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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「トータルにインテグレートする立場として寄与していきたい」−総合的な提案・開発に強み。技術アドバイザーとしても活躍−【テクノキューブ】

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黒田政志社長
黒田政志社長

テクノキューブ

代表取締役社長 黒田政志

〒573-0027
大阪府枚方市大垣内町3-7-2
http://techno-cube.jp/

「現時点でヒューマノイドを開発・販売するというビジネスモデルは成立しないと思いますし、きっと多くの方が、そう考えていると思います。でも、例えば『鉄腕アトム』が有しているパワーや飛行能力、外観を検知する能力など要素技術を切り出して、何らかのシステムと組み合わせるというのは、ビジネスとしては"あり"やと思うんです。

もともと僕はファームウエア(組込みソフト)のエンジニアなんですが、このような"要素技術の切り売り"は組込み開発技術に近いと言えます。しかも、いまはWeb系システムの開発も手がけているので、これらをトータルにインテグレートするという立場にて、飯を食っていければいいなあ〜って、思ってるんです・・・」

そう穏和な語り口で切り出すのは、テクノキューブの黒田政志さんである。

同社は、組込みシステム、Windows系・Linux系アプリケーション、Web系システムを総合的に提案・開発する企業である。携帯電話機やファクシミリ、BSチューナーなどの各種組込み機器に加え、ホームシミュレータやコンテンツ配信システムなど、幅広く開発を請け負っている。

その傍ら、2008年3月までは「RooBOブレインズ」の技術アドバイザーとして、4月からは「ロボットラボラトリー(ロボラボ)」の技術アドバイザーとして、さまざまな相談に応えている。さらに、ロボラボのWebサイト上にて最先端RT(Robot Technology)の解説記事も執筆している。

ロボット開発はメカ機構を伴うため、どちらかと言えば、メカ寄りの(メカトロ)エンジニアが多い。黒田さんのような組込みソフトの開発を多く経験し、かつ総合的に提案できる人材はまだまだ少ない。ゆえに、上述のような幅広い開発案件が次々と持ち込まれるのである。

得意なのはファームウエアだけじゃない

黒田さんは起業する以前、約13年間にわたり船井電機にてファクシミリやプリンターなどの開発に携わった。

中でも、米レックスマークス向けインクジェットプリンターの開発では、プロジェクトマネジャーを務めたうえにシステム設計全般を担当し、全世界で数百万台のセールスを記録した。プリンター市場が"高機能高価格"に向かう中、一般家庭でも気軽に使えることをコンセプトに最低価格帯を提示した機種で、「ローコストインクジェットプリンターの先駆け的商品」と賞された。

現在のように「ユーザーに配慮した、トータルコストを考えたシステム提案は船井電機の頃に培われたのではないでしょうか・・・」。黒田さんは、そう振り返る。

また、船井電機時代はファームウエアに加え、電気・電子、メカについての知識を深めた。現在は、組込みソフトの重要性は十分理解されているが、2000年ぐらいまではマイコンの"オマケ"的な扱いを受け、それに携わるエンジニアの地位は決して高くなかった。これを端的に表す有名なフレーズに『士農工商メカ・エレ・ソフト』があるが、黒田さんも若手の頃は、そのような扱いを受けていたという。

「僕が船井電機にいた頃は電気屋(ハードウエア技術者)が主導権を握っていて、しかも役職者ばかりでした。これに対し、僕らソフト屋(組込みソフト技術者)は新参者ばかりで、なかなか意見を聞いてもらえず、ずいぶんと悔しい思いをしました・・・。そんな事情から、少しでも電気回路が理解できれば意見を理解してもらえないかと思い、ハードウエアなどの学習を始めたわけです。

もともと電気学科出身だったこともあり、抵抗なく取り組めましたが、ちょうどアナログ回路からデジタル回路に切り替わり始めたことも手伝い、すんなりと学習することができました。回路図を見ながら電気屋と議論できるようになりましたし、ハードとソフトの適切な機能分離を提案できるようにもなりました。その後、メカについても簡単な図面だけでも理解できるように、と独学で理解を深めていきました」

