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ロボ・ステーション


ロボットメーカーの開発戦略 次の一手はこれだ
仕事ができる、サービスを提供できるロボットをめざす【富士通フロンテック】

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宍戸 徳一部長

宍戸 徳一 Shishido Tokuichi

システム事業本部 メカコンポーネント事業部 担当部長
1975年、富士通株に入社、ATM(自動預金支払機)の主制御部の開発に従事する。1996年より、ATM搭載のメカユニットのプロジェクトリーダーとして牽引する。2003年より、ロボット開発プロジェクト責任者として「enon」の立ち上げを行う。


麻田 務課長

麻田 務 Asada Tsutomu

富士通フロンテック システム事業部 メカコンポーネント事業部 第三技術部 プロジェクト課長
1980年、富士通に入社、ATMの機構設計に従事する。2003年よりサービスロボットの開発に参画し、現在「enon」のハードウェア開発を担当している。


村瀬 有一氏

村瀬 有一 Murase Yuichi

富士通研究所 ストレージ・インテリジェントシステム研究所 自律システム研究部 主任研究員
1987年、富士通研究所に入社、宇宙実験システムの開発、およびロボットの機構系の開発に従事する。現在、同ストレージ・インテリジェントシステム研究所自律システム研究部主任研究員として、ロボットの研究開発に携わっている。

富士通フロンテック、富士通研究所が開発した「enon」(エノン)は、オフィスや商業施設などで多目的な作業を支援する。具体的なタスクをさせることにこだわり、あえてデザインからキャラクターの要素を除いている。2005年9月から限定販売を開始し、イオン店頭での実証実験も終え、企業への納品も始まった。各企業での運用状況に合わせたカスタマイズを進める中、開発者たちは、一般の人のロボットの捉え方に変化が生じていることも実感している。

公の場でサービスを提供できるロボットを

富士通グループとロボットの関わりは意外に古いです。20数年前からその開発を行っています。最初はFA分野で、お米の上に文字を書くなど、小型で高精度のロボットを開発しました。その後も、開発に取り組んでいましたが、宇宙空間や原子力関係など極限作業に絞り込んだものでした。ロボットは高価なものでしたので、こうした特殊用途が適していたと思います。

enonは、案内・誘導、搬送、巡回・見回りができる。

enonは、案内・誘導、搬送、巡回・見回りができる。無線LANを使用したネットワーク連携機能によりサーバーとの情報のやり取りが可能なほか、外部のパソコンからの制御、遠隔対話機能なども搭載している。enonとはan exciting nova on network(ネットワークの躍動的な新星)の頭文字をとったもの。


それが転じて、サービスロボット「enon」の研究開発プロジェクトを富士通フロンテックと富士通研究所が共同で立ち上げたのが3年半くらい前です。当時、一般の方にもロボットをアピールしていこうとする機運があり、その流れに沿ったものだったと思います。すでに研究開発用ヒューマノイドロボット「HOAP-1」、「HOAP-2」を、インターネット対応型ホームロボット「MARON-1」をそれぞれ開発しており、これらで蓄積した技術をベースに公共スペースでサービスを提供するロボットとして研究に着手しました。「サービスロボット」ということですので、自律走行型で、かつオフィスや商業施設での案内・搬送・巡回・誘導・受付・見回りなど多目的な作業支援を行うことを目指しました。

その後、2004年9月に試作機を発表しました。博物館や美術館での利用を想定して開発したこともあり、NHKの愛宕山の放送博物館に3カ月ほど置いてもらいました。ここでは、来場者が来たことを検知して、館内を案内するのがおもな仕事でした。入口の受付のような仕事です。ここでの反応を参考に、また小型・軽量化し、安全機能を追加して完成させたのが現在のenonです。2005年9月から富士通フロンテックより限定販売を開始しました。試作機に比べてかなりスリムになりました。

上述の通り、enonはオフィスや商業施設、観光施設など公の場、人と接する場で作業支援ができることを目的に開発しています。人と接する場で想定される作業支援と、現状の技術で行える作業の両方を検討した結果、現在の仕様に落ち着きました。ただし、ロボットは何でも行えるわけではないので、現在は、具体的なニーズを探ったり、あらかじめ想定したものと異なる部分を確認したりする作業をしているところです。好評だった機能がある一方、この機能には無理があったかなと思われる部分が明らかになりつつあるところです。

継続的なコミュニケーションを大切にしたい

現段階で、enonが行える仕事は案内・誘導、搬送、巡回・見回りです。搬送機能は、0.5kgまでの重量の荷物を片手で持ち上げることができます。胴体部に荷台があり、そこに10kgまでの荷物を積載できます。また、無線LANを使用したネットワーク連携機能によりサーバーとの情報のやり取りや、外部のパソコンからの制御、遠隔対話などができます。

