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ロボ・ステーション


俺の起業!ロボットベンチャー奮戦記
「要素技術メーカーとユーザー企業との架け橋になりたい」−自身の経験を強みとしたコンサルテーションを提供−【ロボリューション】

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小西 康晴代表取締役

小西 康晴 Konishi Yasuharu

大阪生まれ。2002年、慶応義塾大学大学院 理工学研究課 吉田研究室卒。修士論文テーマは、「自律走行自転車ロボットの開発」。同年4月、村田製作所に入社。生産技術開発本部にて産業用ロボットの開発に携わる。05年、同社を退社後、父が経営する生野金属に入社し、会社経営について学ぶ。06年6月、(株)ロボリューションを設立。生野金属との連携によるロボットの企画・設計・製造・販売体制を構築中。

2006年10月、大和ハウス工業(大和ハウス)は、千葉工業大学(千葉工大)などと共同で住宅床下点検ロボット「Iris*1」(アイリス)の開発を発表した。千葉工大が開発したレスキューロボットを床下点検用に小型改良したもので、サイズは270mm(幅)×400mm(長さ)×250mm(高さ)。センタークローラがボディ全体を覆い、前後左右に独立制御できるサブクローラアームで障害物を乗り越えて移動する。ロボットからリアルタイムに送信される床下の映像を見ながら操縦する。それが実用化されれば、「3K」と言われる過酷な床下点検作業が改善されることが期待される。

*1:「平成18年度サービスロボット市場創出支援事業」の採択事業として開発している。大和ハウス工業、千葉工業大学のほかに、筑波大学も参画している。ベースとなったロボットには、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(furo)の小柳栄次副所長が開発したレスキューロボット「Hibiscus」(ハイビスカス)の基本構造を継承したまま利用している。なお、小柳副所長率いるチームは、ロボカップの「レスキューロボット部門」世界大会にて2連覇(2004年、2005年)を達成している。

サイバーダインへの出資をはじめ、最近はロボット事業への取り組みが目立つ大和ハウスだが、住宅床下点検ロボットの技術調査から関わり、同社に開発の方向性を示したのが、ロボリューションの小西康晴さんである。

大和ハウスから相談を受けた*2小西さんは、何軒もの床下に潜って床下点検にかかる作業内容を丹念に調査した。そして、作業条件と要素技術とをマトリックスを使って整理し、かつそれぞれの長所・短所を洗い出し、開発コストとともにシステムとして提案した。また、その作業に適合するシステムとしてレスキューロボットを提示したのも彼である。結果として、これが大和ハウスと千葉工大を結びつけることになった。

*2:厳密には、大和ハウス工業は、大阪市のロボットラボラトリーを通じて、小西さんを紹介してもらっている。

「コンサルタント」という言葉を耳にすると、一般には専門的な知識を生かして顧客の業務内容を分析し、業務課題を解決するための指導やアドバイスをしてくれる人と捉える。しかし、小西さんの仕事ぶりを見ると、むしろ、システム設計者にプロジェクトマネージャー(プロマネ)などさまざまな職種を加味したような仕事に思われる。今では、小西さんは自らを「ネットワークジェネレーター*3」と名乗っている。

*3:自ら事業構想やビジネスモデルを立案し、それを実現するための人的ネットワークを形成して、実際に事業実現できる人材を指す。ロボットラボラトリーのリーダーである石黒周氏が定義した。

大和ハウスが、千葉工大および筑波大学とともに開発を進めている住宅床下点検ロボット。

大和ハウスが、千葉工大および筑波大学とともに開発を進めている住宅床下点検ロボット。
2008年4月をめどに、同社の全国の93事業所に配備する。また、工務店向けへの販売も検討しているという。価格は100万円以下になる予定だ(日刊工業新聞 7月4日付けより)。


大学で企業で開発全体を見る目を養う

小西さんは、1996年に慶応義塾大学 理工学部のシステムデザイン工学科に第一期生として入学した。同学科は、機械や電気・電子など各専門を修めた人材よりむしろ、最適システムを総合化できる次世代のリーダーを輩出することを目的に新設された学科であった。大学2年までは建築系の研究室に進もうと考えていたが、3年生以降はロボットの研究に興味を持つようになり、修士課程では自律走行型の自転車ロボットの研究に没頭した。その研究で村田製作所のジャイロセンサを利用し、その性能に魅了されたことをきっかけに、同社に入社する。