そのほか船井電機在籍時には、ソフトウエアシミュレータを用いた自動テスト環境などを自前で構築したとのことで、ここでの経験が、上述のように総合的な提案や幅広い開発案件への対応を可能にしたことを伺わせる。

船井電機在籍時に、プリンターやファクシミリなど各種組込み機器の開発を経験したことを明かす黒田さん。黒田さんが在籍時は、組込みソフトの重要性があまり意識されておらず、そのために悔しい思いをしたこともあった。が、独学でハードウエアおよびメカ機構を習得することにより、ハードとソフトの機能分離をはじめトータルでの提案を行える力量を身に付けたという。

船井電機在籍時に、プリンターやファクシミリなど各種組込み機器の開発を経験したことを明かす黒田さん。黒田さんが在籍時は、組込みソフトの重要性があまり意識されておらず、そのために悔しい思いをしたこともあった。が、独学でハードウエアおよびメカ機構を習得することにより、ハードとソフトの機能分離をはじめトータルでの提案を行える力量を身に付けたという。


今のマイブームは環境の知能化とRTミドルウエア

黒田さんは、冒頭で紹介した開発業務に加え、今後の成長が期待されるロボット関連の開発にも意欲を示している。現在は「環境の知能化技術とRTミドルウエアがマイブーム!」とのことで、6月より利用の受付が始まった、「ユニバーサル・シティウォーク大阪(UCW)」(大阪市此花区)にある「環境情報構造化」プラットフォームの活用に取り組み始めている。

環境情報構造化とは、ITやユビキタスコンピューティング、ネットワーク通信技術、GPS、RFIDタグなどのセンシング技術と連携して、ロボットが動きやすいように環境側を整備する取り組みである。空間や人の行動に関する意味情報を「環境情報」として環境に埋め込む(構造化)研究が進められており、「人の計測」「場の計測」「物の計測」の3つの観点から開発がなされている。

UCW内には「人の計測」の開発を担当する、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)のプラットフォームが設置されており、人や物の位置情報の計測・蓄積・構造化をシームレスに扱える「環境情報4層構造化モデル」(*)が提案されている。

*:「センサデータ層」「セグメント層」「プリミティブ層」「サービス・アプリ層」から構成される。まず「センサデータ層」ではカメラやレーザレンジファンダ、RFIDタグといった各種センサから得られる情報を処理し、位置情報に変換する。次に「セグメント層」にて、そこから出力される人の位置情報を統合・蓄積して、標準的な形式に変換する。「プリミティブ層」では、セグメント層のデータに基づいて、人の行動や様子などを表すプリミティブという記述形式で意味づけを行う。そして、「サービス・アプリ層」では、セグメント層から出力される位置情報とプリミティブ層から出力される情報に基づいて、道案内や誘導、展示品の紹介などロボットサービスを記述する。例えば、「通路で立ち止まっている人に最寄りのロボットが声をかけて誘導する」というロボットサービスを記述しておけば、上述の意味づけがなされたとき、ロボットはそのサービスを実行する。

ただし、同プラットフォームでは来場者に無線ICタグを所有してもらわないと、個人を特定することができない。かといって「大阪在住の人たちの顔の画像データを取得して顔認証を行うというのは、もっと現実的ではない。このような方法に頼らなくても個人を同定できるようなセンシングの方法を、サービスコンテンツとなる、顧客へのリコメンデーションを含めて検討している」という。

また同プラットフォームは、道案内をはじめロボットを介したサービス提供を目的に構築されたものだが、「ロボットの利用にこだわらず、統計情報として顧客行動を把握できるというプラットフォームの特徴を生かしたサービス提供が行えれば・・・」と話す。

現時点では、サービス事業者との共同の取り組みを検討し始めたばかりで、具体的な活動は紹介できないが、「とにかくロボット技術は高価なイメージがありますし、またメーカー出身者として期待されていることなので、トータルコストを意識した提案に落とし込みたい」と話す。

