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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「累計1万台を突破しましたが、まだまだ売りますよ」〜プールクリーナー市場を席巻する大阪の下町企業〜【四柳】

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四柳 繁代表取締役

(株)四柳
代表取締役 四柳 繁

〒554-0075
大阪市此花区四貫島2-24-10
http://www.yotsuyanagi.co.jp/

四柳は、1968年から自社設計のプールクリーナーを発売してきた。これまで積み重ねてきた技術とノウハウをもとに、4年前からコンピュータ制御式のプール清掃ロボットの開発に取り組み、2006年にモータ駆動式全自動プールロボット「ハイパーロボMRX-06」を発売。そして現在、その後継機となる「四柳1号」の製品化に向けて実証実験を行っている。

マルチエヌ・タッチバックシステムを搭載することで、全自動でのプール清掃を可能にした「ハイパーロボMRX-06」 同社1階にあるテストプールで長時間連続可動テストを行っている開発中の四柳1号。同様に、マルチエヌ・タッチバックシステムを搭載している。 同社のロングセラー商品であり、手動式浮上タイプのプールクリーナー「スイトールSP-83L」

(左)マルチエヌ・タッチバックシステムを搭載することで、全自動でのプール清掃を可能にした「ハイパーロボMRX-06」 (中)同社1階にあるテストプールで長時間連続可動テストを行っている開発中の四柳1号。同様に、マルチエヌ・タッチバックシステムを搭載している。 (右)同社のロングセラー商品であり、手動式浮上タイプのプールクリーナー「スイトールSP-83L」

同社は、1号機の開発以来、プールクリーナー市場で累計1万台以上の販売実績を誇る。中でも、ロングセラー商品である手動式浮上タイプ「スイトール」は5,000台以上を納品している。ニッチな市場ではあるが、他に類のない数字である。
 それでも「まだまだ技術にも販売実績にも満足することはないですね〜」と、同社の四柳繁社長はさらなる意欲を示す。

独自技術で国内No.1の地位を築く

プールクリーナー業界No.1を誇る同社だが、1966年の創業当初は、ポンプ製品の販売に中心に事業を展開していた。「『主力のポンプ製品のほかに自社設計で何かつくれないか?』ということで、40年前にプールクリーナーを開発しました」と、四柳社長は先代社長の頃の話しを振り返る。また、早い段階でプールクリーナーの開発に携わったことが、現在の同社の地位を築くことになる。

今では、地元大阪ではプールクリーナーを進化させたプールクリーナーロボットの開発企業として知られるが、同社が携わる以前より、“ロボット”と呼べるようなクリーナーは存在していた。ただし、いずれも「ランダム方式」と呼ばれる、プール内を不規則に移動するタイプのもので、ゴミの取りこぼしがあるうえ、使用時に電源コードがよじれやすいという欠点があった。

そこで、同社は「スイッチバックシステム」を開発し、ジグザグ走行による規則的な往復移動を可能にした。そして、試行錯誤と改良を重ね、2006年には通算6世代目となるMRX-06の開発に至る。同製品では、ジグザグ走行をさらに進化させた「マルチエヌ・タッチバックシステム」を搭載している。

ジグザグ走行とは、プールの床面をN字型に往復しながら横方向へと進行する方式である。MRX-06ではリターンセンサシステムを搭載しており、本体前後に付加した2つのセンサがプール壁面を接触検知して、N字型の軌跡を描きながら横方向へと移動する。横方向への移動は、可動式センサがへこんだ側に、斜め後方に進むことで行う。さらに、プールの端まで進むとサイドローラーが横壁を検知し、可動式センサを切り替えて逆方向に進行する。これによりプール全体を隅々まで清掃する。

壁面に接触すると進行方向側の可動式センサがへこみ、へこんだ側に向かって斜め後方に進行する。

壁面に接触すると進行方向側の可動式センサがへこみ、へこんだ側に向かって斜め後方に進行する。

本体後部に設置した2つのセンサでは、両方が壁面に接触したことを感知した後に前方へと直進する。斜め後方への進行と前方への直進を繰り返すことで、すなわちN字の軌跡を描き続けることで横に移動していく。

本体後部に設置した2つのセンサでは、両方が壁面に接触したことを感知した後に前方へと直進する。斜め後方への進行と前方への直進を繰り返すことで、すなわちN字の軌跡を描き続けることで横に移動していく。

ベルト駆動によりプール底面を移動する

ベルト駆動によりプール底面を移動する

天井から見たマルチエヌ・タッチバックシステムの軌跡。スタートから黒線のように走行させると、N字型の軌跡で横方向に移動。サイドローラーがプールの横壁にタッチすると、反転して赤線のようなN字型軌跡で進行する。

