本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > ロボ・ステーション

ロボ・ステーション


ロボットが拓く!あしたの農業
【技術動向編】拡大する“空間ロボット”「植物工場」とRTの融合を予測する!(2)

画像をクリックすると拡大表示します

植物工場の形態と特徴

植物工場のタイプは、既述の通り、大きくは「太陽光利用型」と「完全制御型」に分けられる。
 太陽光利用型は、その名の通り、太陽光を利用して栽培するシステムである。従来のハウス栽培や水耕栽培の延長線上に位置づけられる。カイワレ大根や三つ葉、リーフレタスなどの各種葉菜類、トマト、イチゴ、バラなどの生産が行われている。カゴメが1998年より販売している「コクミトマト」は、大型の水耕温室で周年生産されたものである。
 果菜類や穀物の生産には必須となっているが、システムの特性上天候に左右されやすい。特に夏場は温度管理が困難で窓の開閉などを行う必要があるため、植物工場と言いながら、無農薬栽培が難しい。また、平面式での栽培に限られるために広大な設置面積を必要とし、単位生産量当たりでの設備コストがかかる。

太陽光利用型植物工場の一例。写真は農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶作業研究所(愛知県武豊町)のUECSモデルハウス。トマトを栽培している。太陽光利用型植物工場の一例。写真は農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶作業研究所(愛知県武豊町)のUECSモデルハウス。トマトを栽培している。
完全制御型植物工場の一例。写真はエスペックミックの有機水耕栽培の実験プラント。完全制御型植物工場の一例。写真はエスペックミックの有機水耕栽培の実験プラント。

一方、完全制御型は人工光のみで生産を行う。一般には人工光の照度、日長、温度、湿度、養液PH/EC、液温、CO2などを自動制御して、栽培に最適な環境を維持する。
 天候や場所に左右されず、植物の育成ラインを縦方向に積み重ねた立体的な構成にできるため、狭い土地で大量生産が行える。また、細菌数が非常に少なく、環境条件を適切に制御しているのでビタミンやミネラルの含有量が多い*1。すでに普及しているモヤシやキノコに加え、レタスやホウレンソウ、ハーブをはじめとする葉野類が栽培されている。

*1:高辻客員教授によると、「野菜の栄養価は第一義的に言えば光量で決まり、十分な光量が照射されれば栄養分が高くなる」という。

ただし、設備コストに加えて電気代がかかるため、太陽光利用型と比して採算ベースに乗せるのが難しい。結果、光源の選定および組み合わせ、光強度および照射の方法、反射膜の材質および形状の選定など、電力代の多くを占める光源が議論の中心となっている。現在、使用されているおもな光源は、以下の図のようにまとめられる。

植物工場で利用されるおもな光源

高圧ナトリウムランプ蛍光ランプLED
外観 高圧ナトリウムランプ 蛍光ランプ LED
特徴
  • 高効率・高寿命
  • 赤色光合成分が多い
  • 低発熱で近接照明が可
    安価で扱い安く、植物育成に適したランプあり
  • 低電圧駆動で低発熱
  • 植物に適した波長にでき、パルス照射が可能
欠点
  • 青色光成分が少ない
  • 発熱量大きく、多段栽培に不適
  • 出力があまり高くない
  • 植物の成長に必要な赤色成分が少ない
  • 単位出力当たりのコストが高い
  • 出力が低い

※そのほか白熱電球、メタルハライドランプが利用される。前者は赤・遠赤色光成が多く、安価だが、効率が悪く、かつ発ネル量が多い。後者は高出力で青色光成分が多いが、発熱量が多く、高価。

また、現在技術でも果菜類や穀物類の生産は可能だが、成長した部分のほとんどを出荷できる葉野菜と異なり、実の部分しか出荷できないため採算ベースに乗せるのは難しい。そのために、葉野菜類の生産が中心になっている。

こうした事情から、完全制御型植物工場に自然光を利用する、ハイブリッド型と言える「屋上採光型植物工場」(日建設計など*2)が研究されている。自然光を採光・搬送する光ダクトシステム*3と自動調光制御技術を採用したもので、自然光を取り入れながらも、栽培空間を一定の光強度を一定に維持することができる*4。実験では、照明エネルギーの7〜10%を削減しつつ、人工光のみの環境で栽培したリーフレタスと同等の品質を確保できたことを確認したという。
 ただし、自然光という制御不可能な光源を利用するため、いかに定量的に、そのエネルギーマネジメントが行えるが課題となっている。

*2:「二酸化炭素固定化・有効利用技術実用化開発」(経済産業省)として取り組まれた。

*3:内側を鏡面仕上げにしており、開口部からの入射光を反対側へ搬送し、その途中または末端で光放射する機構を持つ。鏡面の可視光反射率が高いため減衰が少なく、自然光を効率良く採光することができる。

*4:この実験施設では、排CO2を有効利用することにより、植物の生産に使用するCO2ボンベ製造時のCO2排出削減、より安い価格でのCO2ボンベの購入にも取り組もうとしている。植物工場とエネルギー循環、自然エネルギー利用を融合させていることから、「地球環境工場」という概念を打ち出している。


掲載日:2008年10月31日

前の記事次の記事


このページの先頭へ