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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「次代のモノづくりを担う子供たちを育てるのが僕らの夢!」〜ロボット教室、ロボコン開催を通じてロボットの街を目指す〜【マテック八尾】

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鈴木謙三会長 温川政佳さん
鈴木謙三会長 温川政佳さん

マテック八尾 ロボット分科会

会長 鈴木謙三

〒581-0081
大阪府八尾市南本町9-1-5(たくみ精密板金製作所内)
http://matecyao.com/

「現在、わが国の中小のモノづくり企業は、海外とのコスト競走を強いられています。ここ八尾市も例外ではありません。このような中で、ロボットという新たな産業に取り組むことになれば、それが緩和されるはずです。だから、従来の仕事の延長となる試作レベルではなく、ロボット産業の創出(=「ロボット産業の生まれ故郷にする」)を志して設立したのです」
 そう熱心に説明するのは、「マテック八尾 ロボット分科会」の会長を務める鈴木謙三さんである。ロボット分科会は、経営・技術交流会・マテック八尾の分科会活動として2004年6月に設立された。現在は八尾市内の中小企業14社が名を連ねている。

このような高い志でもって結成したが、「当初はロボットに関する十分な知識もなければ、具体的な活動プランを立てていたわけではなかった」(鈴木さん)という。しかし、着実に取り組めることから始めた結果、独自のロボット教育教材の開発や、それを用いた教育活動など実績を上げている。八尾発のロボット産業の創出に向け、一歩ずつ進み始めている。

マテック八尾 ロボット分科会が取り組んでいるロボット教室。写真はプログラミングを行っているところ。「八尾ものづくり理解促進プロジェクト」の一環として開発したロボット教育教材「マテック君」を用いて実施した。その後、ITクラフトマンシップなどの枠組みなどで継続的に教室を開いている。

マテック八尾 ロボット分科会が取り組んでいるロボット教室。写真はプログラミングを行っているところ。「八尾ものづくり理解促進プロジェクト」の一環として開発したロボット教育教材「マテック君」を用いて実施した。その後、ITクラフトマンシップなどの枠組みなどで継続的に教室を開いている。


次代を担う技術者の育成でロボットの町に

マテック八尾は、「中小企業想像活動促進法」をはじめとする中小企業支援制度を活用して結成した交流会である。金属加工を中心とするモノづくり企業約40社から構成され、お互いを『知り合い』『使い合い』『創り合い』という運営方針を掲げている。そこから誕生したロボット分科会もこれを踏襲しており、定期的な会合や勉強を通じて進めている。

ロボット分科会の活動としてまず取り組んだのは八尾市長を訪問し、彼らの思いを伝えることだった。設立当初、具体的な活動プランがなかったという理由もあるが、「市民レベルで『ロボットの町』を認識してもらうことにこだわりがあったから」と、鈴木さんは、その理由を明かす。
 「そもそも、『ロボットの町』と言うためには、ロボットに関わりたいと思う人は誰でも参加できる環境と、次代の人材を育てるシステムが必要です。僕らモノづくり企業だけで為し得るものではく、地元の理解と協力が欠かせません。
 こんな僕らの思いを八尾市長に賛同いただくことができ、市の理解と協力が、その後の僕らの活動を後押ししてくれたのです」

市の後押しを受けて、最初に具体的に取り組んだのが教育教材ロボットの開発だった。「八尾ものづくり理解促進プロジェクト」の一環として、2005年の春に「マテック君」として開発。八尾市内の4つの中学校に計300セットを提供した。
 開発したマテック君は、光センサにより白いラインを検知して自律走行する、いわゆる「ライントレースロボット」と呼ばれるものである。奈良高専が毎年授業で利用している、タッチセンサを頼りに壁に倣って走行する「壁つたいねずみ」ロボットを参考につくり上げた(回路基板は奈良高専が提供)。
 併せて、シャシーやギヤなどのパーツはロボット分科会の参加企業が製造し、その工程をビデオ撮影して見せるという活動(映像教育)も行った。普段何気なく目にしている部品の製造工程が理解でき、かつ地元のモノづくり企業を知ることができることから、高い評価を得た。
 「これらを通じてモノづくりの楽しさを知り、興味を持ち、将来的に八尾のモノづくりに寄与してくれるとうれしいですから」。副会長を務める温川政佳さんは、映像教育を加えた思いを話す。

ロボット分科会が開発したロボット教育教材「マテック君」 「マテック君II」 ロボット分科会が開催する教室では、モノづくり教育も行っている。写真は、子供たちに金型を店ながら金型構造を説明しているところ。

ロボット分科会が開発したロボット教育教材「マテック君」(左)と「マテック君II」(中)。奈良高専が授業で利用している、タッチセンサを頼りに壁に倣って走行する「壁つたいねずみ」ロボットを参考に開発。PICマイコン搭載タイプの「マテックII」は、プログラミングの変更により操縦が行えるリモコンモードと自律型のライントレースモードに切り替えることができる。 (右)ロボット分科会が開催する教室では、モノづくり教育も行っている。写真は、子供たちに金型を店ながら金型構造を説明しているところ。

その後、2005年度には「アントレプレナーシップ事業(*1)」(経済産業省)の枠組みにて、2006年度には「ITクラフトマンシップ・プロジェクト(*2)」(同)の枠組みにて教育を実施。2007年度と2008年度の2年間は「八尾ものづくり体験型ロボット教室」という八尾市の事業として、継続的な教育活動を展開している。
 2006年度には会員企業の三ツ星産業が制御部を開発した、PICマイコン搭載タイプの「マテックII」を開発。プログラミングの変更により、操縦が行えるリモコンモードと自律型のライントレースモードに切り替えることができ、より高度な教育を行えるようにしている。

