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ロボ・ステーション


新産業の創造に挑む!ロボット特区大集合
「こんな産業用ロボットの使い方があっても、ええんやない?」〜たこ焼きロボットが示す次世代産業用ロボットの可能性〜【東洋理機工業】

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細見 成人代表取締役

東洋理機工業(株)
代表取締役 細見 成人

〒555-0012
大阪市西淀川区御弊島6-13-60
http://www.toyoriki.co.jp/

最近、ロボット関連の展示会で、こうばしい香りとひと際大きい拍手喝采で注目を集めるロボットがある。大阪市の東洋理機工業が開発した「たこ焼きロボット」がそれで、汎用の多関節ロボットが1本の竹串を巧みに操作して焼き上げる。たこ焼きの返し作業など、なかなかさまになっている。

たこ焼きロボットは6軸多関節ロボットや家庭用たこ焼き機から構成。職人と同様、竹串を巧みに操作して焼き上げる。たこ焼きロボットは6軸多関節ロボットや家庭用たこ焼き機から構成。職人と同様、竹串を巧みに操作して焼き上げる。

たこ焼きロボットは6軸多関節ロボットや家庭用たこ焼き機から構成。職人と同様、竹串を巧みに操作して焼き上げる。

機械設計の観点から言えば、たこ焼きのような柔軟物は「難供給ワーク」として扱われる。専用治具を用意したり、ワークに何らかの作用を加えたりすることでワークを安定させるのが一般的である。竹串1本で調理をするというのは、機械設計の世界ではあり得ない方法であり、実際、きれいに焼き上がっているとは言い難い・・・。

「まずは、話題づくりが優先ですから・・・。ですので、売りませんよぉ〜」
同社社長の細見成人さんは、そう笑い飛ばす。

「僕が見せたいのは、ティーチィング・プレイバック制御だけでも、たこ焼きという“超D難度級”の作業ができること。そして、このロボットの作業を通じて、みなさんに産業用ロボットの新たな使い道を考えてほしいんです」
 そう熱心に話しを続ける。

次世代ロボットから次世代産業用ロボットへ

東洋理機工業は、各種ロボットの応用アプリケーションの開発を手がける企業である。中でも、1,000℃以上に加熱されたワークを把持して鍛造プレス機にセットする熱間鍛造ハンドリングロボットシステムを得意としており、これまでに多くの自動車部品メーカーに納品してきた。
 ほかにも、化学薬品分析検査ロボットシステム、ガス溶断ロボットやプラズマ加工ロボットシステムの開発なども手がけている。

また同社は、特に細見社長は地元大阪では、サービスロボットをはじめとする次世代ロボットの開発に熱心なことで知られている。次世代ロボット開発ネットワーク「RooBO」にて「カスタマイズチーム」を結成して、脳外科病院の夜間出入口で患者に優しく声かけを行う「見守りロボット」や、各種キャラクターロボットの開発を手がけたほか、半製品のカスタマイズロボット「イージーオーダーロボット」を発表している。
 イージーオーダーロボットは、コミュニケーションロボットに必要な機能をコンポーネント化したもので、音声認識や音声合成、ネットワーク機能などを、顧客ニーズに合わせて組み合わせて完成させる。今年2月からは受注生産を開始した。

こうした開発に精力的に取り組みながらも、細見社長は言う。
 「確かに、各種サービスロボットをはじめとする次世代ロボットの開発には、大きな期待が寄せられています。しかしながら、利便性に対して有意なコストパフォーマンスを持ったロボットを提供できていません。また技術的に見ると、ロボットを利用する環境の複雑さや自然言語処理、安全性の確保といった壁にぶち当たっています・・・」
 「だから、いまは『次世代ロボットから次世代産業用ロボットへ――』。そんなキャッチフレーズを掲げているんですよ」
 細見社長はこう説明するとともに、それがたこ焼きロボットの開発につながったことを明かす。

汎用ロボットでも人と同じことができる可能性がある!?