村田製作所では、生産技術開発本部で産業用ロボットの開発に携わった*4。当初は、開発リーダーと2人で開発を立ち上げたが、ほどなくそのリーダーが異動となり、入社間もない小西さんが開発全体をまとめることになった。普通なら、ここで途方に暮れてしまうところだが、「開発全体をマネジメントするのは嫌いじゃなかったんですよ」と、小西さんはさらりと言ってのける。

*4:小西さんは、電子部品PR用自転車ロボット「ムラタセイサク君」の企画、仕様書の作成に関わっている。

そして、ここで小西さんは貴重な経験を積むことになる。

このとき私は、「ロボットのシステム設計」+「社内広報」という役割を担っていました。実際に機械を使ってもらう部署の要求に合致したものを提案し、開発しなればならないんで、彼らの条件を聞き出して要求を整理し、全関係者に情報発信するという広報的な役割も果たしたのです。また、メカで機能を担うのか、それともソフトで担うのか、工法で担うのか、といった機能の最適分散も行いました。結局、この産業用ロボットを組み込んだ製造ラインの構築まで経験しました。いま考えてみると、この経験は今の業務に生かされていると思います」

自分の強みは自身の経験にあった

開発した産業用ロボットは余計な機能をそぎ落とした、費用対効果に優れた高速機だった。開発を通じて、ロボットの可能性を強く感じていた反面、何か寂しさのようなものも感じていた。

「今後も、このような開発フローを繰り返すのだろうなあ〜」

そんなとき、偶然にも新聞で「ロボシティコア構想」の記事を目にする。これは、大阪北ヤードにITやロボット産業など新分野の企業誘致を図り、新産業創出につなげるという壮大な計画である。

生まれも育ちも大阪で、しかも父が経営する生野金属もあったので、『大阪に帰って、これをやらんとあかんなぁ〜』って、勝手に思ったんですよ」と、小西さんは当時の心境を振り返る。そして、2005年3月には同社を退職し、ロボットでの起業という思いを胸に生野金属に入社する。

勢いで大阪に戻った小西さんだったが、さらに好都合なことが続いた。その夏からロボットラボラトリーによる「ロボットビジネス起業塾*5」が開講したのである。迷わず、その第一期生として門を叩いた小西さんは、起業への道を踏み出すことになる。

*5:ロボットテクノロジー(RT)を使った新たなビジネスモデルを構想し、それを事業化できる人材の育成を目的としたアフタースクール。2007年6月現在、同塾から5社が起業している。

同塾では、生徒が自分のビジネスプランを提示し、塾長らとともに、それをブラッシュアップしていく。小西さんはエンジニアということもあって、新しいロボットシステムの開発を提案していた。それは、ポケットに入れて持ち歩くだけで、自分の位置情報の履歴を記録するエージェントロボットであった。それをパソコンに接続すれば、地図上に何時何分にどこにいたのかという結果がプロットされる。例えば営業マンが利用すれば、営業日報を記録するという手間が大幅に軽減される。

「ロボットを持ち歩くだけで、知らない間に人が不得意とする『記憶の蓄積』を実現してくれる。人に足りない機能をロボットに依存する。そんなロボットこそが、一般生活の中に溶け込むロボットになり得るのではないか」と考え続けていた。

ユニークなアイデアであり技術的にも十分可能だったが、そのサービス構想を伝えるのが難しいために断念することになる。

初めの頃は、技術者としての視点が抜けなくて、こんなロボットをつくりたいとか、こんなロボットなら売れるんじゃないかとか、プロダクトアウトな思考からなかなか抜け出せませんでした」と、小西さんは振り返る。また、そのために「かなり悩んだ」という。

やがて、そんな小西さんに転機が訪れる。

具体的なロボットシステムを構想しているうちに、「要素技術は豊富に存在することには気付いていました。ところが、要素技術メーカーとRTを活用したいけど知識に乏しいユーザーとをつなぐ人がいるのだろうか? と考えてみると、誰もいないことに気付いたんです。要素技術メーカーとロボットを使いたいユーザーまたはサービスプロバイダーとをつなぎ合わせてロボットシステムを提案できる人がいないと、本当に使えるロボットは登場しないのではないか。ロボット産業を立ち上げようとしている今、このような人材が必要とされているのではないか。そう思ったんです」。

