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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「自分で考えて思いのままのカタチがつくれる―。それが当社のロボットです」〜ロボット製作キットでモノづくりの喜び、醍醐味を提供〜【共立電子産業】

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共立電子産業 長者原 亨さん

共立電子産業
代表取締役社長 犬塚 梅一郎

〒556-0004
大阪市浪速区日本橋西2-5-1
http://www.kyohritsu.com/

共立電子産業は1970年に大阪・日本橋で創業した電子部品店である。「シリコンハウス」「デジット」「テクノベース」の3店舗を経営し、年間約120万人の来店者数を誇る。また、電子部品や半導体商品の設計開発も行っており、1988年からは「ワンダーキット」のオリジナルブランドで、電子部品を応用した電子工作キットを販売。店舗販売とインターネット通販を柱に業績を伸ばしている。
 2006年8月には、サーボモータやアルミ板を両面テープで接着しながらイメージをカタチにできる、"ロボットの素"をコンセプトにしたロボット製作キット「プチロボ」を発売。その後、2007年9月にはプチロボを進化させた、トランスフォーム可能な「プチロボX」を送り出した。プチロボシリーズはホビー市場に加え、教育用途や研修用途に向けて、それを通じたモノづくり体験を提供している。

プチロボを進化させた、トランスフォーム可能な「プチロボX」。9個のサーボモータにより自在に可動することができる。

(左)"ロボットの素"をコンセプトに開発した「プチロボ」(写真はリニューアルした「プチロボ改」)。サーボモータアルミ板を両面テープで貼り付けて製作する。(右)プチロボを進化させた、トランスフォーム可能な「プチロボX」。9個のサーボモータにより自在に可動することができる。

モノづくりの楽しさを伝えるキットを志向

「子供たちがロボットや電子工作を通じてモノづくりに興味を抱き、やがては未来の技術者や研究者が生まれてくれれば・・・・」
 そんな思いでプチロボの開発に取り組んでいるのは、取締役開発部長の長者原亨さんである。

現在、同社が力を入れているのが、オーディオキット製作体験会やセミナーの企画開催などモノづくり体験の機会提供である。最近は同社に限らず、多くの企業や自治体などが、このような取り組みを展開している。が、それが十分な教育効果をもたらしているかどうかと問われると、疑問がある。
 「多くの工作教室は半日から1日の講習で完成に至るように内容が構成されています。モノづくりの一端を体験できますが、その場限りの体験で終わってしまうことがほとんどです。しかも、教材には子供たちがケガをしないよう、あらかじめ、きれいにつくり込まれたものばかりが用意されています。これでは、道具を使いこなすスキルを習得することができないのではないかと思うのです・・・」
 長者原さんは、そのような疑問を投げかける。

確かに、昨今、"消費者保護"が強く叫ばれているのを受け、ケガ防止のために、各種工具を用いなくても、確実に完成に至るような工作キットが提供されている。ところが、誰が製作してもまったく同じものができ、そのプロセスに創意工夫があるとも、モノづくりを体験しているとも言い難い。
 「以前は、工作キットに限らずプラモデルにしても、現在ほど高精度なものはなく、完成に至るまでには、自分でボス穴を調整したりパーツ表面をヤスリ掛けしたりする手間がありました。面倒な作業を伴いましたが、そこにはモノづくりの楽しさがあったと思うのです」
 このような創意工夫を通じて完成に至る。同時に、モノづくりの楽しさを体験する――。それを提供する製作キットとして開発したのが、上述のプチロボシリーズである。

また、「僕らはパーツ屋ですから、かっちりとした完成系を見せるよりも、その方が商売としてはいいのです。創造力のある方は、当社が扱っている電子部品を組み合わせることで、もっと高機能なロボットに仕上げることを考えてくれますから」。
 長者原さんは、そう付け加える。

つくり手の創意工夫を促す製作キット

2007年9月に登場したプチロボXは、シリーズ2作目のロボット製作キットである。約20種の構成部品から成る。148のねじ締め個所があり、ヒューマノイドで完成させた場合、サイズは、高さ、幅ともに15cm程度で、重量は約230g。9個のサーボモータにより可動する。プチロボシリーズ共通のモーションコントロールソフトにより前進、後進、前転、後転などの動作に加え、独自の動きを作成することもできる。
 また、ヒューマノイド以外に、3足型や4足型、産業用ロボット風のアーム型など、製作者の創造力によりさまざまなタイプに変形することができる。最も象徴的なのは、アニメ「攻殻機動隊」に登場する思考戦車「タチコマ」を模した4足歩行ロボットの製作例である。「You Tube」〔(共立電子撮影・公開)、(ユーザー撮影・公開)〕にアップされて話題になっている。

