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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「ロボットを機械以上の存在に昇華できる。デザイン・外装設計にはそうした力がある」〜企画から販促までを一手にコーディネート〜【ロボクリエーション】

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金井 進さん

ロボクリエーション
代表取締役 金井進

〒589-0011
大阪狭山市半田5-1214-1

http://www.robo-creation.com/

わが国のロボットアニメの代表作品と言えば、「鉄腕アトム」あるいは「鉄人28号」を挙げる人が多いだろう。その「鉄人28号ロボット」の企画・総合プロデュースを手がけたのが、ロボクリエーション代表の金井進さんである。
 「つくるなら、やはり本物にこだわりたかった・・・」
 そう語る金井さんは、身長38cmのロボットに情熱を注ぎ、ディテールに至るまでつくり込みを行った。まさに力作である。
 2005年に発売した、この「実写映画版鉄人28号ロボット」は200体を完売。その勢いをかって、翌年には「TVアニメ版鉄人28号ロボット」を100体限定で発売。さらに、今年7月には、企画協力として開発サポートした「ブラックオックス」を30体限定で発売した(発売はいずれもヴイストン)。

同社は、大手ファーストフード店の販促促進や家庭用品およびグッズ開発といったノウハウを持つ金井さんが2005年に立ち上げた企業である。ロボットの企画設計から製作、販売までをトータルで行い、これまでに数々のロボットの開発プロジェクトに関わっている。

金井さんが企画、外装設計、量産・販売までを手がけた実写映画版「鉄人28号ロボット」 「TVアニメ版鉄人28号ロボット」 金井さんが企画協力した「ブラックオックス」。鉄人28号から機構設計や要素部品を一新し、起き上がり動作や歩行の安定性など運動性能を向上させた。鉄人28号が17軸だったのに対し計20軸に増やした。

金井さんが企画、外装設計、量産・販売までを手がけた実写映画版「鉄人28号ロボット」(左)と「TVアニメ版鉄人28号ロボット」(中央)。(C)光プロダクション/敷島重工  金井さんが企画協力した「ブラックオックス」。鉄人28号から機構設計や要素部品を一新し、起き上がり動作や歩行の安定性など運動性能を向上させた。鉄人28号が17軸だったのに対し計20軸に増やした。(右)(C)光プロダクション/敷島重工

ロボット開発のコーディネーターとして活動

ロボクリエーションは、ロボットの企画から設計、デザイン、試作、部品の手配、カタログやチラシ、ホームページの作成に至るまで、一連のプロセスを手がけている。このような業態を持ち、かつ守備範囲の広い企業は非常に珍しい。開発や試作にあまりコストをかけることができない中小企業を強力にサポートしている。
 「中小企業がゼロベースからロボットを開発することは難しいです。しかも、売れるものをつくるには各工程でそれぞれのプロの手を借りるべきですが、それでは、開発コストは数千万規模になってしまいます。そんな悩みを抱える企業さんの開発をお手伝いする――。それが僕の役割なのです」
 金井さんは自社の特徴を、そう説明する。

上述の通り、金井さんは起業する以前に勤務した企業にて、大手ファーストフード店の販促グッズの企画・開発、販売などを担当していた。ここでの経験から、開発には商品のあり方から使い方のアイデア展開までが必要であり、また、ここで経験を生かせると感じてロボット開発に関わるようになった。
 しかしながら、ロボットを開発しても、すぐに販売できるという簡単なものではない。ロボット開発に触れるに従い、「自分で企画しなければロボット業界の実態や裏側がわからない・・・」と思いを強くするようになり、生まれた企画が実写映画版鉄人28号の商品化である。

その企画では、「アニメのロボットを現実のロボットにできるのか?」「一般向けに販売して売れるのかどうか?」と非常に悩んだという。また、ロボットマニアではなく、鉄人28号マニアが購入するということもあり、「誰に向けて売ればよいのかもわからなかった」とも言う。が、優秀な外部のスタッフを集めることで完成に至り、クレームもなく無事に完売した。ここでの経験を通じて、「良いところも悪いところも含め、ロボット開発の現状を知ることができました」。金井さんは、そう振り返る。
 その後、金井さんはもっと異なる角度からロボットビジネスに関わりたいと思い、50歳のときに同社を立ち上げる。そして、冒頭で紹介したTVアニメ版鉄人28号やブラックオックスの開発につながるのである。

