本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > ロボ・ステーション

ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「実用的なお掃除ロボットで新たなライフスタイルを提案したい」〜通販業界で多くのアイデア商品を創造する企画開発メーカー〜【スリーアップ】

画像をクリックすると拡大表示します

スリーアップ 辻野 真介さん

スリーアップ株式会社
代表取締役 辻野 真介

〒582-0025
大阪府柏原市国分西1-1-17
http://www.three-up.co.jp/

生活家電の商品企画・開発および製造販売を手がけるスリーアップは、2007年11月の設立以来、通販業界で多くのヒット商品を生み出している。
 「この業界では、新たな付加価値を創造し、勝つためのマーケティング手法を身に付けることが大切です。それを当社では“商品を創る”を表現していますが、それをモットーに開発に臨んでいます」
 そう話すのは、代表取締役の辻野真介さんである。

設立から1年足らずで、約30アイテムの商品を市場に送り出し、今年2月には4つのパターンの運動で床掃除ができる掃除ロボット「ロボクリン」を発売。出荷台数はすでに約3,000台を数え、3月に開催された「第39回 大阪インターナショナルギフト・ショー」の新製品コンテストで「グランプリ」を獲得した。11月には「モッピー」というフローリング専用の掃除ロボットを発売するに至っている。

アイデアと企画力で通販業界に切り込む

同社は、おもにホームプロダクツ、ビューティ&ヘルス、アウトドア&ガーデニングの3部門の商品の企画・開発を行っている。通販会社などに対して綿密なマーケティングを行い、商品化している。取引先が通販会社さんということもあり、おもに女性をターゲットにした製品開発を行っている。

同社の人気商品「Aromination」。ミストで部屋の空気を潤しながら、アロマの香りと7色に変化するイルミネーションを複合化した。 同じく人気商品の「Angelmist」。プロの美容アドバイザーや美容機械メーカーを交えて、一般家庭向けに開発した。

(左)同社の人気商品「Aromination」。ミストで部屋の空気を潤しながら、アロマの香りと7色に変化するイルミネーションを複合化した。 (右)同じく人気商品の「Angelmist」。プロの美容アドバイザーや美容機械メーカーを交えて、一般家庭向けに開発した。

メーカーとはいえ、同社は自社の生産工場や設備を所有していない。あくまで企画・開発のプロ集団として活動している。海外工場と契約し、国内のデザイナーやエンジニアと打ち合わせを行い、サンプルの改良を重ねる。それぞれの専門メーカーに勝つためにどうすればよいかを考え、商品に新たな付加価値を創造している。

また、「代理店を通さずに通販会社と直接取引していることも強みの1つ」(辻野さん)という。直接取引することにより、どのような顧客にどういった商品が売れるかという、リアルタイムの顧客情報が入ることで、現場の声を次の商品の企画に生かすことができる。
 「“こんなものがあったらいいのに”“こうしたらもっと便利になるのに”といったアイデアの発想のために、常にアンテナを張って時代の変化を先取りするように心がけています。商品サイクルの早い通販会社を相手にしているので、必然的に旬なものにはかなり敏感になっているのでないでしょうか・・・」
 辻野さんは自社の企画力を、そう説明する。

実用性を追求した低価格のお掃除ロボット

米iRobot社の掃除ロボット「Roomba」の世界的なヒットにより、わが国でも掃除ロボットの認知度が高まっている。国内でも開発・販売している企業がいくつかある中、同社は2008年2月に「ロボクリン」を開発、発売した。

掃除ロボットの多くは、「かき込み式」か「吸引式」のいずれかの機能を搭載している。ただし、かき込み式だけでは十分にゴミを取ることはできないし、吸引式だけではカーペットのパイルに絡み付いた毛髪を吸引することができない。
 ロボクリンでは、大きなブラシでゴミをかき込み、内部装置で吸引を行う、両方の機能を搭載した「ダブル方式」を採用している。直進、円弧、ジグザグ移動、これらの複合パターンで走行して部屋の隅々まで清掃することができ、5月にジョーシン&JPテクノランドが開催した「お掃除ロボットバトル」では、その高い清掃能力を示して、観客から最も高い評価を得た。
 ほかにも、タイヤのサイズが大きいため10mm程度の障害物を簡単に乗り越えたり、前方に搭載したセンサで段差を回避したりすることができる機能や、本体裏面のUVランプで除菌も行える。3万円弱という低価格ながら、機能は満載だ。

大きなブラシでゴミをかき込み、内部装置で吸引を行う、「かき込み式」と「吸引式」の両機能を搭載した「ロボクリン」。 ロボクリンの走行イメージ。直進、円弧、ジグザグ移動、これらの複合パターンの4通り動きで部屋の隅々まで清掃することができる。