プチロボXでは、いくつか製作例が示されているが、あくまで「購入された方が、自分が思い描いたものをカタチにしてもらうのが製品コンセプト*1であり、試行錯誤してもらって完成してもらうことに留意して開発した」という。そのためか、「例えば、『ガンプラ』の関節部分に組み込んで可動させようとする人もいて・・・」とのことで、「想定外の使い方や発想がなされ、驚かされる」という。

プチロボXの製作例。ヒューマノイド以外に、3足型や4足型、産業用ロボットをイメージしたアーム型など自在なカタチに製作することができる。「タチコマ」風ロボットの製作方法も公開されている。 プチロボシリーズ共通のモーションコントロールソフト「WondeRoid MotionMaker Ver.1.00」。7月にはプチロボMS5、プチロボX向けに、操作画面内の画像およびプリセットデータを加えたインストーラに更新された。

(左)プチロボXの製作例。ヒューマノイド以外に、3足型や4足型、産業用ロボットをイメージしたアーム型など自在なカタチに製作することができる。「タチコマ」風ロボットの製作方法も公開されている。(右)プチロボシリーズ共通のモーションコントロールソフト「WondeRoid MotionMaker Ver.1.00」。7月にはプチロボMS5、プチロボX向けに、操作画面内の画像およびプリセットデータを加えたインストーラに更新された。

また最近では、後述するベネッセやマイクロソフトなどが取り組む、プログラミング学習向けに最適化した「プチロボMS5」も開発。高校生向けのロボット事業の一環として教材を提供している。さらに、冒頭で紹介したプチロボはリニューアルし、「プチロボ改」として提供を始めている。牛乳パックや段ボール、空き缶など身近な素材を利用して、バリエーションに富んだオリジナルのロボットを製作することができ、上述の同社の考えが色濃く反映されたものとなっている。

*1:同様のコンセプトの教育教材に、JAPAN ROBOTECHの「ROBO DESIGNER」がある。同教材は、コントローラボードとアクチュエータ、センサおよび数点のロボットパーツ、専用の開発環境「Ticolla」から構成される。ユーザーはコントローラとパーツ、他のパーツ類とを組み合わせることで、簡単に自律型車輪駆動のロボットを製作することができる。
 ROBO DESIGNERはセンサやモータなどの取付け位置が何ら定義されていない。それゆえに、ユーザー自身が設計目標を設定しなければならないうえ、その過程で遭遇する問題を解決しなければ完成には至らない。自ら課題を設定し、問題を発見・分析し、解決する能力を培うことができる仕組みが組み込まれており、多くの高専や大学で高く評価されている。

教育教材としての可能性が見えている

同社では2007年の夏頃より、ベネッセとマイクロソフト(MS社)が取り組む企業連携教育プログラムに、部材供給というかたちで協力している。同年の12月と今年の1月には、『ロボットを作ろう、動かそう〜四足歩行ロボットで学ぶ、ソフトウエアの仕組み〜』と題した学校向けにプログラム*2を、西武学園文理高校の理数科クラスを対象にトライアル授業として実施した。
 プチロボMS5を組み立て、動作させながらプログラミングの基礎を学習できる。同時に、その動作性の向上に向けた試行錯誤を通じて実験科学的な考え方を体感できるカリキュラムが組まれている。コーディネートを担当するベネッセを通じて提供された。

*2:西武学園文理高等学校2年生理数科クラスの60名に対して提供された。プログラムの内容は以下の通り。

●1回目:12月17日、18日
9:00〜11:00:「プログラミングの基礎 〜ロボットとプログラミング〜」
 コンピュータとロボットの歴史、プログラミングの概念について、映像やデモ動作を通して学習する。
11:20〜16:30:「自分だけのロボット開発 〜ロボットを作ろう、動かそう〜」
 3人1組でロボットのキット組立作業。組み立てたロボットの実際に動かして動作確認を行う。