これらの機能を駆使して人の作業支援を行いますが、物を運んだり案内したりするときでも、人との関わり、コミュニケーションを絶やさないようにすることが大切だと考えています。確かに、音声認識だけでも事足りる場合はありますが、不特定多数の方を相手にする場合、画像情報などもある方がより良いはずです。そこで、enonでは日本語の音声合成・音声認識機能に加え、胸部にタッチパネル付き液晶モニターを設置しています。両者の連携により、どのような利用シーンでも、誰でも指示できるようにしています。また、タッチパネル付き液晶モニターは常にユーザー側に向くようにしてあります。

ユーザーへの情報提供時は液晶モニターを正面にしたモードで動作し、ロボットが先導する走行時は頭だけを180°回転させ、液晶モニターを背面にした状態で走行します。enonの後について歩くユーザーは、常に液晶モニターを見ながら情報を受け取ることができます。もっとゆっくり歩いて欲しい場合は、液晶モニターのメニューボタンを押して意思を伝えることもできます。このように、液晶モニターがユーザー側に向くことで、途切れることなくコミュニケーションができるのは、他社にない機能だと思います。

また、デザインをキャラクター化していないのもenonの特徴です。キャラクター化すると仕事ができそうに見えませんし、行えることが限定されてしまうように思われるからです。仕事ができることを素直に表現したいので、あえてそうしています。

なお、enonの安全性については、NPO安全工学研究所さんから鑑定を受けています。メーカー側の論理だけで安全性を積み上げても認めてもらえないでしょうから、第三者の目で判断してもらおうということでお願いしたものです。

導入場所に応じたカスタマイズが可能

2005年12月1日から25日間にかけて、イオン八千代緑が丘ショッピングセンターで、実証実験を実施しました。enonの活用場所として想定している商業施設で業務を円滑に行えるかどうか、また、現場に持ち込んだ場合、こちらが想定したように動くかどうかを確認することが目的です。具体的には、店舗が開店している時間帯にenonを稼動し、天候に合わせたお買い得情報などの提供やショッピングセンター内の施設の場所案内、店舗の前でのお客様の呼び込み、試食の支援など商品のアシスタントなど、初級クラスの販売員の仕事を支援させ、お客さんの反応を見ました。現在は、想定したニーズとお客さんのそれがうまくマッチしたかどうかを検証しています。

enonの導入に当たっては、程度の差はありますが、導入場所に応じたカスタマイズを行っています。基本機能に加え、オプションとしてショッピングセンター用、博物館用などのアプリケーションを搭載するかたちになります。イオンさんに納品したenonには店舗情報をもたせましたが、実は、センサ類の配置なども変更・調整しています。地図情報を持つのでパソコンからでも無線誘導できますが、よりスムーズに移動させるためには、そのような調整をしておく方がよいからです。超音波センサ、光学センサなどのセンサ類は、その組合せや配置、搭載数は、納品先に応じて付け替えられるようにしています。

現在は導入の初期段階であり、実績が少ないので、カスタマイズを含め納品が結構大変です。しかし今後、導入台数の増加に伴い経験値が積まれてくると、定量化できる部分が多くなるので、それほど手間がかからなくなるだろうと思っています。

ロボットの見方に変化が

宍戸 徳一部長

以前は、2足歩行でないとロボットではないという見方が多くありましたが、今ではenonのような形態のロボットの方が現実的なモノと捉えてくれる人が多いです。一般の方のロボットの見方が変わってきているように感じます、という宍戸部長。


富士通グループでは長年、ロボット開発を行ってきましたが、最近は、一般の方のロボットの見方が変わってきたように感じます。長年、ロボットと言えば“人寄せパンダ的”に見られがちでしたし、「2足歩行でないとロボットではない」という見方が多くありました。しかし、ロボットの安全性など普及に向けた議論がなされていることもあって、一般の方も自身の問題解決に利用することができないかと検討される方が増えているように感じます。そのためでしょうか、実用面を考えたとき、enonのような形態は現実的と捉えてもらうようになっていると思います。また、愛知万博で各社のサービスロボットをご覧になられ、「鉄腕アトム」のようなロボットは並大抵のことではないと感じられたことも、影響しているのかもしれませんね。

今後、サービスロボット市場は大きくなると思いますし、ロボット工業会もそのように予測しています。ただし、サービスロボットの普及には、さまざまな課題があります。当社としては、まずはサービスロボットを着実な事業へと育成できるようがんばりたいです。

企業データ

富士通フロンテック

〒206-8555 東京都稲城市矢野口1776


掲載日:2007年8月21日

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