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ロボ・ステーション


俺の起業!ロボットベンチャー奮戦記
「究極の目標は、次世代ロボットマーケットをつくること」−ロボットのトータルプロバイダーとして起業− 【ジャイロウォーク】

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石古 暢良代表取締役

石古 暢良 Ishiko Masayoshi

1964年生まれ。1983年に筑波大学で人間学類に在学中に、ニューヨーク州立大学に留学。帰国後、世界放浪の旅に出かけ、35カ国を訪問する。89年に西洋環境開発に入社。しかし、自身が携わる開発が環境破壊を誘発することを上申し、開発中止とともにケジメとして退社する。その後、大阪のアメリカ村でファッション、商業施設のプロデューサーとして活躍し、同村の副会長に就任する。ある講演会での出来事がきっかけでロボットベンチャーを立ち上げることを決意し、2005年2月14日に同社を設立。現在に至る。

ミュージアム1階にあるロボットの百貨店「ロボット未来デパートメント」。

ミュージアム1階にあるロボットの百貨店「ロボット未来デパートメント」。工作キットからインテリアまで約2,000種類ものロボットグッズが販売されている。ミュージアムの玄関では、友達ロボット「ニコ」(右)と世話好きロボット「ラフ」(左)が出迎えてくれる。

「むかし、僕のオヤジは電気店を営んでいたんですよ。『今日はおばあちゃんが住むお家に洗濯機を納めてきたぞ。これでもう、手のアカギレに悩まされることはないだろう・・・』といった話をよく聞かされたもんです。オヤジの家電販売を通じて、それが人々の生活を変えていく様子を目の当たりにしてきました。

今、徐々にですが、ロボットが人々の生活の中に入り込み、生活を変えようとしています。僕たちが始めたビジネスは、ひょっとしたら“現在の電気屋”なのかもしれない・・・。そう思うときがあるんです」

こう話を切り出すのは、ジャイロウォークの石古暢良社長である。

昨年10月、名古屋市にわが国初となるロボットのミュージアム「ロボットミュージアムin名古屋」がオープンして話題となったが、それを運営するベンチャーと言えば、すぐに同社のことがわかるだろう。

それ以外にも、ロボット関連商品のマーケティングや販売、ロボットに関するメディア編集、ロボットの工作教室なども手がけている。コンテンツから商品まで、さまざまな角度からロボットを提供しており、そのビジネスは、さながら“ロボットのトータルプロバイダー”と言えよう。

「電気屋なのかもしれない・・・」と、冒頭で石古さんは自社のビジネスを称していたが、同社の事業を知ると、その表現がわかるような気がする。

ロボットというアイコンに惹かれる

石古さんは名古屋に来る以前、大阪のアメリカ村でファッションビルのプランナーとして活動していた。1999年には同村の副会長に、2001年にはデジタルシティ推進委員会*1の委員長にそれぞれ就任し、関西経済の活性化や情報発信に尽力した。官民上げての町おこしで実績を上げ、関西では“仕掛け人”として名が知られていた。また、その熱い語り口でも有名だった。

(*1:各地域進められたコミュニティ活動支援プラットフォーム。情報サービスやミーティングプレイスがデジタルシティの上で融合し、その都市に住む人々や観光客に役立つ情報源となることを目指して推進された。)

こうして、活躍の場を広げる石古さんには講演の依頼が寄せられるようなるが、ある講演会でいつもと違う光景を目の当たりにする。

自身の講演会の前座としてホンダの「ASIMO」が登場したが、現れるやいなや、子供からお年寄りまでが大きな歓声を上げて迎えたのである。ロボットが人を魅了することに驚かされると同時に、ロボットというアイコン(象徴)がもつ力に触れた瞬間でもあった。以来、石古さんは「ロボットを世の中に広めていきたい」と、ロボットベンチャーの立ち上げを考えるようになる。

そして、2005年2月14日に同社を、10月にはロボットの販売店でありコミュニケーションの場でもある「ロボカフェ」(今夏にリニューアルオープン予定)を、翌年10月にはロボットミュージアムin名古屋を相次いで設立する*2。「愛の日」である2月14日に設立したのは、「ロボットを通じて人々に愛を!」という思いがあってのことだという。

(*2:石古さんは、企業に当たり大阪のロボットラボラトリーが運営する「ロボット起業塾」に参加し、ロボットビジネスに関連する知識を習得したという。次世代ロボットビジネスがあまり立ち上がっていないことを知り、急いで起業したという。)

「正直言うと、お金儲けになるかどうかといったことは、あまり考えていなかったんですよ。とにかく『ロボット』というテーマで何かに取り組むんだ!という熱狂が僕の中にあって、突き進んでいったんです」と、石古さんは振り返る。

夢と希望と未来の象徴として提示

ミュージアム2階で開催されているテーマ企画展「ロボットクロニクル」。

ミュージアム2階で開催されているテーマ企画展「ロボットクロニクル」。「ロボット紀元前」「ロボット革命」「ロボット成長期」「ロボット飛躍期」「ロボット共生期」の5つのセクションから構成。写真や映像、現物の展示に加え、iPodが使った音声ガイドによりロボットのイメージの変遷を詳しく解説してくれる。


これだけを聞くと、勢いと情熱だけで起業したように思われてしまうが、ロボットを世の中に広めていく以上、石古さんなりに「ロボット」というアイコンがもつ意味や力を探ろうとしていた。

「起業する前に、大阪大学の浅田稔教授など著名な先生方やロボット業界の方たちに、ロボットの定義について聞いて回ったんです。ところが、返ってきた答えは、それぞれ違っていました。『動くコンピュータである』と定義する方もれば、『ずばり鉄腕アトムです!』と言う人がるという具合に...」。

