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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「お悩み解決型ロボットの提供が僕の役割ですね!」〜ロボットのインテグレータとして存在感を示す〜【知能技術】

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大津 良司代表取締役

知能技術(株)
代表取締役 大津 良司

〒550-0001
大阪市西区土佐堀1-2-24
http://www.chinou.co.jp/

RT(Robot Technology)に関する知識や開発技術に加え、顧客との高いコミュニケーション能力、企業および人的ネットワーク・・・・・。
 これらを備え、ビジネス展開をしているのは、知能技術 代表取締役の大津良司さんである。2007年7月に起業した。
 現在のロボットビジネスには、同社のような開発メーカーと顧客のニーズをつなぐ“インテグレータ”が求められているが、まだまだ少ない。ゆえに、ロボット業界において同社の存在感はますます高まっている。

ニーズとシーズをつなぐインテグレータ

現在のロボットビジネスでは、“ロボットをつくること”そのものをビジネスにしているところあまりにもが多い。
 「確かに、ロボット市場が拡大する気配があるとはいえ、『買って下さい!』と上市して、まだまだ売れる時代ではないです・・・」
 大津さん自身もそう話す。

しかし、「関西にはロボット開発に役立つ、優れた技術を保有する中小メーカーさんが多いです。これらの企業ネットワークをうまく活用することにより、顧客ニーズに合致したロボットを開発できるポテンシャルが十分あります。
 だから、ソリューション提供型企業として“お悩み解決ロボット”をつくる――。それが当社の役割でありスタイルなのです」。
 大津さんは、解決策の一例を提示するとともに、自社のビジネスをそう表現する。

このようなビジネススタイルを可能にしているのは、何より、大津さんが高いコミュニケーションおよびコーディネーション力を備えているからである。
 大津さんの仕事は、徹底したヒアリングから始まる。漠然としたクライアントの悩みを把握し、顧客ニーズを明確にする。それを仕様書にまとめ上げ、各要素技術を持つ企業のキャスティングを行い、各社の持つロボット技術によってソリューションへと導く。
 その仕事の流れは、まさに“お悩み解決”と言えよう。

昨年は、NEXCO西日本の関連企業の依頼を受け、トイレ清掃ロボット「LadyBird」と、作業規制エリア侵入検出ロボット「仁王」を完成させた。
 高速道路のサービスエリアのトイレ清掃や、道路の維持管理作業は典型的な3K職場になっている。LadyBirdは清掃員の作業負荷を軽減する役割を、また、仁王は車線規制区域に侵入する車を検知し、作業員に避難警報を発すると同時にドライバーに警告を出す機能を、それぞれ有している。地元大阪の複数企業とのコラボレーションにより実現させた。

高速道路サービスエリアで活躍する遠隔操作型のトイレ清掃ロボット「LadyBird」。床に水を吹き付けてブラシがけをし、バキュームで水分を吸い取る。

高速道路サービスエリアで活躍する遠隔操作型のトイレ清掃ロボット「LadyBird」。床に水を吹き付けてブラシがけをし、バキュームで水分を吸い取る。

作業規制エリア侵入検出ロボット「仁王」のシステム概要。2つのステレオカメラと長距離・高速センシングレーダにより距離を測定。設定した危険距離まで近づいてきた場合は、ヘルメットに搭載した骨伝導マイク・スピーカにより作業者に危険を知らせる。同時に、ドライバーにも警告を出す。

作業規制エリア侵入検出ロボット「仁王」のシステム概要。
2つのステレオカメラと長距離・高速センシングレーダにより距離を測定。設定した危険距離まで近づいてきた場合は、ヘルメットに搭載した骨伝導マイク・スピーカにより作業者に危険を知らせる。同時に、ドライバーにも警告を出す。

1回目の起業、サリーマン生活などを経て、さらに起業

これらの実績により「知能技術」という社名は知られつつあるが、実は、大津さんにとって同社が初めての起業ではない。
 大学を卒業した後、富士通に入社し、システムエンジニアとして活躍した。その後、ソニーに転職し、故盛田昭夫会長の「起業のススメ」の影響を受け、2年間の勤務の後、1995年1月に移動体通信制御技術を核にした企業を立ち上げた。

「阪神大震災の被害状況をテレビで見ていたとき、メディアの情報を頼りに現場の状況を把握していることに、大きな違和感を覚えました。『国や自治体が、どうして情報収集のためのインフラを整備しないのか?』と。そこで、1人で現場に行ってテレビ中継が行えるシステムを防衛庁に提案したところ強いニーズがあり、それを事業の柱に考えたのが起業のきっかけでした」

移動体通信制御技術の結晶とも言える無人建設ロボットが実用化に至ったのは、雲仙普賢岳の被災現場だった。大手建設会社からの依頼を受けて開発したもので、大型ダンプトラックや油圧ショベルの遠隔制御や画像伝送を行った。その後、同技術は自動車メーカーや鉄鋼メーカー、発電所、消防庁、海上保安庁など、さまざま分野で応用された。