●2回目:1月23日、24日
9:30〜13:00:「プログラミングの基礎 〜4足歩行の秘密とは?〜」
 プログラミングの基礎と、ロボット4足歩行に必要な技術を学習・体験する。
13:40〜15:00:「自分だけのロボット開発 〜ロボットの動きを工夫しよう〜」
 「前進」「カーブ」「パフォーマンス」についてのプログラミングをチームで作成する。
15:15〜16:30:「ロボットオリンピック 〜一番になるのは、どのロボット?〜」
 チームで製作したロボットを動作させる。2分間コースに沿って、前の授業で作成したプログラミングを実行する。

プチロボMS5は、名称の通り、関節自由度を5軸に削減することにより低価格化を図ったものである。セルフタッピングねじで組み付ける方式を採用しており、組立にはコツを必要とする。きれいにねじ締めができる生徒がいる一方で、うまく締め付けられない生徒もいるなど、生徒の個性が、その完成度に表れるものになっている。生徒の評価にはプログラミングに加え、生徒の応用力や創造力、チームとしての協調性などを含めた総合的な判断が求められ、同校での授業は好評だったという。
 ベネッセでは他の学校に向けても、同様の教育プログラムの提供を進めつつあり、すでに10校程度の学校から、その実施を求める声が寄せられている。

ベネッセやマイクロソフトなどが取り組む、プログラミング学習向けに最適化した「プチロボMS5」。あえてセルフタッピングねじで組み付ける方式を採用しており、組立にはコツを要するものにしている。つくり手の個性が出る。 上級者向けに通信プロトコルを公開しており、Visual BasicややC++によるプログラミングや、Microsoft Robotics Studioによる制御も行える。写真は現在開発中のMicrosoft Robotics Studioによる開発イメージ。

(左)ベネッセやマイクロソフトなどが取り組む、プログラミング学習向けに最適化した「プチロボMS5」。あえてセルフタッピングねじで組み付ける方式を採用しており、組立にはコツを要するものにしている。つくり手の個性が出る。(右)上級者向けに通信プロトコルを公開しており、Visual BasicややC++によるプログラミングや、Microsoft Robotics Studioによる制御も行える。写真は現在開発中のMicrosoft Robotics Studioによる開発イメージ。

この参加を通じて、長者原さんは自信を深めつつある。
 「今回の取り組みを通じて、プチロボの活用事例をつくることができ、事業として進むべき1つの方向性として確信を抱きました。つまり、モノづくり体験のツールとして、プログラミング体験のツールとしてのプチロボです。それをよりアピールしていくことを考えています」
 また、「教育プログラムを通じて、多くの販売が見込めるのであれば、現状の汎用部品の利用ではなく金型などを用いた量産により、より一層のコストダウンを図りたいです。制御ボードの高機能化や、Microsoft Visual Studioや同Robotics Studioとの連携を図り、専門学校や高専、大学での採用を目指したいです」。そう大きな期待も込める。

このように今後、教育分野での普及が大いに期待されるが、克服すべき課題もある。
 具体的には、テキストの完備とセンサ入力機能の付加である。後者は、より高度なプログラミングを学習できるようにするためには必須だが、もともと同社は電子部品の設計開発を手がけているため、容易に解決される。問題は前者であり、「テキストを用意できていないのが、当社の事業にとってツライところです・・・」と、長者原さんは話す。とはいえ、「高校での授業はベネッセさんとMS社さんのカリキュラムで進められることになるでしょうが、いずれは、時間をかけつつ当社でも用意できるようにしたい」と、あくまで前向きに話してくれた。

プログラミング学習への参加を通じて「事業として進むべき1つの方向性を確信した」と話す長者原さん。今後は、そのアピールとともに、「いずれは時間をかけつつ、当社でもカリキュラムを用意したい」と意欲的に話す。

プログラミング学習への参加を通じて「事業として進むべき1つの方向性を確信した」と話す長者原さん。今後は、そのアピールとともに、「いずれは時間をかけつつ、当社でもカリキュラムを用意したい」と意欲的に話す。

教育分野に向けた取り組みはまだ緒に付いたばかりであり、上述のような課題がある。が、同社のプチロボは、誰でも同じような完成型になるものではなく、組立にはコツが求められる。失敗する要素があるが、それが創造力や発想力などの育成につながり、かつモノづくりを体験できるものになっている。ここに大きな価値があることを現場の教員も、ベネッセおよびMS社も理解しており、そこにプチロボが期待される理由があることを感じさせられた。


掲載日:2008年11月18日

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