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ロボ・ステーション


ロボットメーカーの開発戦略 次の一手はこれだ
新たな出力装置であるロボットの可能性を、さまざまな方たちと模索したい【スピーシーズ】

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春日 知昭代表取締役

春日 知昭 Kasuga Tomoaki

代表取締役。
ソニーにて、UNIXワークステーション「NEWS」やPC「VAIO」、犬型ロボット「AIBO」などITおよびロボット関連の開発に携わる。2001年、同社を退社後、スピーシーズを設立する。ITとロボットの融合により、ロボットを開発者およびユーザーに身近な存在にすることを目指す。

「ロボットは“歩くパソコン”」。そう言い切るスピーシーズの春日知昭社長は、他のロボット開発企業とは異なるロボット観を抱いており、目指す方向性もユニークである。その一端が、APIやアプリケーションソフトのソースコードの開示など開発プラットフォームの積極的な公開というかたちで現れている。春日社長に、インターネットロボットの特徴およびそれが持つ可能性、ロボットが普及するための条件などを語ってもらった。

インターネットロボットは“Web3.0”

当社は、「インターネットロボット」の応用・利用を推進するロボット開発企業です。これは、インターネットに接続してコンテンツをダウンロードしたり、必要な情報を取得したりする新しいロボットであり、この名称に当社のロボット観点が集約されています。

私は、2001年11月末にソニーを退社し、翌月には当社を設立しました。ソニー在籍時には、UNIXワークステーション「NEWS」やPC 「VAIO」、犬型ロボット「AIBO」など、IT機器とロボットの両方の開発に携わりました。この経験から、ロボットをインターネットにつなぐことによって広がる可能性を感じました。その反面、IT技術者とロボット技術者の交流がほとんどないという現実にも気づきました。
 インターネットロボットを目指したのには、これらが強く影響しています。このITとロボットを融合したロボットの普及により、ロボットを開発者にとってもユーザーにとっても、ロボットを身近な存在にしたいという思いがあります。

一般的にロボットは、素早い動作や作業性の追及など専用機能を追及して開発されています。いわばハードウエア指向と言えるでしょう。格闘ロボットや掃除ロボット、レスキューロボットなど、ある特定目的に特化しており、結果、その開発には高い専門性が要求されます。
 これに対し、インターネットロボットは、ソフトウエアの開発プラットフォームが公開されており、いわばソフトウエア指向と言えます。パソコン上で各種アプリケーションを開発できるうえネットワークに接続できるため、さまざまな用途に利用することができます。ゆえに、より大きな市場が期待されます。

2006年4月、世界初となる量産のインターネットロボット「SPC-101C」を販売しました。NetBSDベースの「Speecys OS」を搭載し、無線LANが使えます。IPアドレスを持っているので、1つの端末としてITシステムの中の一員として機能することができます。

パソコンをはじめとする各種IT機器では、液晶ディスプレイなどが出力装置でしたが、SPC-101Cは手足を使って情報を出力することができます。したがって、インターネットロボットは新しい表現装置、つまり、新しいタイプのWebブラウザと言えます。さらに言えば、ブラウザが2次元から3次元になったという意味で、“Web3.0”と表現しています。

2007年9月に、ロボットプラットフォームとして発売した「SPC-101C」の新モデル。 2007年9月に、ロボットプラットフォームとして発売した「SPC-101C」の新モデル。 2007年9月に、ロボットプラットフォームとして発売した「SPC-101C」の新モデル。

2007年9月に、ロボットプラットフォームとして発売した「SPC-101C」の新モデル。カラービデオカメラを内蔵し、ネットワークを通じて遠隔監視や遠隔操作も行える。

2007年9月には、ロボットプラットフォームとしてSPC-101Cの新モデルの発売を開始しました。新モデルはカラービデオカメラを内蔵し、ネットワークを通じて遠隔監視や遠隔操作もできます。いわば“歩くWebカメラ機能”を搭載しています。
 また、カメラ機能には人間の顔検出機能があり、人間の顔を目と鼻と口の要素で認識すると、近寄って来て「もっと近くに来てよ!」とか「もう少し離れてよ!」と言いながら焦点を合わせることができます。

ロボットの普及にはアプリの発展が必須

ここ数年、10万円程度の低価格なロボットが登場することによりホビー用途を中心に普及が進みました。が、一般家庭向けとなると、より一層のコストダウンが求められます。そのためには市場を形成することが必要であり、アプリケーションの発達が不可欠だと考えています。

先にも触れました通り、APIである「OpenRoads(Open Robot Operation and Design Specification)」や当社製PCアプリケーションソフト「101-VCE」のソースコードを公開しました。また、ロボット用のコンテンツ(番組)を記述するための同社が開発したスクリプト言語「RTML」(Robot Transaction Markup Language」やWindows XP対応の開発環境やモーションエディタなども用意してきました。

このように、開発プラットフォームをオープンにした理由は、多くのソフトウエア技術者に研究や開発に利用してもらい、アプリケーションの発展に結び付けたいと考えたからです。
 必要な開発環境を用意しましたので*1、今は次の段階であるインターネットロボットの応用・利用を考えるフェーズに差し掛かっていると考えています。