UCW環境における人の位置計測例。設置した各種センサの情報を統合して人の位置計測を行う。ただし、無線ICタグを保有してもらわないと人物特定が行えない。

UCW環境における人の位置計測例。設置した各種センサの情報を統合して人の位置計測を行う。ただし、無線ICタグを保有してもらわないと人物特定が行えない。


もう1つのブームに挙げているRTミドルウエアについては、「現時点では個人的に興味がある程度」とのことで、何らかのプロジェクトとして取り組んでいるわけではない。それでも、「自分で何らかのシステムを構築して、RTミドルウエアの良さを多くの方に教えてあげたい」と話す。

RTミドルウエアを簡単に説明すると、ロボットの機能要素であるソフトウエアモジュールを、ネットワークを介して組み合わせることにより、さまざまなロボットシステムを構築する開発基盤技術である。

多くのロボット開発では、センサやモータドライブなど必要なロボット制御要素を一体として構築されており、各ロボットの機能要素の区分けが明確ではないため他のロボットへの転用が難しい。結果、1つのロボットの開発に膨大な時間とコストを要している。 これに対し、RTミドルウエアではRTコンポーネントを再利用してシステムを構築するため、効率的な開発が期待されるうえ、開発コストの低減も見込まれる。これが、黒田さんがRTミドルウエアに魅力を感じている理由の1つである。

RTコンポーネントを利用してシステムを構築するため効率的な開発が行えるうえ、システムを容易に構築することもできる。例えば、アームの制御ソフトウエアのコンポーネント化しておけば、産業用ロボットの制御システムをヒューマノイドの腕の制御に流用できることもできる。

RTコンポーネントを利用してシステムを構築するため効率的な開発が行えるうえ、システムを容易に構築することもできる。例えば、アームの制御ソフトウエアのコンポーネント化しておけば、産業用ロボットの制御システムをヒューマノイドの腕の制御に流用できることもできる。


また、オープンなプラットフォーム技術であることも魅力を感じている理由の1つという。

オープンなプラットフォームを活用したシステム開発では、何らかの問題が発生した場合、実装したソフトウエアからプラットフォームを含めて開発側が責任を負うことになる。そうしたリスクが指摘されることがあるが、かといって、Windowsのような商用OSを利用してMicrosoftが保証してくれるという話しを耳にしない。「結局、どのようなプラットフォームを用いたとしても、開発側が責任を持つことになります。ならば、オープンにされているプラットフォームの方が改変できて扱いやすい」わけである。

「昨年の12月には、OMG(Object Management Group)にて国際標準仕様として正式承認されているわけですし、せっかく良いプラットフォームなので、もっと広がればいいなあ〜と考えています。でも、自分が扱えないと他の方に説明できませんので、機能検証を含めで理解を深めていきたいと思っています。

ただ、RTミドルウエアは少々難しいですし、ディベロッパーズガイドの説明も難しいです。だから、もっと噛み砕いて説明してあげたいです。うちのWebサイトに"裏技的"な情報も掲載できれば、なんて考えていますよ」

黒田さんは、そうRTミドルウエアに期待を膨らませつつ楽しく話してくれた。

冒頭で紹介した「技術アドバイザー」は単年度での契約であり、ひとまず2008年度末まで務めるという。今回、話しを聞いていて感じられたのは、黒田さんが、とにかく明るく楽しく話してくれたことで、穏和な人柄が伝わってくる。すでに紹介したように、これまでに数多くの開発実績を上げており、それが技術アドバイザーに就任した大きな理由になっているのだろうが、そんな人柄も大きなポイントになっているように思われた。

また、環境情報構造化にしてもRTミドルウエアにしても、高度なシステムであるがゆえ、必ずしも開発側が扱いやすいとは言い難い。これらの両方に関わる黒田さんが、うまく租借して説明してくれれば、関西方面での利用者が増えるのではないかと思われたし、そんな役割を担ってくれればと思う。


掲載日:2008年12月16日

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