本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > ロボ・ステーション

ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「広い空間の管理用途で広く使ってもらえればと思っています!」〜レール軌道型移動ロボットで空間監視管理を提案〜【明興産業】

画像をクリックすると拡大表示します

下土井康晴会長 平出吉孝さん 秋田健太郎さん
下土井康晴会長 平出吉孝さん 秋田健太郎さん


明興産業(株)

代表取締役社長 下土井 克次

〒653-0032
神戸市長田区苅藻通1丁目3番1号
http://www.meikos.co.jp/

「開発しているレール軌道型移動ロボットは、もともとは住宅の床下を点検する床下点検ロボットを想定していたんです。ところが、住宅メーカーからはけんもほろろの反応で・・・。
 でも、人感知センサやスピーカーなどの機能を付加することで、パトロールや監視用途などに応用できます。いまは幅広い用途でのビジネス展開を考えているんです!」
 明興産業の下土井康晴会長さんは、開発するレール軌道型移動ロボットの紆余曲折を、そう振り返る。

床下点検用途に向けて開発していた頃のレール軌道型移動ロボット。現在は、事務所や工場の天井にレールを設置し、パトロールや画像記録など空間監視管理に向けて開発している。写真は、2008年3月開催の「Kobe Robot Meeting2008」(主催:NIRO、神戸市)で公開したもの。

床下点検用途に向けて開発していた頃のレール軌道型移動ロボット。現在は、事務所や工場の天井にレールを設置し、パトロールや画像記録など空間監視管理に向けて開発している。写真は、2008年3月開催の「Kobe Robot Meeting2008」(主催:NIRO、神戸市)で公開したもの。


同社は電鉄関連の組立、電子基板実装などの製造やソフトウエア開発およびメンテナンス、情報通信機器・各種センサの販売と複数の事業部を持つ。ロボット開発に必要なマイコンからソフトウエア開発、外装製作まで自社で行える強みを生かし、2002年頃からロボット事業に参入した。これまでに新産業創造研究機構(NIRO(*))の地域コンソーシアムで、レスキューロボットやトイレ清掃ロボットなどの開発に関わってきた。
 そして現在、事業化に向けて力を注いでいるのが、先に触れた、敷設したレールに沿って巡回して空間を監視する「レール軌道型移動ロボット」である。

*:阪神・淡路大震災による被災地の産業を復興させ、地域の経済を発展させるため1997年3月に設立。産学官連携による新技術・新製品の研究開発と中小企業などへの技術支援により新産業の創造と既存産業の発展を目指している。

震災の経験から床下点検ロボットの必要性を提言したが・・・

レール軌道型移動ロボットは、もともと国際レスキューシステム研究機構(IRS)が取り組んだ「RT応用メッシュネットセンサによるユビキタス防災・防犯システム」(平成18年地域新生コンソーシアム研究開発事業)の一環として開発した。
 このシステムではアドホックネットワークを用いて、現場の状況に応じて自由自在に環境の情報構造化を目指した。空間を隅々まで監視するためには、定められたルートに従ってすばやく移動したり(1次元ロボット)、建物の床を自由に移動したり(2次元ロボット)、さらに上空から俯瞰して広範囲に移動したり(3次元ロボット)と、複数の視点から情報収集することが求められる。
 この研究において同社は1次元ロボット、すなわち、地下鉄や地下街などの閉鎖空間に設置したレール軌道を移動する監視ロボットの開発を担当した。そして、この応用展開を検討し考えついたのが床下点検である。

同社本社を置く神戸市長田区は、1995年の阪神・淡路大震災で最も被害の大きかった地域である。同社も本社ビルは無事だったものの神戸工場や社員寮、本社倉庫に甚大な被害を被った。「大震災を経験しているからこそ、住宅メンテナンスの必要性を痛感しているのです」と、下土井さんは話す。
 震災で倒壊した建築物は取り壊し、半壊の建物は厳重な検査が行われる。しかしながら、一見無事に見える家屋については、必ずしも十分な検査が行われていない。検査時に最も重要になるのは、柱の土台や屋根の基礎がある床下の検査である。ところが、メンテナンスを請け負う工務店にとって、壁面のクラックやドアの歪みなどを確認するのは容易ではない。床下や天井裏など目視での点検が困難な閉鎖空間までフォローできないからである。

下土井さんが工務店に床下点検ロボットのアイデアを話したところ、そのニーズが確実にあったという。そこで1次元ロボットを小型軽量化し、住宅メーカーを対象にしたレール軌道型の床下点検ロボットとして発表したのである。

【床下点検用途に向けて開発していた頃の駆動方式、駆動部およびカメラ機構】

●駆動レール


(左)ラック&ピニオン機構で駆動。レールには工業用カーテンレールを使用し、側面に樹脂成形したラックを付与している。ロボット本体のピニオンドライブ内のエンコーダの情報で点検ロボットの位置特定を行う。(右)床下検査用途を目指していた頃は、床から300mm、幅500mmの空間を一筆書きで走行できる試験用レールを組んで実験を実施していた。