*1:わが国における将来の新規事業の創造・創出の担い手となる、起業家マインドを持つ若者の育成・輩出を図ることを目的とした事業。2002年度から、関東甲信越を中心とした小中高等学校においてモデル授業を実施し、2004年度からは全国の小中高等学校に展開している。

*2:地域のNPOや大学、企業が持つ技術やノウハウを活用して、小中学生に対してIT教育の機会や環境を提供するプロジェクト。地域ごとに継続的なIT人材の育成が行える環境を整備し、わが国のIT産業を支える人材の創出を目指している。経済産業省により公募がなされている。同省では地元産業界との連携のもと、産業界のニーズに即したキャリア教育を行う「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」を展開しており、その一環として取り組まれている。

4年間の活動の集大成として八尾ロボコンを企画

現在、ロボット分科会では「八尾ロボットコンテスト(八尾ロボコン)」の開催を2月に計画している。自作ロボットによる競技会を通じて参加企業が技術力を磨くとともに、地元児童の参加を通じて次代の技術者を育成する場となることを目指している。約4年間にわたって温め続けていた構想で、ロボット分科会の集大成と言える。
 第1回となる今大会は、ロボット分科会の会員企業を中心に計6チームが出場を予定。各チームは、サイズ600mm(縦)×600mm(横)×1,000mm(高さ)、重量30kg以下の範囲で製作したロボットで、フィールド内に設置された箱を3分間でピラミッド状に積み上げるという競技に挑む。

八尾ロボコンの開催に当たり、参加する児童たちを対象に、連動企画として「やおロボット連続教室」を実施している。2足歩行ロボットの組立やマイコン制御などの解説、映像を用いた"本家・ロボコン"の紹介など、2008年9月から1月にわたり計5回開いている。ロボコンの出場経験を持つ奈良高等と奈良先端大学の在校生および卒業生の協力でなされており、参加した児童はかなり鍛えられたようだ。すでに出場チームにそれぞれ配属されており、1月17日には大人たちに混じってロボットの操縦やデコレーションを行う。

八尾ロボコンの連動企画として実施した「やおロボット連続教室」2足歩行ロボットの組立やマイコン制御などの学習を2009年1月まで計5回実施した。

八尾ロボコンの連動企画として実施した「やおロボット連続教室」2足歩行ロボットの組立やマイコン制御などの学習を2009年1月まで計5回実施した。


八尾ロボコンの開催を控え、温川さんは言う。
 「現在は、実際のロボット製作を通じて、会員企業がロボット技術を身に付けることに重きを起きつつあります。ゆえに、まずは八尾ロボコンを開催することが大事であり、次に継続していくことで技術を蓄積できる場へとしていきたいです。
 また協力してくれた、ロボコンへの参加経験のある奈良高専や奈良先端大の学生さんの中には、『またロボコンに出たい!』という思いを抱いているようです。技術者の育成やロボット技術の蓄積ばかりではなく、このような学生さんにとっても意味のあるコンテストに育てていきたいです」

持続的な教育活動にしていきたい!

これまで行ってきたロボット分科会の教育活動により、地元企業、八尾市、学生、そして児童たちとの間で親密なネットワークを築いている。またロボットに興味を持った子供たちが、将来的には技術者へと育っていくというサイクルも、徐々にではあるができつつある。

これまでの活動を通じて、温川さんは「ロボット分科会に参加する企業にも良い影響を与えている」と話す。例えば、「お互いに部品発注を行うなど互いの本業により関心を抱くようになり、市内の中小企業が活性化しています。将来の仕事につながることにも手応えを感じつつあります。マテック八尾では、お互いを『知り合い』『使い合い』『創り合い』という運営方針を掲げていますが、まさに『創り合い』に差し掛かっているように感じているんです」。

また、人材育成については「次代を担う子供たちと、どのように関わっていくのかがカギになるでしょう」と、鈴木さんは話す。そのためには「僕らも、八尾市も、協力してくれる学生たちも、参加する子供たちが何を望んでいるのかがわかり、それを反映した教育システムづくりが必要です。また結果として、関わる八尾市の人すべてにメリットをもたらすことができ、長期的な取り組みになると思うんです。そこにロボット分科会の人材育成の成否がかかっているように感じています」。
 その第一歩として、「まずは八尾ロボコンを成功させたいです!」と、最後に、鈴木さんはそう決意を語ってくれた。

ロボット分科会では、「ロボット産業の生まれ故郷にする」という思いに対し、究極の目標として『未来のお茶の水博士を育てよう!』を掲げている。このような人材育成は一朝一夕に為し得るものではなく、鈴木さんが言うように長期的な取り組みにしていくことが求められる。
 このようなロボット分科会の地元と一体となった地道な活動が実を結び、やがては「ロボットの町」として認知されることを期待したい。

■マテック八尾 ロボット分科会会員
関西クラウン工業社、システックナカハラ、信和工業、高松金属、たくみ精密板金製作所、土谷金属、理化工業、近畿ナルサ、三ツ星産業、川村会計事務所、水谷精工、藤原電子工業、デジック、大和製作所


掲載日:2009年1月27日

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