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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「ロボットの動きにも、直感的なインターフェースにもこだわっています」〜スマートなロボットの操作を提案、PLENの販売にも意欲〜【創和】

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有限会社創和 赤澤夏郎さん

有限会社創和
代表取締役 赤澤 夏郎

〒550-0002
大阪市西区江戸堀1-23-30
http://www.plen.jp/(PLEN公式サイト)

創和は、航空機部品を中心とする機械加工を手がけたシステクアカザワのグループ会社として2004年5月に創業した。『デスクトップホビーロボット』をコンセプトに、協力企業と開発した「PLEN」は2006年8月の販売開始からジワジワと売り上げ、初回生産分の200体を完売した。『PLNE=創和』というイメージを定着させるに至っている。
 「確かに、当社にはロボット開発企業というイメージがあると思います。実際、PLENの販売や、それを使った出張デモを事業の中心に据えていますが、必ずしもロボット事業を企図して起業したわけではないのです。案件に応じて、柔軟に開発ネットワークを組んで対応するという具合に、どんな開発でもこなせる企業として立ち上げたのです」

そう起業の経緯を明かすのは、代表取締役の赤澤夏郎さんである。また、その頃は、システクアカザワの赤澤洋平社長がTeam OSAKAの初代監督としてロボカップに参画するなど、ロボット事業に関わり始めていた。「ただ、システクアカザワは鉄工所ですし、ロボット事業とはイメージがかけ離れています。別組織を創設する方がよいという判断もあり、当社を創設したのです」と、説明を付け加える。

ところが今年1月、システクアカザワは航空機部品の急激な受注減により自己破産を申請する。
 「本当のところ、将来の事業展開に明確な方向性を持っていませんでした。システクアカザワがあったお陰で、それを経由しての開発案件が多くあり、事業を継続することができました。でも、これからはきちんと事業プランを固めていかないといけませんよね!」
 赤澤さんは、そう強い決意を抱いていることを伺わせる。現在も、PLENの販売や出張デモを中心に事業展開をしているが、新たな取り組みとして、直感的なインターフェースの提案にも意欲を示している。

創和やシステクアカザワなどが開発した2足歩行ロボット「PLEN」。全身に計18軸の関節自由度を備えており、20種類以上のモーションが滑らかに行える。サーボモータにはラジコン飛行機のラダー用のものを使用している。可動域は150°だが、モーションの工夫により可動制限を感じさせないダイナミックな動作を可能にしている。

創和やシステクアカザワなどが開発した2足歩行ロボット「PLEN」。全身に計18軸の関節自由度を備えており、20種類以上のモーションが滑らかに行える。サーボモータにはラジコン飛行機のラダー用のものを使用している。可動域は150°だが、モーションの工夫により可動制限を感じさせないダイナミックな動作を可能にしている。

とにかく、もの凄く動くロボットを目指した

赤澤さんらが開発したPLENは、身長約23cm、重量約700gの小型の2足歩行ロボットである。『デスクトップホビーロボット』というだけあり、一般的なホビーロボットと比較すると、かなりコンパクトにまとめられている。全身に計18軸の関節自由度を備えており、20種類以上のモーションが滑らかに行える。使用した各機械部品は、工業製品と同様、厳密に公差を管理して製作されており、ジャイロセンサを搭載していないもかかわらず、ローラースケートなどバランスが要求される動作がこなせる。鉄工所が開発したロボットへのこだわりが垣間見える。

「もともと小さいロボットをつくることを前提に開発を進めました。また、多少価格が高くなっても構わないので、良い意味で期待を裏切る"もの凄く動くロボット"を目指していました。それがデストップホビーロボットの基本精神であり、こだわりになっています」
 上述の仕様になった背景について、赤澤さんはそう説明する。また、「親しみを感じてもらうことも重視していました」と、デザインにもこだわりがあったことを付け加える。