このとき起業した会社は株主に吸収され、なくなってしまったが、再びサラリーマン生活を経験した後に転機が訪れる。昨年2月に大阪市の次世代ロボット開発ネットワーク「RooBO」メンバーと知り合ったことを機に、彼らとともに2度目の起業として自社を立ち上げる。

「大阪だけではロボット市場が限定されるため、ボランティアで東京での市場開拓を行っていました。でも、『やはり会社をつくらないといけない!』と思い直し、昨年7月に起業することになったのです。RooBO会員の協力がありスムーズに進められました」
 そう経緯を語るとともに、感謝の言葉を口にする。
 また、このような富士通やソニー、1度目の起業での経験が、現在のビジネスに大きく寄与していることを伺わせる。

そして起業後早々に、実績を上げたのが上述の「LadyBird」である。当初、イチからつくる予定だったが、水を出してブラシで床を磨きながらゴミをかき取り、たまった汚水をバキュームで吸い上げる従来掃除機の機能をベースに、おしゃべり機能や渋滞情報などの交通案内機能などを搭載した。

トイレ床面の清掃作業を行う「LadyBird」。力仕事の床面掃除を行うことで、清掃員の負担軽減を目指す。

トイレ床面の清掃作業を行う「LadyBird」。力仕事の床面掃除を行うことで、清掃員の負担軽減を目指す。

作業時間以外はサービスエリア利用者の問いかけにより渋滞情報などを提供する。

作業時間以外はサービスエリア利用者の問いかけにより渋滞情報などを提供する。

開発を依頼された当初、顧客は自身でニーズを掘り下げることができなかった。3Kの職場環境を改善したいという理想のもと、掃除ロボットをつくりたいという思いは感じられたが、その先の具体的なビジョンは見えなかった。

「顧客がどうしたいかを把握することが大切です。また、顧客の多くはロボット技術の限界を知りません。あらかじめロボットができないことを伝えておかないと、トラブルの原因になります。例えば、トイレの隅や便器は掃除できないなど、1つひとつをこまめに説明して理解してもらうようにしています。ゆえに、私の仕事はジグソーパズルのピースを埋めていくようなものなのかもしれません」
 大津さんはインテグレータの要所を、そう説明する。

LadyBirdについては、すでにバージョンアップに向けた開発に取り組んでいる。対人回避しながらトイレの隅や便器の回りを掃除できる、完全自動化ロボットの完成を目指してるいという。

顧客視点でのアプローチが基本

会社を立ち上げて2年目となる今年は、自身の後継者の育成と同時に、企業も大きく成長させたいと意欲を示す。

大津さんは、自身の仕事を踏まえつつ、ロボットビジネスのポイントを次のように話す。
 「企業は開発した製品をユーザーに押し付けることが多いです。三角のものが欲しいと言っているのに、うちは丸いものしかないからそれを買って下さい、といったミスマッチがよくあります。それをお互いが歩み寄って楕円のようなものを提供できるよう、お互いが納得するような方法の提示が必要です」
 そのためには、「製品ありきではなく、顧客視点でのアプローチこそが大切です。そうすれば、相手から悩みとなる潜在的なニーズを自然に言ってきてくれます」。

また、「開発したロボットを顧客に提案すると、『おもしろいね!』とよく言われます。が、評価されることと買ってくれることを混同してはいけません。そこには大きなギャップがあります。お金を出してまでロボットを買いたいという顧客を見つけ、また、そう思わせることが重要です。ゆえに、上述のアプローチが大切になるわけです」
 大津さんは、そう現在ロボットビジネスが抱える問題を指摘するとともに、顧客視点で捉えることの重要性を改めて話してくれた。

コミュニケーション能力とコーディネーション能力を駆使して、開発側と顧客側の双方が納得できるものの提案に務めている大津さん。柔らかい物言いながらも、顧客視点でのビジネス提案の重要性を説く。

コミュニケーション能力とコーディネーション能力を駆使して、開発側と顧客側の双方が納得できるものの提案に務めている大津さん。柔らかい物言いながらも、顧客視点でのビジネス提案の重要性を説く。

昨年、逝去された首都大学東京の谷江和雄教授は、将来のロボットビジネスは、RT要素メーカー、ハードウエアとして提供するロボットメーカー、これらを顧客ニーズに合わせて設計して提供するインテグレータの3業種による分業体制で運営されることを予想していた。
 大津さんはインテグレータに該当するわけだが、彼の存在が数あるロボットメーカー、RT要素メーカーを結びつけ、ひいては、ロボットビジネスに盛り上がりに寄与するものと思われる。今後、いかにその役割を担っていくのか、注目していきたい。


掲載日:2008年9月 2日

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