デザインによりロボットを機械以上の存在に

金井さんは企画・開発から手がけるため、デザインや外装制作を手がけることが多い。最近だけでも、本連載第3回で紹介したトイレの床面清掃ロボット「Lady Bird」(西日本高速道路メンテナンス関西)や、男性トイレ洗浄ロボット「DCBA(ダスベエ)」(マーテック、明興産業)の外装製作を手がけている。こうした経験を踏まえ、金井さんはロボットデザインの重要性を指摘する。

金井さんが外装設計を担当した「Lady Bird」(写真提供:知能技術) 企画協力、外装設計を担当した男性用トイレ清掃ロボット「DCBA(ダスベエ)」

(左)金井さんが外装設計を担当した「Lady Bird」(写真提供:知能技術)(右)企画協力、外装設計を担当した男性用トイレ清掃ロボット「DCBA(ダスベエ)」

現在のロボットは『こんにちは!』と声を掛けても、音声認識技術が未成熟であるために、トンチンカンな返答がなされることが多い。それを許容し、思わず笑ってしまうようなインタラクションをはじめ、さまざまなつくり込みが模索されているが、「それとイコールになるようなデザインが望ましい」と、金井さんは話す。
 例えば、上述のダスベエはゾウをモチーフにデザインされている。『なぜにゾウなのか?』と疑問を抱く一方、なんだか楽しい気分にさせられてしまう。
 「単純に、ゾウの掃除ロボットが高速道路のサービスエリアにいたらおもしろいですし、トイレ内をウロウロしていること自体が楽しいです。確かに実用上、その清掃機能は問われるのでしょうが、このようなデザインを持たせることにより、そればかりが問われる存在ではなくなるはずです」
さらに、金井さんは続ける。
「産業用ロボットは、一見すると無骨に見えますが、各生産現場では名前を付けて声を掛けるようなことをしている作業者がいます。彼らにとっては、きっと単なる産業用ロボットではないのでしょう。同様に、デザインによって機械に親しみを持たせることができますし、単なる機械ではなくなるはずです。それにこだわってこそはじめて、"ロボット"という存在になり得るのではないでしょうか・・・」

既述のロボット以外にも、金井さんはセキュリティロボット「メイド形ロボット」(日本パナユーズ)、実証実験用ロボット「ブリキ風ロボット・ガラクタン」なども手がけているが、親しみやすさを感じると同時に、話しかけたくなるような関係性を感じてしまう(*1)。上述の金井さんの考えが伝わってくる。

デザインと機構そして外装設計を担当したセキュリティロボット「メイド形ロボット」 デザインと製作を担当した実証実験用ロボットのブリキ風ロボット「ガラクタン」

(左)デザインと機構そして外装設計を担当したセキュリティロボット「メイド形ロボット」(右)デザインと製作を担当した実証実験用ロボットのブリキ風ロボット「ガラクタン」

なお、冒頭で紹介したブラックオックスについては、金井さんは企画の立ち上げを担当しただけで、外装製作には関与しなかった。
 当初、金井さんはコスト面を考慮し、首部が可動しないモデルを試作として提示した。しかし、開発を担当したヴイストン側より首部を可動させることへのこだわり、それができてこそブラックオックスであることへのこだわりを聞き、「トコトンこだわった方が良いものができると考え、彼らの意見を尊重した」。組立完成品ということもあり、価格は79万8,000円にもなったが、「それだけに質の高いものに仕上がっていますよ」と、満足げに話す。

*1:ロボットを親しみやすく、また可愛らしく見せるアプローチには、さまざまな考え方がある。エンターテイメント系のロボット開発を手がける企業の中には、現在のロボットが何もできないことを積極的に見せることで、魅力的に見せようと考えているところもある。