このようなこだわりを実現するために、開発には計13社のモノづくり企業が参画している。各企業にはカスタマイズへの要望などに柔軟に応じてもらったという。
 例えば、サーボモータを提供してくれた三和電子には、自社のラジコン飛行機のラダー用のものを形状変更してもらうことで対応してもらった。PLENに搭載するのにサイズが適していたことと、金属製のギヤを用いており激しい動きにも耐えられることが採用した理由であるが、「そのほか低トルクに設計変更してもらうなど随分協力してもらいました」(赤澤さん)という。また、200体の少数生産にもかかわらず、樹脂部品の滑らかな仕上がりを重視し、わざわざ金型を製作してもらったという。
 13社のうち、大阪市の次世代ロボット開発ネットワーク「RooBO」の会員企業が多数を占めた。ゆえに、「PLENはRooBOで開発したといっても過言ではありません」と、周囲の協力により自社のこだわりが実現されたことを赤澤さんは強調する。

冒頭で紹介した通り、PLENはすでに初回生産分の200体を完売している。国内と海外でほぼ100体ずつ販売したとのことで、海外での人気が高い。発売当初は、動画投稿サイト「YouTube」の米国版にて紹介され、多いときは月間170万以上の閲覧数があった。海外での人気にひと役買ったと想像される。また、国内では地域のイベントでの出張デモの依頼が多く、なかなかこなせないほどだという。こうした人気が『PLEN=創和』というイメージをより強くしているようだ。

直感的なインターフェースにもこだわり

また、PLENはBluetooth対応のau携帯電話から操作が行えるという特徴も備える。au携帯電話からダウンロードサーバに接続し、希望のモーションをダウンロードしてPLENに転送すれば、さまざまな動きを楽しむことができる。「身近な機器でスマートに操作できることにもこだわっていた」(赤澤さん)とのことで、PLENのCPU開発を手がけたアイ・ビーが提供した。

そして最近は、さらに発展させて、Bluetooth対応のタッチパネル式PDAを用いてPLENを操作する機能を開発している。画面上で指先を直線的に動かすと前進し、円を描くように触れると回転するというタッチパネルならではの直感的な操作を可能にしている。
 一般にホビーロボットの操作は、ゲームコントローラもしくはパソコンを使って行う。複雑なコマンドを入力できる反面、必死に操作をしている印象を与えがちである。タッチパネルでの操作には、これらの操作に見られない簡便さやスマートさが漂っており、新鮮な印象を与える。

PLENの操作が行えるBluetooth対応のタッチパネル式PDA(NOKIA製)。アプリケーションの実装が行えるという理由からNOKIAの端末を選択した。操作にはノーマルモードの「SOCCER」のほか、「DANCE」「SKATE」、箱を持ち抱える「BOX」の4つのモードがある。

PLENの操作が行えるBluetooth対応のタッチパネル式PDA(NOKIA製)。アプリケーションの実装が行えるという理由からNOKIAの端末を選択した。操作にはノーマルモードの「SOCCER」のほか、「DANCE」「SKATE」、箱を持ち抱える「BOX」の4つのモードがある。

赤澤さんは言う。
 「もともとBluetoothを搭載したのは、操作系を単なるコントローラではなく、直感的なインターフェースとして発展させたいという意図があったからです。ですので、開発当初からゆくゆくはタッチパネルで操作できるようにしたいという強い思いを持っていました」
 「今回、開発に至ったのは、オーストリアの『ARS ELECTRONICA(アルスエレクトロニカ)・センター』にて1年間、PLENを出展する機会を得たからであり、お陰で、以前から構想していたことが具現化できました」

DANCEモードのデモの様子。タッチパネル上で指を横方向に往復させると踊り出す。画面上に指を動かした軌跡(グリーン)が表示されるがクールだ。指の動きがダイレクトに反映されるモードのため、赤澤さんにはお気に入りのモードだが、「意外に人気がないんです」(笑)という。 BOXモードのデモの様子。

(左)DANCEモードのデモの様子。タッチパネル上で指を横方向に往復させると踊り出す。画面上に指を動かした軌跡(グリーン)が表示されるがクールだ。指の動きがダイレクトに反映されるモードのため、赤澤さんにはお気に入りのモードだが、「意外に人気がないんです」(笑)という。(右)BOXモードのデモの様子。

