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ロボ・ステーション


ロボットメーカーの開発戦略 次の一手はこれだ
「オラクルマスターのように、ロボット業界で採用基準となる制度へと成長させたい」【アールティメディア】

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瀧口 信幸代表取締役社長

瀧口 信幸 Takiguchi Nobuyuki

代表取締役社長
1991年3月、福岡大学 工学部電気工学科卒。同年4月、モトローラジャパンに入社。携帯電話ネットワークシステム設計部に配属される。98年4月、北海道大学大学院に進学し、2000 年3月、同大学院経営学修士課程を修了する。2002年、同社を退社し、システムコンサルティング業務やWeb/オープン系システムの開発、情報コンテンツの構築・運営などを手がけるDEX設立する。2006年5月にアールティメディアを設立する。

「現在、日本のロボット技術は世界一と言われています。ロボット関連の特許数を見ても、日本が突出しています。しかし、ビジネスで通用するエンジニア、海外でも通用するエンジニアを育成できなければ近い将来、この分野で後れをとってしまうのではないか。そう思うときがあるんです」

アールティメディアの瀧口信行さんは、こう切り出す。
 そして、そのようなエンジニアの輩出を目指し、2006年5月、同社を立ち上げた。

同社はロボットテクノロジー(RT)の教育教材開発・販売や、RTに関するeラーニング教材の開発および販売を目指して活動している企業である。さらには、ロボット関連企業への人材派遣・業務請負も視野に入れている。
 これらの取り組みはまだまだこれからだが、「簿記やTOEICなどの通信教育と同等の気軽さでRTを学べる機会を提供することにより人材の厚みが増し、日本のロボット技術の向上に結び付けたい」と、高い志を抱いている。さらに、ロボット技術者のスキル標準および認定試験の策定にも意欲を示している。

エンジニアのために何かに取り組みたい

滝口さんは独立する以前、モトローラジャパンに在籍していた。そこで、わが国が移動体通信業界において世界一と言われた時代と、デジタル化の波に乗り遅れて、日本企業のプレゼンスが瞬く間に低くなった時代の両方を経験した。この経験は、瀧口さんが同社を立ち上げたきっかけの一つになっている。

また、この頃から、「わが国のエンジニアがあまり大切にされていないのでは?」という、くすぶっていた思いも起業に大きな影響を与えた。
 モトローラジャパンに在籍中は、エンジニアからプロジェクトマネージャーとなり、最後には営業マネージャーも務め上げた。このようなキャリアチェンジができたのは、企業からの支援のもと大学院で経営学などを修めたからであり、また、そうしたシステムが当然のように用意されていたからでもある。しかし、日本の企業ではそうした制度は用意されていない。
 また、「モトローラジャパンに入社した頃は、必ずしも十分なスキルを備えていたわけではなかったのですが、スキルアップするに従って仕事を任せてもらえました。総じて、外資系の方が仕事のチャンスがあるように感じられた」とも言う。

確かに、わが国ではバブル経済の崩壊以降、世界的な開発競争が激しくなり、「2007年問題」がクローズアップされる数年前までは、企業における人材教育が疎かになっていた。エンジニア自らが主体的に学習していくことが難しいうえ、その時間も確保できない。キャリアパスを描きづらいというのが実情である。

「わが国には、世界で活躍できるエンジニアは多くいるはずです。にもかかわらず、移動体通信の分野では、世界市場から取り残されてしまいました。世界のビジネスで通用するエンジニアを輩出するシステムがなかったことにも原因があったのではないかと思います。
 だから、エンジニアのために何かに取り組みたい。世界で通用するエンジニアの輩出につなげたい。そんな漠然とした思いを抱いていました」

そう話す瀧口さんは一念発起し、2002年に米国でエンジニアのための学校を設立する。日本と比較して、米国では学校の設立に関する基準が厳しくなく、イニシャルコストがかからないからである。また、瀧口さんの後輩が先に退職し、共同運営を望まれていたからでもあった。

設立した学校は、通信やネットワークに関するスキルを習得でき、かつ英語を学習できるというものだった。しかし、初年度の収益はわずか21万円という惨憺たる結果に終わっってしまう。
 「食いつなげるために、その頃は、何でもしました」と、瀧口さんは当時の苦労を振り返る。

現在、その学校は日本の看護師が米国の看護資格を取得するための専門学校へと変貌を遂げている。国内で受講したカリキュラムや授業内容の英訳、成績証明書の英文化などをサポートしている。きちんとした受験申請をし受験に合格すれば、米国での看護資格を取得できるが、それができない人が多いことに気づいたかであり、このビジネスはうまく軌道に乗っているという。