(左)大きなブラシでゴミをかき込み、内部装置で吸引を行う、「かき込み式」と「吸引式」の両機能を搭載した「ロボクリン」。 (右)ロボクリンの走行イメージ。直進、円弧、ジグザグ移動、これらの複合パターンの4通り動きで部屋の隅々まで清掃することができる。

また11月には、新たな掃除ロボットとしてフローリング専用の「モッピー」を開発し拡販を開始する。同社は技術を売るのではなく、実用性を売るというスタンスをとっており、ユーザーの声をもとに生まれた商品が多い。モッピーもその1つで、『床拭きは手間がかかり、中腰で大変だから拭き取り掃除できるロボットが欲しい』という声をもとに開発した。

モッピーは、自動的に回転しながら進むことで、フローリングの拭き掃除を行う。また、高さ約50mmという薄型設計のため、ソファーやベッドの下に潜り込んで清掃することができる。拭き清掃に特化することにより実用性の高いものに仕上がっている。
 「当初、本当にそうしたニーズがあるのかどうか悩みました。しかし、よくよく考えてみると、掃除機でゴミを吸い取ることがあっても、フローリングの床に水拭きやワックス掛けはなかなかしないです。商品として成立する可能性を感じました。また、それだけの機能に特化することで、コストパフォーマンスに優れたものになっていると思います」  辻野さんは、その完成度に自信を示す。
 また、「家庭で使う“2台目の掃除機”として使ってもらえたら・・・・」と、用途の切り分けを明瞭に行っていることを伺わせるところが、したたかである。「3万台は売りたいですね!」と意気込む。

自動的に回転しながら進むことで、フローリングの拭き掃除を行う「モッピー」。 モッピーの走行イメージ。薄型設計のため、ソファーやベッドの下に潜り込んで清掃できる。

(左)自動的に回転しながら進むことで、フローリングの拭き掃除を行う「モッピー」。 (右)モッピーの走行イメージ。薄型設計のため、ソファーやベッドの下に潜り込んで清掃できる。

作り手側のエゴを感じてしまう現在ロボット市場

辻野さんは、同社を興す以前よりアイデア商品の企画開発に携わっていた。そして、「実用性と機能性があってこそアイデアである!」という考えにて商品開発に臨んでいる。掃除ロボットの開発により、少しはロボット業界をウォッチことになったわけだが、そんな辻野さんから見て、現在のロボット開発には違和感をおぼえるようだ。

「僕もロボット関連の展示会に行くことがあります。商品を見ると確かにおもしろいのですが、その機能は本当に必要なのか? 使う人のことを考えてつくっているのか? と、疑問を感じることがあります。日本の技術は高くてトップクラスなので、おもしろいロボットをつくることは可能です。でも、大切なことは、お客さんがお金を出して、それを欲しいと思っているかどうかです。つくり手側のエゴを感じることが間々あります」
 また、「わが国のロボット市場が成長していくために必要なのは、“見せるロボット”ではなく“実用的なロボット”を開発することが必要なのではないでしょうか」と続ける。つまり、「商品価値に見合ったものを適正な販売価格で市場に出していくことにより、ロボット市場は成長していけるのでは」と話す。
 極めて正論であるが、ユニークかつ実用的な商品でありながら低価格にまとめ上げる、辻野さんらしい意見と言えるだろう。

現在のロボットを見て「つくり手側のエゴを感じることが間々ある」と話す辻野さん。「お客さんがお金を出して欲しいと思える、実用的なロボットを目指した方がよいのでは」と続ける。

現在のロボットを見て「つくり手側のエゴを感じることが間々ある」と話す辻野さん。「お客さんがお金を出して欲しいと思える、実用的なロボットを目指した方がよいのでは」と続ける。

そうロボット業界へ意見をする一方、辻野さんは今後の開発について、次のように話してくれた。
 「僕らが目指しているのは、商品に付加価値を付けて、見て楽しい実用的な商品。どこにもないオンリーワンの商品づくりです。ロボクリン、モッピーと開発してきましたが、新たな機能を搭載した掃除ロボットの構想もありますし、ぜひ期待してもらいたいです」
 モノが溢れている時代にあって、商品をゼロから企画・開発していくのは難しい。ましてや、どの家庭にも掃除機がある中で、新しい掃除ロボットを提案していくのは非常に困難である。それでも、さらなる開発に意欲を示している。
 「企画開発のために、休みの日も量販店に足を運んではアイデアを描いていますから」と話しつつ、「ほとんど職業病ですね!」と、辻野さんは笑い飛ばす。しかし、そうした真摯な姿勢が数々のアイデア商品につながっているのであり、また、現在のロボット開発に必要なのだと感じさせられた。


掲載日:2008年11月25日

前の記事次の記事


このページの先頭へ