ロボリューションが掲げるビジネスモデルの図

ロボリューションが掲げるビジネスモデルの図
ロボットビジネスの企画、リサーチ業務、ロボットの開発、導入コンサルティングを一手に引き受けて、ロボットユーザーとRT開発メーカーとの橋渡しとなることを目指している。谷江和雄氏の考えをもとに作成している(参照:谷江和雄:ロボット市場を立ち上げるために、東芝レビュー2004年9月号、p12、Vol.59、No.9、2004.)。

そう考え直した小西さんは、自分ならそれを担うことができることを悟る。それは、村田製作所時代に、テーマアップ時の特許調査から設計、開発、納品まで、トータルでロボット開発の流れを経験していたからである。また、単にエンジニアとしてロボットを設計できることが強みではなく、顧客の要求に基づいて総合的にバランスのとれた提案をできることにこそ、自分の強みがあることに気付く。そして2006年6月、サービスロボットの分野に特化したコンサルティング業務として起業するのである。

筋の通ったロボット開発を

冒頭で紹介した住宅床下点検ロボットの開発プロジェクトは、2008年3月末まで点検現場での試験運用と現場実証、量産化に向けた安全設計を行い、4月以降には実運用に入るという計画で進行している。小西さんは、実運用に入る段階までサポートする。また、実用化を強く意識し、ユーザー側の立場に立った運用マニュアルなどの作成にも携わっている。

このようなコンサルテーションを行いつつ、現在、小西さんはロボットの開発にも取り組んでいることを明かす。

経営コンサルタントや家電デザイナーなど、異分野で活躍する関西出身の30代のメンバーとコラボレートしながら、どうすれば人との共存空間で生きるロボットが創造できるか、RTを活用した動的な空間管理が実現できるかを議論しています。その中で、『ロボリューションが考えるロボットはこうなんだ!』というものを明確にし、今後提示していきます。

もちろん、コンサルテーションをしながら実際にロボットをつくるのは危険だと感じています。しかし、産業用ロボットとサービスロボット両方の開発に携わった経験があるからこそ、それができるのでしょうし、仮に失敗したとしても次の開発やコンサルテーションに生かされると思います。その繰り返しが結果として、実用的なロボットの登場につながるのではないでしょうか」

「でも、コンサルテーションを行っている以上、あまりショボいものは出せませんよね。それをつくったところに相談しようと思わないでしょうから」(笑)

小西 康晴代表取締役

「環境空間における『ムリ・ムダ・ムラ』をなくすこと。そこに、シンプルなモノや概念の組み合わせで無限の可能性を示せているか、感性と機能性が両立できているか、という2つの条件を加えて、ロボットシステムを創造している」と話す小西さん。そうした考えを社名に込めて、仕事を引き受けている。


そう語る小西さんが、1つのターゲットにしているのが家庭における労働の軽減である。企業で言えば3Kに当たる作業である。その意図は、同社の社名に秘められている。

「もともとロボットは『労働*6』を意味する言葉です。一方、レボリューションは『変革』を意味します。環境空間での労働に変革をもたらす企業でありたいという思いから、そう名付けました。すなわち、環境空間における『ムリ・ムダ・ムラ』をなくすためにRTを活用したいと考えています。またそこに、シンプルなモノや概念の組み合わせで無限の可能性を示せているか、感性と機能性が両立できているか、という2つの条件を加えて検討しロボットシステムを創造しています。また、それが私のロボット観でもあります」

*6:ロボットの語源は、チェコ語の「労働」を意味する「robota」に由来する。

さらに、小西さんは続ける。

「『うちはこういったものをロボットと考えています!』というロボット観を持っていれば、それに共感する企業が相談に来てくれるでしょう。それがないと筋の通ったロボット開発ができませんし、単なるシステムインテグレーション企業と評価されてしまう。ロボットで起業するためには、各社がロボット観を持っておくことがとても大切だと思うんです。ロボットって言うと一般の方は、ヒューマノイドを連想するし、一方でロボット研究者やビジネス関係者は、あまり明確な定義を持っていない。そこにもロボットでビジネスする難しさがあると考えています」

コンサルテーションを本業としながらも、ロボットの開発に取り組むのは、きっと自身のロボット観を確かなものにしたいからなのだろう。また、それを本業の活性化に結びつけていくことを狙っているようにも思われる。小西さんがどのような筋の通ったロボットを示してくれるのか、その開発に期待したい。

企業データ

(株)ロボリューション 代表取締役 小西康晴

〒592-0001 大阪府高石市高砂3丁目24番地(生野金属株式会社内に併設)
 TEL(072)268-0777/FAX(072)268-0782


掲載日:2007年8月14日

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