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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「僕のロボットで野球の楽しさを伝え、その発展に貢献したい」〜野球好きが高じて、また独自アイデアでオリジナル商品を開発〜【A.C.T】

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A.C.T(A. control training machine) 前田 孝八郎さん

A.C.T(A. control training machine)
代表 前田 孝八郎

〒547-0026
大阪市平野区喜連西5-2-1
TEL(06)6700-5660/FAX(06)6700-5661

打者用のバッティング練習機ではなく、ピッチャーが1人で投球練習が行える、自動返球式キャッチングマシン「ロボキャッチャー」が2008年11月に発売された。開発を手がけたのは、A.C.T(A. control training machine)代表を務める前田孝八郎さんである。

ロボキャッチャーは、投げたボールが約20m離れたピッチャーまで自動的に返球することにより、キャッチャーがいなくても投球練習ができるという、従来にないマシンである。捕球部分の底がすり鉢状になっており、投球した球はここを経由して後方の返球マシンに送られ、カムクラッチとばねの反動でネット越しにボールが返球される。球威をもとにスピード表示を行う球速測定機能のほか、パトライトと音声による返球通知機能も備える。
  また、ストライクゾーン部分にはキャッチャーミットと同じ皮革を使用することで、捕球時の音も再現している。細部にまでこだわってつくり込まれている。

前田さんが中心となって開発したロボキャッチャー。投げたボールが約20m離れた投手まで自動的に返球され、キャッチャーがいなくても投球練習ができる。現在、国際特許を出願中。

前田さんが中心となって開発したロボキャッチャー。投げたボールが約20m離れた投手まで自動的に返球され、キャッチャーがいなくても投球練習ができる。現在、国際特許を出願中。

友人たちの協力を得て約3年かけて完成

前田さんは夜間高校在学中に海苔の山形屋に就職したが、18歳のときに転職し、仏壇業界に入った。その後25歳で独立し、大阪市内で仏壇販売を行う「なにわ堂」を開業した。以来、本業の仏壇販売に携わっているが、その傍らロボキャッチャーの開発に取り組み、このほど完成に至った。
  本業の仏壇とはまったく関係のないものだが、これまでに仏壇の厨子の扉が左右に自動で開閉する商品を考案するなど、自身のアイデアを本業に生かしてきた。ロボキャッチャーは、そんな数あるアイデアの1つであり、「モノづくりが好き」と話す前田さんの集大成でもある。

その開発を始めたのは、2005年3月頃である。野球好きの同級生たちから『キャッチャーがいなくても投球練習ができるマシンはつくれないだろうか?』と、相談を持ちかけられたのがきっかけで、前田さんの野球好きも手伝い、製品化に向けて動き出した。
  開発は、おもに次のような流れで進められた。
  まず、前田さんが製品イメージをデザイナーに依頼してパース図を作成。それをベースに機械設計業を営む友人が図面を引き、また、電気電子の専門家がシステム開発を担当して、2005年10月には試作機を製作。その後、福井の社会人野球チームの協力を得てピッチャーへの返球テストを実施し、2007年には2号機を完成して現在のカタチに至った。

ロボキャッチャーのネット部分のサイズは1,800mm(幅)×2,000mm(高さ)×1,500mm(奥行き)。ストライクゾーン部分にはキャッチャーミットと同種類の皮革を用いており、捕球時の快音も再現している。捕球部分の底がすり鉢状になっており、投球した球は後方の返球マシンに送られる。 ロボキャッチャーの本体部。カムクラッチとばねの反動でネット越しにボールを返球することができるうえ、球速特定機能を備える。また、回転灯を音声による返球通知機能を備えており、安全面にも配慮している。

(左)ロボキャッチャーのネット部分のサイズは1,800mm(幅)×2,000mm(高さ)×1,500mm(奥行き)。ストライクゾーン部分にはキャッチャーミットと同種類の皮革を用いており、捕球時の快音も再現している。捕球部分の底がすり鉢状になっており、投球した球は後方の返球マシンに送られる。 (右)ロボキャッチャーの本体部。カムクラッチとばねの反動でネット越しにボールを返球することができるうえ、球速特定機能を備える。また、回転灯を音声による返球通知機能を備えており、安全面にも配慮している。

「『何か新しいモノづくりに取り組みたい・・・』。実は、いつもそう腹の中で考えているんです。といっても、素人なので自分にできることは限られているんですが、友人たちの協力を得ることで自分の思いをなんとかカタチにすることができました。素人ながらも、苦心した証と言えるのではないでしょうか」
  前田さんは自身の取り組みに、そう胸を張る。
  開発資金の調達などに奔走したというが、周囲に機械設計やシステム設計をはじめブレーンに恵まれていたこともあり、1つのカタチとなったのである。

野球の普及につながれば・・・と思うんです

「ロボキャッチャー」のミット部分はホームベース幅に相当する、ボール6個分のコースと、打者の膝部分から脇の下の部分のストライクゾーンに設定されている。加えて、ストライクゾーンだけではなく、コースと高低それぞれボール1個分を外して投球したことを確認できるタイプも用意。よりハイレベルな社会人野球(ノンプロ)向けの投球練習にも対応している。ここにも前田さんのモノづくりへのこわだわりが表れている。

2008年11月に製品化に至ったが、「最も苦労したのは球速表示だった・・・」と、前田さんは振り返る。
  ロボキャッチャーでは、ミットに相当するストライクゾーンの背面に衝撃を計測するセンサを設置し、球威(衝撃の大きさ)から球速を推定している。つまり、ピッチャーがボールを投げたときの終速を計測して球速を表示していることになる。一方、一般的なスピードガンでは、ピッチャーがボールを投げた瞬間の初速を計測しており、ユーザーはこの球速表示に慣れ親しんでいる。
  「終速をもとに計測しながらも、初速を計測したときと同様の球速表示が行える点に相当悩まされた」と話す。

また、ボールの球威が強く、跳ね返ったボールがロボキャッチャー内に収まらず、ボールが外に飛び出るという課題にも悩まされた。特にミットと同素材の衝撃板の角に当たると、ほぼ90°の角度で飛び出してしまう。奥行きサイズを大きくすればよいだろうが、設置できる場所が制限されてしまう。さまざまな実験を繰り返した結果、衝撃板の先端に当たってもボールが飛び出さない、現在の1,500mm(奥行き)の仕様になった。
  発売したものの「まだまだ改良の余地がある」とのことで、モノづくりが好きな自身のこだわりを込めて、より一層の機能向上を目指していくという。

今後の展開については、大学や高校野球の強豪校のほか、イベントのアクトラクション用としてのレンタル販売を検討している。すでに、ある社会人野球のチームからオーダーが寄せられているとのことで、その販売には期待ができそうだ。
  さらには、「野球が根付いていないような国にも売り込みたい」と意気込む。「野球の楽しさ、ボールを的に当てることの楽しさを、ロボキャッチャーを通じて伝え、野球の発展にも貢献したい」。そして、「そうしたかたちで製作に協力してくれた方たちに恩返しができれば」と続ける。現在、国際特許を出願しているとのことだが、このような意図があってのことであり、その取り組みはまだまだ広がっていきそうだ。

素人ながらも野球好きが高じて、また友人の協力を得てロボキャッチャーを開発した前田さん。「野球の発展にも寄与できれば・・・」という大きな思いを抱いており、単なる素人のモノづくり好きではなく、本当に野球好きなのだと感じずにはいられなかった。


掲載日:2008年12月24日

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