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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「うちのロボットは、社に親しみを抱いてもらうことに寄与しています」〜広告宣伝と社員のモチベーションアップの役割を担うペンギンロボット〜【サンコーインダストリー】

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奥山泰弘代表取締役

サンコーインダストリー
代表取締役 奥山泰弘

〒537-0014
大阪市西区立売堀1-9-28
http://www.sunco.co.jp

本連載では、ロボット開発企業の開発担当者の話をもとにまとめているが、今回は、ユーザー企業に話を聞き、その利用方法および効果をまとめている。

本社2階に上がると、『いらっしゃいませ。○○部へご案内いたします!』と、ペンギンロボットが暖かく出迎えてくれる。その愛らしい動きと案内に、つい心がなごまされる――。

ねじの総合商社・サンコーインダストリーが導入した、受付案内をする「ペンギンロボット」が社内外で話題になっている。同社の奥山泰弘社長が大阪市の次世代ロボット開発ネットワーク「RooBO」メンバーと知り合ったことがきっかけで開発が決まり、2005年に完成した。
  話題ばかりが先行しがちだが、その導入には「より楽しい職場環境を提供できれば・・・」という、奥山社長をはじめとする経営陣の思いが秘められている。

ユニークな社風、社内の演出に寄与

サンコーインダストリーは、地元・大阪では“ハイテクねじ屋”として知られる企業である。特に、4〜7階建ての4棟が連なる「東大阪物流センター」は徹底したコンピュータ管理がなされている。すべての在庫パッケージにはバーコードを添付することで、ロスの少ないピッキングで素早い出荷を可能にしている。2001年と2005年には「関西IT活用企業百撰」の最優秀賞を、2007年には第1回「大阪府経営合理化大賞」をそれぞれ受賞した。

また、ユニークな社風を持つことでも知られている。トレーニング用のジムやレストラン風の社内食堂、バー風の会議スペースなどがあるうえ、マーライオンやロッジ風暖炉、ねじのオブジェなどが、社内のあちこちに置かれている。そんな社内を案内されると楽しい気分にさせられる。
  そして、その演出に一役買っているのがペンギンロボットである。

同社は創業当初より、誰からも親しみが持たれるペンギンを企業キャラクターにしている。そのロボット化を進めるべく社内でアイデアを募り、導入したのが上述のロボットである。
  「当初は、からくり人形のようなお茶を運ぶようなロボットを考えていましたし、ほかにも、さまざまなアイデアが寄せられました。最終的には、お客様を暖かくお迎えするのがよいという考えに至り、受付案内をするペンギンロボットが完成したのです」
  同社取締役の奥山淑英さんは、その経緯を説明する。

(左)本社2階の入り口で暖かく向かえてくれるペンギンロボット。社内では『ペンペン』という愛称で親しまれている。(右)社内には企業キャラクターのペンギンがあちこちで飾られている。明るい雰囲気をつくり出している。

(左)本社2階の入り口で暖かく向かえてくれるペンギンロボット。社内では『ペンペン』という愛称で親しまれている。(右)社内には企業キャラクターのペンギンがあちこちで飾られている。明るい雰囲気をつくり出している。

同社の企業キャラクターは、「3Qトリオ」という、3匹のペンギンから構成される。それぞれ「Quality=品質」「Quick=迅速」「Quest=探求」を意味しており、これら3つの「Q」が揃って初めてお客さんに感謝してもらえる、ということを示している。それを表現すべく、当初は3体のロボットの導入を考えていたようだが、今はまだ1体の導入にとどまっている。
  それでも、ペンギンロボットは3Qトリオと同様、顧客にも社員にも親しみを持って迎えられている。また、新卒採用の会社説明会や合同セミナーでは訪問する学生の注目の的になっており、参加者の増加に寄与している。

親しみやすさで宣伝効果に寄与

導入したペンギンロボットはシステクアカザワを中心とする、複数の「RooBO」会員企業からなる開発チームにより開発されたものである。

ロボットの胸部には「営業部」「仕入部」「総務・経理部」の行先ボタンがあり、「案内モード」「セミナーモード」「遠隔操作モード」の各モードに応じて、設定された動作を行う。
  例えば案内モード時では、訪問する部署のボタンを押すと『いらっしゃいませ。○○部へご案内いたします!』と挨拶をし、廊下に埋め込まれたガイドテープ(磁気テープ)に沿って案内をする。その際、各部署に向かって『お客様を案内しています!』と声を出し、左右の腕を振りながら移動する。案内を終えると、お客さんが過ぎ去ってから数秒後に入口ステーションに戻り始め、初期状態に復帰する。
  また、見送り時には、「お見送りボタン」を押すと、右手を頭の側まで上げ、小さく手を振りながら『ありがとうございました。お気をつけてお帰りください!』と、声をかけてくれる。

(左)訪問する部署のボタンを押すと、『いらっしゃいませ。○○部へご案内いたします!』と挨拶をし、廊下に埋め込まれたガイドテープ(磁気テープ)に沿って案内をする。(右)案内を終えると、お客さんが過ぎ去ってから数秒後に入口ステーションに戻りはじめ、初期状態に復帰する。