例えば、バンダイロボット研究所の芳賀義典所長は、「メイドロボットのようなものも,アプローチの1つとして考えられる」と話す。自分のために何かをしてくれる行為はとても"可愛らしく"、"けなげ"に見える。子供が自分のために何かをしようとして失敗したとしても、叱らないのはそのためと言える。ロボットが人のために何らかのタスクを行えるようになるのはまだまだ先の話であるが、それでも、「何かをしようとするところに"可愛らしさ"や"けなげさ"のようなものを実現でき、かつ性格付けがなされていれば、ホームロボットの1つとして成立すると考えている」という。「ロボットが、仕事ができないことを前提に、いかにおもしろく、かつ欲しいと思わせるのかが直近のテーマ」と説明する。

ロボシティコア構想をもっと議論してもよい

現在、進められている梅田北ヤード再開発事業において、次世代ロボットの研究開発拠点となる「ロボシティコア」の設置が予定されている。また、関西経済連合会は、梅田北ヤードの再開発事業に関連して「北梅田ロボット×ユビキタスシティ構想」を発表し、産学官が連携してロボットと人間が共存する街づくりを目指している。大阪を『ロボット都市』へと育てていこうとする気運がある。
ただし、これらの計画では明確な方向性が示されているとは言い難い。次世代ロボットネットワーク「RooBO」の取り組みが活発なのとは対照的に、『今ひとつロボシティコアのイメージが掴みづらい』という声が行政側に対し聞かれる。「大学や企業、大手も中小も含めて、街づくりについて活発に議論をしていかなければ・・・・・」。金井さんは、そう思案顔をする。

金井さん自身としては、次のような考えを抱いていることを明かす。
「単なる技術展示ではなく、1つのロボット化した空間を体感できるスペースとして開放し、エンジニアは来場者の反応を見られるような環境であるべきだと思います。そのようなスペースが開発側に刺激を与え、新たなものを生み出す契機になるのでしょうから。そして、『北ヤードに行くとおもしろい!』『大阪に行くとおもしろい!』と言ってもらえるようなスペースとなることで、新たなモノづくりに結び付くような接点を提供できるのではと考えるのです」
 つまり、「マーケットとのコミュニケーションの場、また、エンジニア同士が互いに切磋琢磨できるような場になることを望んでいるのです」と説明する。

大手ファーストフード店などでの販促グッズの開発を通じて、「特に女性を意識したモノづくりを経験してきた」と話す金井さん。「いずれはロボット開発でも女性の意見を重視した開発が要求され、このときに自身の経験が生かせるのでは」と、自身の強みを説明する。

大手ファーストフード店などでの販促グッズの開発を通じて、「特に女性を意識したモノづくりを経験してきた」と話す金井さん。「いずれはロボット開発でも女性の意見を重視した開発が要求され、このときに自身の経験が生かせるのでは」と、自身の強みを説明する。

そうした発展を期待しつつ、最後に、金井さんは自身の目標をこう話してくれた。
「いずれは杖代わりになるような、介護や福祉で役立つロボットの製作を構想しています。が、最も使ってほしい人たちが、高価なために使えないという矛盾を解消しなければならないためハードルが高く、まだまだ将来的な目標です。ただ、心の寂しさを紛らわしてくれる、ペットのような存在のロボットもあるわけで、そうしたところから徐々にステップしていければと思います。
 これまで、キャラクター商品や企業のマスコットなどのロボット化に取り組んできましたが、それは市場への導入が比較的容易だと捉えたからです。同様に、そうしたロボットの製作・導入を通じて、使ってほしいと願う人たちが入手するための課題を整理していければと思います」

年々着実にロボットへの期待感が高まっているが、それとニーズとのギャップがあり、なかなか普及や導入に至っていない。そのギャップを埋めていくことが重要であり、金井さんは、そうしたアプローチにて取り組み、地元大阪の『ロボット都市』構想に寄与していくようだ。


掲載日:2008年11月11日

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