ロボットが長くフィクションの中で描かれてきたためイメージが発散し、結果、曖昧なものになってしまったからなのであろう。

しかし、石古さんは次のように考えた。

「そのような曖昧さを包含しつつも、世界的に見てロボットは、古くから未来を指向するアイコンとして確かに存在していました。想像と創造の源としての意味やパワーをもっていたと思うんです。ロボットを見てワクワクするのは、そのためでしょう。だから、僕たちはこう考えたんです。ロボットとは『夢と希望と未来の象徴』であると」

この定義は、同時に「ロボットというアイコンがもつ意味を一緒に考えてみませんか?」というメッセージも含むという。そして、それをビジネスとして運営しているのが、ミュージアムの主要コンテンツ「ROBOTHINK」であることを石古さんは明かす。

ROBOTHINKとは、企画展示とテーマ展示などから構成される、さまざまな角度からロボットを知るスペースである。現在、テーマ展示として運営されている「ロボットクロニクル」では、ロボットという言葉が生まれる以前の歴史から、ソニーのAIBOなど人と共生するロボットが登場し始めた現在までを展示。写真や映像などから、感覚的にロボットのイメージと思考の変遷を学ぶことができる。映画「メトロポリス」で登場したマリアや、お馴染みの鉄腕アトムやガンダムなどが一堂に展示され、その空間に入るだけでワクワクする構成になっている。

ただし、ROBOTHINKやロボットクロニクルでは未来の姿は描かれていない。

「本当は、来場者の方たちはロボットの未来という結論を知りたいはずです。でも、未来の姿を製作すると、その時点で膨大な費用がかかることを、ロボット業界の方たちからアドバイスされていたんです。ビジネスとして取り組む以上、そうした展示内容にするのが賢明でした」と、石古さんは経営者としての面を覗かせる。

同ミュージアムはオープンからすでに7カ月が経過し、来場者を順調に伸ばしている。中でも、海外からの来場者が目立つ。「技術としてのロボット、文化としてのロボットを見せたいがために、わざわざニューヨークから訪れた親子もいた」ほどだという。

「新しいモノや未来を感じたいという心理は、きっと万国共通なのだと思います。僕たちは、ロボットを『夢と希望と未来の象徴』として提示していますが、これだけ多くの方が訪れているというのは、僕たちのメッセージを受け止めてくれた証だと捉えています」

知財のマッチングも視野に そして次世代ロボットマーケットの創出へ

ミュージアム内で開催されたロボットショーの様子。

ミュージアム内で開催されたロボットショーの様子。海外からの来場者が多く、関連グッズを“大人買い”していく人が絶えないという。


現在、同社ではミュージアムの運営やロボット関連グッズの販売など、すでに複数の事業を手がけている。今後は、ミュージアムのコンテンツおよびフランチャイズ制による販売拠点の拡大を図りつつ*3、新たなビジネスの柱として、「IRT*4推進事業」にも取り組むことを、石古さんは明かす。

(*3:フランチャイズ制によるミュージアムでのロボット販売事業の他店舗化、大型ショッピングセンターへの出店などを検討している。また、他県や他市から地域振興の一環としてミュージアム運営のノウハウの提供が求められているという。店舗拠点の拡大とともに、運営ノウハウの提供も今後の事業展開に含めている。)
(*4:通信やコンピュータ技術を意味する「Information Technology」(IT)と、実世界で形や動きを伴うロボット技術「Robot Technology」(RT)を融合させた言葉。)

「ロボットの3大要素と言えば、センサ、アクチュエータ、制御であり、それに関する技術シーズを保有する企業や研究機関は数多くあります。そこで、当社がこれらの技術シーズとユーザー企業などとをマッチングし、ビジネスとして展開できるようお手伝いができればと考えています」
同事業は、中部経済産業局などの行政や、設立を進めているNPO「日本ロボット振興協会」の支援を受けながら進めていくという。

ただ、コンサルテーションを伴う事業になるため、その人員の確保が必要とされるが、それについては、「事業提携先のノウハウ活用しながら進めていく」という。「内部に資源を確保するのか、それとも外部の資源を活用するのか、そのメリハリをつけないと、ベンチャー企業の経営はすぐに行き詰まってしまいますから」と、熱い語り口の中にも冷静な一面を覗かせてくれた。

最後に、石古さんはロボット開発の現状を踏まえつつ、今後の目標を語ってくれた。

「現在のロボット開発は、企業や研究機関の成果発表というレベルにとどまっています。サービスプロバイダーがいなければ、販売チャンネルもほとんどないです。また、ロボットに関する情報も不足しています。次世代ロボットのコンサルティングファームを構築することが必要です。

それをつくることが究極の目標ですが、すでに豊富なロボットのコンテンツをもっているので、まず、それをプロバイドしていくことを今後、数年間の目標にしています。さらに、IRT推進のためのコンサルテーションにも力を入れていきますが、こうした当社の取り組みが結果として、次世代ロボットマーケットの創出につながるのではないでしょうか」

※2007年6月11日掲載のロボナブルより転載

企業データ

(株)ジャイロウォーク 代表取締役 石古 暢良

〒814-0001 大阪市西区江戸堀1-23-30 TEL(06)6444-8808

参考Webサイト

ロボットミュージアム in 名古屋

名古屋市中区錦3-25-20 TEL(052)957-1655 /FAX(052)957-1651

ロボニカ・エクスプレス・アーカイブス


掲載日:2007年7月31日

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