*1:開発プラットフォームの提供と併せて、コンテンツを流通させるための環境づくりにも取り組んでいる。その一環として、各種組込みシステムの開発に定評のあるセックや、組込み用ネットブラウザ「NetFront」の提供で知られるACCESSとともに共同開発を行っている。
 セックでは、ロボット用のコンテンツサーバーを開発している(開発コードは「RT-next」)。上述のRTMLで記述した仕草や番組、メッセージ用のコンテンツなどを管理しており、これらをダウンロードすることでロボットが話したり踊ったりする。セックではRT-nextによるコンテンツ管理や課金代行などASPサービスを視野に入れているという。
 また、ACCESSでは、DLNA対応機器向けミドルウエア製品「NetFront Living Connect」により、これを搭載したDLNA機器とロボットとの連携に取り組んでいる。これらの連携により、ロボットがDLNA機器からのコンテンツを表現したり、DLNA機器がロボット向けコンテンツを表現したりすることを想定しており、コンテンツ向けプラットフォームビジネスへの新たな展開を目指しているという。

ここで重要になるのは、「インターネットロボットが何をしてくれれば楽しい気持ちになれるか?」を考えることです。
 SPC-101Cのデモストレーションで最も人気になの、“笑いのデモ”です。ゲームクリエーターがプログラムを作成しました。お笑しくてたまらないという具合に笑い転げます。見ているだけで、「おかしなヤツだ」といった気持ちが自然に沸き上がってくるかと思いますが、このように積極的に感情移入ができ、人の心を豊かにしてくれるのがロボットの特徴であり、これを生かしたアプリケーションを検討することが、そのカギになると考えています。

笑い転げるロボットのデモ。 笑い転げるロボットのデモ。 笑い転げるロボットのデモ。

笑い転げるロボットのデモ。ゲームクリエーターが動作プログラムを作成した。左から右の流れでデモが進行する。

次の事業の柱としてのロボットタレント派遣事業

アプリケーションの発展に寄与する活動と併せて、イベントなどでのロボットの利用サービスを提供する「ロボットタレント派遣事業(Robot Event Production)」にも取り組み始めています。9月のSPC-101Cの新モデルのリリースとともに発表しました。

これまでのロボットのイベントと言えば、ロボットが動作する姿を見せるというロボットが主役の内容でした。これに対し、当社のSPC-101Cはパソコンとの連携により高度なアプリケーションを開発できるため、商品説明やサービス内容を伝えるメディアになります。つまり、インターネットロボットが名脇役として、商品や店舗、サービスなどを主役に引き立てるのです。

例えば、2007年9月4日〜15日の12日間、東京・原宿の「KDDIデザイニングスタジオ」で、携帯電話との連携によるロボットイベントを開催しました。そこでは、バンドによる演奏や曲に合わせたダンスを披露したほか、会場の紹介や携帯電話の説明、来場者とのゲームやじゃんけん大会などを行いました。
 また、翌月(10月20日、21日)には、秋葉原コンベンションホール(秋葉原ダイビル)で開催された、「アキバ・ロボット運動会 2007*2」に出展し、「ロボット縁日」を披露しました。来場者の方には、SPC-101Cを使ってロボット射的やロボット釣堀、ロボット開運おみくじを体験してもいました。会期中、最も多くの来場者が来てくれたといってもよいほどの大盛況でした。

*2:「競う=競技」「見る=観戦」「学ぶ=製作」の3つの“体験・参加”を柱に、多彩なロボット体験企画ができるイベント。2006年から開催している。

なお、これらのイベントでは複数の企業さんとの共同開発により実施しました。
 サーバー開発はセックさんと、DLNA対応機器向けミドルウエアの開発はACCESSさんと、コンテンツ開発はシークスさんと、OSおよび周辺アプリケーションの開発はIIJさんと行っております。また、 C2Cubeさんとは同社のチャットロボット「BuzzVot」とSPC-101Cを接続させるための開発を行っています。
 これまでは、ソフトウエアエンジニア向け開発プラットフォームの提供、共同開発や開発受託を事業の中心としていましたが、今後はロボットタレント派遣も加えていく予定です。

「ロボットをインターネットにつなげることで実現されるアプリケーションの発展、いわば“遊び”の広がりに着目している」と話す春日社長。

「ロボットをインターネットにつなげることで実現されるアプリケーションの発展、いわば“遊び”の広がりに着目している」と話す春日社長。「多くのソフトウエア技術者に開発プラットフォームを利用してもらい、アプリケーションの発展につなげたい。さらに、一般家庭へのロボットの普及に結び付けたい」と意欲を示す。


こうしてお話をしていますと、当社はソフトウエア開発者に向けた取り組みを中心に展開しているように受け取られると思います。もちろん、将来的にはコンシューマーに向けてインターネットロボットを提供する意向を持っています。が、現段階では、その道筋をつけるための取り組みを行うことが重要です。*3
 繰り返しになりますが、開発プラットフォームをオープンにしたのはそのためであり、ソフトウエア技術者やパートナー企業とともに、さまざまなアプリケーションを考え、発展させていきたいです。それが、ロボット市場の開拓につながると考えていますので。

*3:2006年は、無線LANを介してインターネットに常時接続し、メッセージを伝えたり音楽を楽しんだりできる「MI・RAI-RT」を販売したり、世界初となるロボットコミュニティ「ロボタミア」を開設したりするなど、一般消費者向けに展開を図ったが、「まだ需要が低く、次期尚早だった」と、春日社長は振り返る。そうしたこともあり、現在はソフトウエア開発者をメインターゲットに開発を展開している。

企業データ

スピーシーズ株式会社

〒150-0032 東京都渋谷区鶯谷町17-2


掲載日:2008年2月 5日

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