」という。「技術を蓄積し、事業の柱であるIT関連機器を中心とした受託開発に役立てることも意図しているから」であり、関西電力のように「関心を持ってくれる企業さんと継続的なつくり込みが行えるような関係性を大切にしたい」と、峯山さんは話す。

自分たちの技術やノウハウを地元に還元することも大切

説明は後になったが、同社はIT関連機器を中心とした受託開発と工学塾の運営を事業の柱に据えている。他にもPICマイコンボードや各種センサモジュールの開発・販売も手がけている。開発の一例を紹介すると、福祉関連機器メーカーからの依頼で、建具に組込むことができるセンサやマイコンを実装した小型のボードの開発を行っている。

もう1つの柱としている工学塾は、企業の若手社員を対象にマイコンやセンサ技術を指導するもので、2008年度は「中小企業ものづくり人材育成事業」(経済産業省・中小企業庁)の枠組を大阪府立工業高校と共同で実施している。
また学生に向けては、小型ロケットを題材にシステム構築の基礎を学習する教材を、地元大学と共同開発している。さらに2009年度からは、大阪桐蔭高校のロボット講座の担当も予定されている。教材には、クローラタイプのローバーに同社PICマイコンボードを組み合わせたものを利用するとのことで、実践的なカリキュラムになっている。

これらの事業と飛行ロボットの開発を関連づけて、峯山さんは言う。
 「飛行ロボットの開発をはじめ、僕らは普段はエンジニアとして活動しています。でも、僕らが持っている知識を学生さんや若いエンジニアさんに伝え、彼らの可能性を広げてもらうことも大切だと考えています。当社がある東大阪には中小企業が集積しており、そこから開発案件をいただくことがありますが、僕らの支援がなくてもロボットを開発できるようになってくれれば・・・とも思っています」
 また、自分たちがさまざまな支援を受けて飛行型ロボットの開発をしているように、「自分たちの技術を周辺の学生や企業に還元し、地域活性化に寄与したいですね。自分から新しいチャレンジをしたいという意欲を持った人と、ぜひ一緒に仕事ができれば」と続ける。

最後に、峯山さんは飛行ロボットの開発目標について、次のように話してくれた。
 「飛行ロボットは、研究用テーマとして開発しているわけではないので、ユーザーさんの要望を参考に実用的なものにしたいです。ユーザーさんの声も歓迎ですが、僕らと一緒に開発したいという方も歓迎します。工学塾を通じて指導した人たちの中から一緒に働きたいという方が出てきてくれると、とてもいいですね!」


掲載日:2009年4月14日

前の記事次の記事


このページの先頭へ