(左)訪問する部署のボタンを押すと、『いらっしゃいませ。○○部へご案内いたします!』と挨拶をし、廊下に埋め込まれたガイドテープ(磁気テープ)に沿って案内をする。(右)案内を終えると、お客さんが過ぎ去ってから数秒後に入口ステーションに戻りはじめ、初期状態に復帰する。

(左)頭部の3本の毛が「ふれあいボタン」になる。入り口ステーションでの待機モードで、このボタンを押すと、時間に合わせた発話と動作が再生される。(右)お見送り時は、右腕を頭の側まで上げて、小さく振りながら「お気を付けてお帰り下さい」と、声をかけてくれる。

(左)頭部の3本の毛が「ふれあいボタン」になる。入り口ステーションでの待機モードで、このボタンを押すと、時間に合わせた発話と動作が再生される。(右)お見送り時は、右腕を頭の側まで上げて、小さく振りながら「お気を付けてお帰り下さい」と、声をかけてくれる。

「確かに、人の歩行速度よりも遅いので、実際に受付案内に役立っているとは言い難いです・・・・。しかも、導入した頃は、その扱いに随分手がかかりましたし・・・」
奥山取締役は苦笑する。
  「でも、案内されたお客さんや、入社を希望される方は総じて親しみを感じておられ、結果、当社の宣伝に寄与しています。実務的ではないですが、そうした意味での効果は確実に得ていると思いますよ」と、そう冷静に説明する。

ペンギン型ロボットは、これまでにバッテリー位置の配置変更をはじめ、何度かにわたり機能強化および改良がなされてきた。最近では、5月開催の60周年記念イベントに向けた改良がなされ、オペレーションPCにゲームパッドを接続し、遠隔操作にて自由な動作や簡易的な録音再生を行えるようにした。より親しみを持たせるような機能強化がなされた。

(左)胸部には「営業部」「総務部・経理部」「商品企画部」があり、ボタンを押すと該当する部署に案内してくれる。これらのボタンの上にある左右のくぼみには距離センサが設置されている。前方約70cm以内の範囲に人や物体があれば、検知して一時停止する。(右)足下周囲にはガードセンサ(バンパセンサ)を設置している。ゴム表面のセンサに人の足や物体が接触すると、一時停止状態になる。

(左)胸部には「営業部」「総務部・経理部」「商品企画部」があり、ボタンを押すと該当する部署に案内してくれる。これらのボタンの上にある左右のくぼみには距離センサが設置されている。前方約70cm以内の範囲に人や物体があれば、検知して一時停止する。(右)足下周囲にはガードセンサ(バンパセンサ)を設置している。ゴム表面のセンサに人の足や物体が接触すると、一時停止状態になる。

ねじ業界で楽しく、気持ち良く働いてもらいたい

ねじ業界に関係する大きなイベントとして、6月に東京で、10月には大阪で開催される「機械要素技術展」がある。同社も毎年出展しているが、今年は業界では異例となる二桁以上のコマ数で出展している。同社ブースでは、ねじを無料配布していることもあり、ひときわ盛況となっているが、そこでもモックアップだが広告塔としてペンギンロボットを配置し、集客のアップを図っている。

「当社はねじ業界を牽引するレベルにまで成長しているので、率先して集客を図らないと、業界全体が明るくなりませんから・・・・」
奥山取締役は、その理由を説明する。

また、こうした活動に関連して、奥山取締役は次のような思いを話す。
  「ねじ業界は地味な世界であり、その製作や販売などにあこがれて入社するような人はなかなかいません。私は社員の採用も担当していますが、これまで、そのような人に出会ったことはありません。ねじがないと、どんな製品もアセンブリできないのですが、所詮はねじなのです・・・。
そんな中で、社員みんなに『いかに仕事にやりがいを持ってもらうか?』と考えると、より良い職場環境の提供しかないんです。『この会社はおもしろい!』とか『ここで働きたい!』とか思ってもらうことが大事であり、『ユニークな社風』と言われるような取り組みを展開しているんです」
  そして、そのような考えの延長線上にペンギンロボットの導入があることを伺わせる。
「『あの会社は、またなんか変わったことをしているなあ〜』という具合に、日々新たな話題を提供していくことが大切なのです」と、奥山取締役は続ける。

そう話す奥山取締役には最近、うれしい話題があったという。就職合同セミナーの会場で、『父がお世話になっています!』『小さい頃から御社のペンギンを知っています』と、ある学生から声をかけられたという。その学生は就職活動をしている取引先のご子息で、同社に強い親しみを感じてくれていたようだ。
  ペンギンロボットの導入につながる一連の活動において、「勤務する社員が『自分の子供も、この会社に入社させたい!』と思わせるのが目標」と奥山取締役は話すが、すでに、それに近いことが起きているようだ。

「受付案内ロボット」と聞くと、お客さんのために導入したものだと思われがちだが、奥山取締役の話を聞いていると、社員を気遣ってのものであり、またねじ業界の特性上、経営には求められる取り組みであることに気付かされる。
  こんなに社員を思いやる企業が存在することに驚かされるとともに、ロボットの導入を宣伝効果と社員のモチベーションの向上に結び付けることに感心させられた。

(取材&テキスト作成:村田寛之)


掲載日:2008年10月 7日

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