米国看護師資格対策を支援する「AMERICAN MEDICAL INSTITUTE」のサイト。

米国看護師資格対策を支援する「AMERICAN MEDICAL INSTITUTE」のサイト。米国看護師資格の対策情報が充実している。瀧口さんが運営している。


そのほか、瀧口さんは旅行会社を買収して留学の斡旋をしたり、自身が移動体通信業界に長く在籍していたことから、この分野のエンジニアを教育して派遣したりする会社も設立している。また、移動体通信のeラーニング教材を開発しメーカーに提供するに至っている。

ロボットのスキル標準の策定へ

このように教育ビジネスに携わってきた瀧口さんがロボット分野へと舵を切り始めたのは、すでに本連載で紹介している「ロボットビジネス起業塾」への参加からである。

「RTでは、日本が世界をリードしています。そうした先端の分野に身を置くことにより、教育ビジネスでも何らかのチャンスを見出せるのではと考えました。また、ロボットは最先端技術の集合体なので、そこを舞台にしてエンジニア教育に携わるのは意義深いですから」
 瀧口さんは、そう理由を明かす。

起業塾に入塾した当初は、ロボット技術者の教育と派遣業を考えていた。
 ところがほどなくして、企業とエンジニアのマッチングが困難であることに気づく。ロボットは要素技術の集合体であるがゆえに、必要とされる技術領域が広いうえ、ロボットの概念そのものが漠然としており、カテゴライズが難しいからである。
 例えば、転職サイトなどではスキルチェックのツールが用意されており、自分に合った技術分野を特定することができる。しかし、ロボット分野ではそれもままならないわけで、企業とエンジニアとを適切にマッチングさせることは不可能である。

そこで、瀧口さんはスキル判定の指標となるスキル標準の策定に力を注いでいる。それには、国内の著名なロボット工学の先生方に参加してもらっており、すでに要素技術の分類・整理を終え、概要ができつつあるという。

瀧口 信幸代表取締役社長

「現在、策定を進めているロボットのスキル標準は、『オラクルマスター』や『シスコ技術者認定』のように、ロボット業界内で採用基準として利用させるようにしたいです」と、話す瀧口さん。


また、ボトムアップ式ではなく、最先端の技術を集め、それをブレークダウンしていくかたちで整理しているという。専門学校などのロボット学科などは、普遍性を重視してボトムアップ式に技術を習得させるシステムを採用しているが、あまりうまくいっていない。著名な先生方に参加してもらっていることもあり、そのような切り口で分類・整理しているのだという。
 さらには、これらの能力を判定する「ロボット検定試験」のようなものの実施も視野に入れている。これらについては、「年末には発表することができるのではないでしょうか」と、瀧口さんは話す。
 また、瀧口さんは教育に関しても準備を進めている。上述の移動体通信向けのeラーニング教材を活用して制作しているという。イラストと音声を組み合わせ解説により基礎的事項を習得できるもので、大学と連携して一部の授業をeラーニング化する提案を行うなど、普及に向けた活動も展開している。

業界で認知される認定試験になれば

現在、瀧口さんはロボットのスキル標準および検定試験の公開に向けて準備を進めている段階にある。現時点では開示できない内容が多いが、今後の目標として、次のような話を聞かせてくれた。

「情報処理の分野では、『オラクルマスター』や『シスコ技術者認定』あります。もともとオラクルやシスコシステムズというオラクルという会社の一製品に過ぎなかったのですが、世界中のスタンダートとなり、それを扱えるか否かが企業での採用基準になりました。
 ロボットの分野でも、このようなことは十分に起こり得ると思うんです。
 つまり現在、公開準備を進めているロボットのスキル標準が、エンジニアの判定基準として企業や大学などで採用され、結果、用意している資格試験が採用基準になるということが。私のビジネスでも、そんなことができたらいいなあと思っているんです」

「もちろん、ロボット技術は幅広いから、1つの資格試験ですべてを網羅できるとは考えていません。これを契機に、ロボットの各分野に応じて必要とされる資格試験が派生して登場し、統合・合併されればよいと思います。わが国のロボット技術の底上げにつながるということが、当初からの目標ですから」

(取材&テキスト作成:三月兎)

企業データ

株式会社アールティメディア

〒541-0044 大阪市中央区伏見町2丁目6-2

参考Webサイト

ロボットラボラトリー


掲載日:2007年12月11日

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