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ロボ・ステーション


ロボットが拓く!あしたの農業
【総括編】ロボティクスがもたらす農業革新(1)

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「食に対する消費者の信頼性の低下」「食品原料価格の変動」「耕作放棄地の増加による地域自然への影響」「農業従事者の減少による農村地域の超高齢化」・・・・・
  ここ最近、農業をめぐる話題は非常に暗く、重苦しいものばかりである。

このような「食の危機」「市場の危機」「環境の危機」「地域の危機」を迎える一方、消費者は食に対し「安全」「美味」「機能性」を求めている。単に安い食品を求めるのではなく、食の安心・安全を望んでおり、さらには健康の保持・増進に役立つ食品への関心が高い。また最近は、経済発展が目覚ましいアジア諸国の富裕層を中心に、同様のニーズが日本の農業に期待されるようになっている。   このような複雑かつ高度な課題に立ち向かうためには、農業の工業化が達成されることが必須であり、その一手段として農業ロボットへの関心が高まってきている。

古くから研究されている農業ロボット

ここ最近、何かと取り上げることが多い農業ロボットだが、その開発はかなり以前より取り組まれている。農林水産省の各種施策を通じて、“農作業の機械化”という観点から取り組まれている。
 代表的なものは、1993年より実施されている「農業機械等緊急開発事業(通称「緊プロ」)」である。同年に「農業機械化促進法」が改正され、その基本方針に基づいて実施された。その中で、生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター、当時:生物系特定産業技術推進機構)にて耕耘ロボットが開発されている。

その後、緊プロは5年後の基本方針の改定により事業を組み換えて継続し続けている*1、1998年からは「21世型緊プロ」が、2003年からは「次世代緊プロ」が、そして2008年度からは「第4次緊プロ」がスタートしている。
 また、1994年よりスタートした「未来型軽労化農業技術確立のための基盤技術に関する総合研究(通称「軽労化農業」)」にて、中央農業総合研究センター(当時:農業研究センター)が自動走行や各種センシングに関する研究を実施している。2000年からは包括的な研究がなされるようになり、「PART3」で取り上げる、さまざまな要素技術が開発されている。

現在は、上述の緊プロのほか、「実用技術開発事業*2 (2007年までは「農林水産高度化事業」)」にて、東京工業大学が取り組む農業用パワーアシストスーツなどが、2007年よりスタートした「担い手の育成に資するIT等を活用した新しい生産システムの開発(通称「担い手プロ)」にて、トマトなどの収穫・選果ロボットの研究開発が進められている。
  農業ロボットに特定したプロジェクトは存在しないが、農業機械の高度化、IT利用といった観点から、その開発が各種施策に適時組み込まれてきた。

*1:「農業機械等緊急開発事業(緊プロ)」(1993年〜1997年度)、「21世紀型農業機械等緊急開発事業(21世紀緊プロ)」(1998年〜2002年度)、「次世代農業機械等緊急開発事業(次世代緊プロ)」(2003 年〜2007年度)、そして、今年度からは「第4次緊プロ」として8課題がスタートしている。
 農業ロボット関連の開発プロジェクトは、まずは競争的開発資金により実施されている。2008年度は農水省のみで130億円程度の予算枠がある。競争的研究資金とは、国や独立行政法人など資金配分主体が広く研究開発課題を公募し、ピアレビュー方式による外部評価を実施し、提案された課題の中から、専門家により科学的・技術的な評価により実施すべき課題を選定し、研究者に配分する研究開発資金のこと。

*2:実用技術開発事業は、研究のタイプにより「研究領域設定研究」(1年当たり上限5,000万円)、「現場提案型研究」(同上限3,000万円)、緊急対応型調査研究(同上限1,000万円)がある。1課題につき原則3年以内となっている。

次世代農業モデルとの出会で関連技術が普及へ

このように、さまざまな施策、枠組みにて各種農業ロボットが開発されてきたが、一部を除いて、ほとんどが実用化に至っていない。

 一方、ここ10年にわたり研究開発がなされてきた「精密農業」と呼ばれる次世代農業モデルの成果が出始め、関連するITおよびRT(Robot Technology)などの要素技術が姿を現し始めている。そして現在は、「IT活用型営農成果重視事業」(2006年〜2008年)にて、経営目的に合致したかたちで、関連技術をパッケージ化する取り組みが展開され、次の段階を迎えようとしている。
 つまり、農場管理手法であり、ビジネスモデルでもある精密農業の登場により、関連する研究成果が、それに組み込まれるかたちで普及し始めようとしているのである。さらには、緊プロなどで研究開発なされてきた農業ロボットの実用を促すことも期待されている。

このように、精密農業を軸に農業の工業化を達成することにより、冒頭の課題に対応する基盤が形成されつつある。また精密農業は、この研究の第一人者である東京農工大の澁澤栄教授によると、『日本型精密農業』モデルとして、パッケージ化した要素技術および知財を海外展開していくことが模索されているという。それほどまでに、期待が高い農業モデルなのである。

今月の特集では、さまざまな農業をめぐる課題を解消する手段として注目される農業ロボットを取り上げ、最近の技術動向を紹介する。特に、次世代農業モデルと期待される精密農業については、その概念および関連する要素技術を取り上げるだけでなく、農業ロボットの普及に対し、どのような効果を与えるのかを考察する。さらに、これを参考にサービスロボットの普及に向けて取り組むべき課題も考えてみる。

(取材協力)
生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)企画部企画第2課 松尾陽介氏
東京農工大学 共生科学技術研究院環境資源共生科学部門教授澁澤栄氏
農林水産省農林水産技術会議事務局研究調査官中嶋勇氏

掲載日:2008年10月31日

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