天井から見たマルチエヌ・タッチバックシステムの軌跡。スタートから黒線のように走行させると、N字型の軌跡で横方向に移動。サイドローラーがプールの横壁にタッチすると、反転して赤線のようなN字型軌跡で進行する。

「ランダム方式だと浮いた電源コードが水面上でよじれたり束になったりするんです。しかし、マルチエヌ・タッチバックシステムではねじれが発生しませんし、全自動で2時間以上の清掃が可能になりました。当社の自信作と言えるものです。
 でも、そう簡単に開発できたものではなくて、15年くらいの年月を要しましたね・・・」
 四柳さんは、そんな苦労話も明かしてくれる。

ほかにも、MRX-06はゴミのみを吸引して水をきれいに濾過することができる。プール清掃の確実性が格段に進歩させたうえ、プールの水質環境にも大きく寄与している。

クレームへの対応により鍛えられる

こうした確かな技術で支持を得ているが、これに満足することなく、上述の「四柳1号」と名付けた新型機の開発に着手している。同社1階にあるテストプールで連続可動テストを続けている。

四柳1号はMRX-06と比較すると、本体の高さが10cm低く、重量が6kg軽くなり、スポーツクラブの女性スタッフでも扱える重量にした。さらに、水の抵抗を低減するデザインを取り入れ、出力を180Wから130Wにした。25mプールであれば、40分程度で隅々まで掃除することができる。

同機はすでに4カ月ほど実験を行っているが、いくつかクリアしなければならない課題があり、製品化にはもう少し時間がかかりそうだ。例えば、タッチセンサの反応の確実性や、プール底の形状や材質と駆動ベルトの相性といった課題などである。同社の実験用プールだけではなく、さまざまなプールを使って実験を重ね、来年の製品化に向けてデータを収集している。

端から実験の様子を見ていると、すぐに上市しても問題がないように感じられるが、過去の経験などもあり、慎重に進めている。
 「あらゆる可能性を想定してテストを行いますが、過去の開発を振り返ると、いろいろなクレームを経験しました。サビに始まり、塩素による腐食、摩耗、スムーズな軌道を描かない・・・などなど。クリーナーの問題もありますが、プールの形状やお客様の使い方を含めると、きりがなく、クレーとの戦いと言えるような歴史でした」
 「でも、このようなクレームやアクシデントに対応するかたちで、お客様が納得するよう改良を重ねることで、ようやく四柳1号に至るのです」
 四柳社長の右腕であり、営業課長の和田正裕さんは製品化の難しさを、そう話すとともに、慎重に取り組む背景を明かす。

四柳社長は、マルチエヌ・タッチバックシステムの開発に15年程度の年月を要したことを明かしつつも、独自技術に自信を覗かせる。 「クレームやアクシデントに対応には苦慮しましたが、お客様が納得するよう改良を重ねた結果、四柳1号の開発に至りました」と、説明する和田営業課長。今では、すぐにクレームの原因を予測できてしまうという。

(左)四柳社長は、マルチエヌ・タッチバックシステムの開発に15年程度の年月を要したことを明かしつつも、独自技術に自信を覗かせる。 (右)「クレームやアクシデントに対応には苦慮しましたが、お客様が納得するよう改良を重ねた結果、四柳1号の開発に至りました」と、説明する和田営業課長。今では、すぐにクレームの原因を予測できてしまうという。

今では和田さんは、電話での簡単なやり取りだけでも故障の原因を理解できるようになったという。
 マルチエヌ・タッチバックシステムなど独自技術ばかりに目が行きがちだが、こうしたクレームへの対応が同社を鍛え、四柳1号の技術を支えていることを伺わせる。

海外を視野に入れた製品づくりを目指す

近年、スポーツクラブなどの急増を受け、プールクリーナーの国内需要は高まりつつあるが、海外でも相当な需要があり、また、品質が良ければ価格が高くても売れるという。
 「東京の障害者スポーツセンターのプールで利用されていた当社クリーナーの性能を見て、その足で大阪まで来て、即購入を決められた韓国のお客さんがいました。伊丹空港まで持参したことがありましたよ」
 四柳社長は、それを裏付けるようなエピソードを話してくれる。

プールの設置数で見ると、特に米国の方はわが国よりも圧倒的に多い。家庭用を含めると、約400万に上ると言われている。また、プールクリーナーメーカーも30社から50社近くあるとされる。
 国内ではすでに実績を上げており、また、品質が良ければ販売が期待されることから、「将来は海外の視野に入れて活動できれば!」と、四柳社長はさらなる意欲を示す。すでに米国では多く見られる、変型プールへの対応に向けて技術開発を進めているという。

プールクリーナーによる水質環境の確保というニーズには国境がないわけで、このように、技術にも市場にも貪欲に追求する同社の活躍の場が、一層広がるような気がしてならない。さらに進化した四柳1号が今後、いかに普及していくのか、期待を込めて注目したい。


掲載日:2008年8月27日

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