開発したたこ焼きロボットは、おもに安川電機の6軸垂直多関節ロボットと家庭用たこ焼き機などから構成される。外乱を考慮して、家庭用たこ焼き機には熱電対(温度センサ)を付加し、PID制御により±1℃の範囲で240℃を維持するようにしている。

使用した安川電機の6軸多関節ロボット。 市販の竹串を使用。奥に写っているのは、タネの注入口。 ハケには、ロボットが把持できるよう専用の取っ手を付けている。 たこは専用治具に固定して、ロボットが掴みやすくしている。

焼きの作業は、たこ焼きのタネの投入を3回に分けることで進める。1回目に1/2の量を、2回目と3回目に1/4の量を投入する。数十回にも及ぶトライ&エラーの結果、このような工程になったようで、ここにポイントの1つがあるという。
 またタネの返し作業は、竹串をたこ焼き機の穴のエッジをなぞるように回転させたり、穴の中央付近に刺し、穴の曲面に沿って角度を変えたりすることで行う。焼きの進み具合に応じて適切な方法をとらせることで、竹串1本での返し作業を可能にしている。

はじめに1/2の量のタネを注入する。 たこを把持し、12個の穴に投入する。 穴のエッジをなぞるように竹串を回しながらタネを傾ける。2回目の回転で傾く。
傾いてできたスペースに1/4の量のタネを注入する。 穴のエッジから中央に向けて竹串を回転させて、さらにタネを傾ける。再度1/4の量のタネを注入した後、タネをひっくり返す。
容器に取り出して、ハケでソースを付ける。 最後に、青のりをさっと振りかければ完成。 「イージーオーダーロボット」は、お客を勧誘したり“言い訳”をしたりするなど、たこ焼きロボットと一緒に働く。

たこ焼きロボットの開発を決意した理由には、上述の通り話題づくりもあるが、職人や達人の技をロボットに伝承させることを目標に据え、その一環として取り組んだからである。また、専用のたこ焼きロボットを開発するのではなく、汎用ロボットの利用にこだわったのは、人と同様に道具を持ち変えてさまざまな作業がこなせる、高い汎用性を示すことにより、技能伝承に値する具体的な作業を考えてほしいからである。
 それが冒頭での細見さんの思いに現れているわけである。

テレビのイメージ画像で映し出される産業用ロボットは、溶接やハンドリングを行っているものが多い。単純な作業しかできないように感じてしまう。これに対し、たこ焼きロボットは汎用ロボットながら、人が行うような複雑な動きを実践しており、あたかも職人のような立ち振る舞いを感じさせる。このような姿を見せられると、産業用ロボットの新たな用途をイメージせずにはいられない。

こんなロボットはつくるのは大阪だけ

今後、たこ焼きロボットはバージョンアップの予定はあるものの、やはり外販の予定はないという。「お客さんがいないからこそできる取り組みですから」と、慎重に話す。
 そうはいいつつも、同じ調理での用途として、鯛焼きの調理工程での適用に向けた話しが進みつつあることを聞かせてくれた。

「鯛焼きは、たこ焼きと違って、焼き上がりの時間までを待つのが結構退屈みたいです。特に繁盛店になれば、そのようです。だから、鯛焼きの作業工程にロボットを加えることを考えているんです。例えば、人が鯛焼きのタネを焼き機に投入し、ロボットがそれをひっくり返すという具合に、まずは比較的単純な作業を、ロボットがアトラクション的に担うことを考えています。近々ビデオ撮影を行って、作業分析を行うんですよ」

細見 成人代表取締役

「達人の技をロボットに継承させること。道具を持ち替えることで各種作業ができる汎用性を示すこと。その2点が狙い」と話す細見社長。「ノリと勢いでつくっているところもありますけどね・・・」と謙遜しつつも、産業用ロボットの新たな可能性を熱っぽく語る。


こうしたマジメな考えがあると思いきや、「初めは、お好み焼きロボットをつくることも考えた」とのことで、「行きつけの店の大将に話したら、『片手(1本のアーム)でお好み焼きをつくると、横着(ズル)しているみたいでアカン!』と言われちゃって・・・」と、意外な理由も聞かせてくれた。

これら一連の調理作業に関連して、細見さんは話しを続ける。
 「『外食産業は職の定着率が悪い!』と、よく聞かされます。朝から晩まで同じような作業を繰り返すわけですから無理もないでしょう。だから、たこ焼きロボットや鯛焼きロボットだけでなく、そうした分野に向けて次世代産業用ロボットを提供できれば、きっと喜ばれると思うんです」
 「というか、そんなロボットを考えるのは大阪だけでしょうから」(笑)

たこ焼きロボットは話題づくりのように思われがちだが、細見さんの思いを聞かされると、きわめて真摯な姿勢で産業用ロボットの可能性を模索していることに気付かされる。たこ焼きロボットから、また、これから開発する鯛焼きロボットから、産業用ロボットの新たな用途がイメージされることを期待したい。


掲載日:2008年8月21日

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