ほかにも、ジャイロセンサを搭載したキューブ状のコントローラを用いて、前に転がすと前進したり横に転がすと横方向に移動したりするという具合に、より直感的なインターフェースの開発も検討しているという。「いずれは他の機械の操作にも、このような直感的なインターフェースを提案したいですね」と、赤澤さんはそれへのこだわりを示す。

操作に関連すると、上述のタッチパネルでの操作と併行して、PLEN用の3Dシミュレータも開発している。ダウンロードしたモーションやプログラミングした動作などの事前検証が可能だが、「もともとはWebブラウザ上で、バーチャルなPLENを楽しんでもらうことを意図して開発した」(赤澤さん)。また、すでにイベントで一度取り組んでいるが、将来的には、P2P技術「Skype」を使って、ユーザー同士でパソコン画面越しにPLENを操作することを検討しており、それに向けた取り組みの一歩でもあるという。上述の直感的なインターフェースとは異なるが、新たな操作の提供に向けた、赤澤さんのこだわりは相当のようだ。

最近、開発したPLEN用の3Dシミュレータ。ダウンロードしたモーションやプログラミングした動作を画面上で事前に検証することができる。Webブラウザ上で楽しんでもらうことを意図して開発した。3D描画エンジンには市販のものを用いたという。

最近、開発したPLEN用の3Dシミュレータ。ダウンロードしたモーションやプログラミングした動作を画面上で事前に検証することができる。Webブラウザ上で楽しんでもらうことを意図して開発した。3D描画エンジンには市販のものを用いたという。

とはいえ、まだまだPLENの販売が事業の中心

同社の近況に触れると現在、米国の販売代理店よりPLENにオーダーが寄せられているという。まとまった数の発注が寄せられており、「早ければ4月には再度量産に入れるのでは」という。企業ロゴを入れての提供など法人向けの販売も想定して26万2,500円の販売価格としていたが、現在の案件は個人向けの需要であることから、海外販売については価格を下げることを検討しているという。「そうできるほどのオーダーがあることを期待しています」と、赤澤さんは前向きに話す。

そのほかインターフェースの開発に関しては、「Wii Fit」のようなボード状の装置で操作したり、画像処理によりジェスチャーを認識して操作するといったアイデアがある。また、PLENを操作できるBluetooth対応機器を増やしていくことも考えているという。上述の通り、開発当初より直感的なインターフェースへのこだわりがあり、そのアイデアは尽きないようだ。

直感的なインターフェースのへのこだわりがあり、タッチパネルでの操作のほか、キューブコントローラ、バランスボード、ジェスチャーによる操作など、さまざまなインターフェースを考えているという。ただ、いまはPLENのオーダーが寄せられていることから、「その販売に軸足を置きつつ事業展開を図りたい」と、赤澤さんは堅実な方向性を示す。

直感的なインターフェースのへのこだわりがあり、タッチパネルでの操作のほか、キューブコントローラ、バランスボード、ジェスチャーによる操作など、さまざまなインターフェースを考えているという。ただ、いまはPLENのオーダーが寄せられていることから、「その販売に軸足を置きつつ事業展開を図りたい」と、赤澤さんは堅実な方向性を示す。

とはいえ現在、海外からオーダーが寄せられていることを踏まえ、「当面は、PLENの販売に軸足を置くつもり」。イベントなどでの出張デモをこなし、その傍らで新たな開発に取り組むことになるという。まとまったオーダーがあることは、すなわちPLENの販売に大きなチャンスがあることでもあり、「そう感じているからこそ、PLENのさらなる展開を図りたいです!」と、最後に赤澤さんは力強く話してくれた。

冒頭で紹介した通り、親会社でありPLENを共同開発した、父の赤澤洋平氏が経営するシステクアカザワは自己破産した。同社は大阪市におけるロボット開発において中心的な役割を果たしてきた企業であり、それを惜しむ声が多く聞かれた。それゆえに、新たな販売機会を得たPLENが再度米国で売れることで、明るい話題を提供してほしいと思う。


掲載日:2009年4月 7日

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