●本体駆動部

駆動部分は機能別化に応用できるようユニット化。※カーブを曲がる際、常にレールと密着するよう、支点軸から扇状に可動するようにしていた。

駆動部分は機能別化に応用できるようユニット化。
※カーブを曲がる際、常にレールと密着するよう、支点軸から扇状に可動するようにしていた。


●カメラ機構


開発当初は、床下で使用することから、薄型化が求められたため、小型のCCDカメラを使用。2つのサーボモータによりパン・チルト機構を持たせていた。

このロボットでは新築時に、床下にレールを設置し、工務店などが必要なときにロボットを持ち込んで検査し、住人に床下の様子を映像で確認してもらうというビジネスモデルを描いていた。ところが、冒頭の下土井さんのコメントにあるように肝心の住宅メーカーから反応が鈍かったという。最近は、数十年程度の長期保証をしたうえで住宅を販売するのが一般化しているが、地震や水害時に床下点検に備えて、あらかじめレールを敷設しておくのは、むしろ住宅への信頼性を低下してしまうというのである。

下土井さんは言う。
 「機械を定期的にメンテナンスするように、家も定期的にメンテナンスするのが当然だと思います。床下点検ロボットのコンセプトには自信があります。しかし現時点では、住宅メーカーさんの床下点検ロボットへの見方は、われわれとは少々異なるようです。
 今後、中古住宅を再販するときに、床下点検をきっちり行い、付加価値をつけるというようなビジネスモデルが確立すれば、状況が変わってくるかもしれませんね」

床下から天井へ。視点を変えることで需要を喚起

このようにニーズの掘り起こしに苦心していたが、床下点検ロボットの発表を目にしたある事業者から、事務所や工場の天井にレールを設置して空間監視管理に使いたいとの提案が寄せられたという。工場内で機械・プラントラインの操業状況や動作状態の監視や管理、異臭や異音の検知といった用途である。
 現在、多くの工場ではカメラなどが設置されるようになっているが、固定カメラを使用しているために死角が多く、十分な監視や管理ができてない。しかし、レール軌道型移動ロボットであれば、敷設したレールに沿って自動的に巡回し、必要に応じて画像を記録したりセンサで異常を検知したりすることができる。細部に至る監視や管理が行える。

提案をもとに開発したレール軌道型移動ロボットは、床下点検のものから大きく仕様を変更している。人感センサや赤外センサ、臭気センサに加え、マイクとスピーカーも付加することで近傍の人との対話機能を可能にした。また、軌道レールに停止マークを設置することで±10mmでの停止精度を可能にし、かつ停止マークの順序を選択することで走行ルートを自在にプログラムできるようにしている。さらに、24時間無停止稼働に備え、バッテリ駆動からレール給電方式(トロリー給電)に改めている。

空間監視用途に向けて開発を進めているレール軌道型移動ロボットの概要。人感センサや赤外センサ、臭気センサに加え、マイクとスピーカーを搭載。軌道レールに停止マークを設置することで±10mmでの停止精度を可能にしている。工場では危険個所の管理や、操業状況の監視や記録などで、店舗などでは、駐車場や店舗、倉庫などの監理・記録などに利用することができる。

空間監視用途に向けて開発を進めているレール軌道型移動ロボットの概要。人感センサや赤外センサ、臭気センサに加え、マイクとスピーカーを搭載。軌道レールに停止マークを設置することで±10mmでの停止精度を可能にしている。工場では危険個所の管理や、操業状況の監視や記録などで、店舗などでは、駐車場や店舗、倉庫などの監理・記録などに利用することができる。


現在、事業化に向けた取り組みを展開しつつあるが、事業者から寄せられている要望で最も難しいのは「目標20m/hでの走行」である。不審者を発見したときに、ロボットが即追跡できるようにしたいという考えによるものだが、それだけの速度で天井付近を走行するために、安全性の確保が必須になる。特にカーブ付近での走行は危険を伴うことが予想される。
 それでも下土井さんは前向きに話す。
 「30km/hという要望もあったんですが、工場内での運用でれば20km/h程度の速度でも十分追跡できるでしょうし、より広大な空間で利用するのであれば、複数台のロボットを運用するのが適切だと思うんです。ロボット単体での性能向上も図れますが、運用方法もきちんと検討することにより解決していければと思います」
 今後は、まずは3月末には試作品を完成し、以降はエンドユーザーの工場に持ち込み、製品のブラッシュアップを図る予定という。

現在の仕様に至るまでには紆余曲折があったが、このように事業化への道が拓けつつある。「狭くて高さ制限もあった床下から、天井をはじめ広い空間へと視点を移したことで活用範囲が大きく開けましたよ」と、下土井さんは明るく話す。
 同社には監視用途のほかにも、病院や図書館での搬送用途や、ディスプレイを搭載することで案内での用途に使いたいといった多様なニーズが寄せられているという。応用範囲はまだまだ広がりそうな様相であり、来年度以降の飛躍が期待されるばかりである。


掲載日:2009年2月 3日

前の記事次の記事


このページの先頭へ