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ロボ・ステーション


ロボットメーカーの開発戦略 次の一手はこれだ
コンポーネント・ユニットの提供でサービスロボットの活性化を図る 【安川電機】

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横山 和彦部長

横山 和彦さん Yokoyama Kazuhiko

技術開発本部 開発研究所 ロボティクス要素技術開発グループ 技術担当部長 RT要素技術チームリーダー。1980年、九州大学 工学部 情報工学科卒。1982年、同大学大学院情報工学専攻終了。同年、安川電機製作所(現安川電機)に入社。現在、同社開発研究所 ロボティクス技術開発グループ 技術開発担当部長 RT応用技術チームリーダーを努め、次世代ロボットの研究開発に従事する。

松熊 研司氏

松熊 研司さん Matsukuma Kenji

技術開発本部 ニューメカトロニクス事業化推進室 次世代ロボットチームリーダー。1991年,早稲田大学理工学部機械工学科卒業。1993年,同大学大学院理工学研究科機械工学専攻修了。同年(株)安川電機に入社。現在,技術開発本部ニューメカトロニクス事業化推進室次世代ロボットチームリーダー。次世代ロボットシステムの研究開発に従事。

ほぼすべてのRTコンポーネントを開発する安川電機は、サービスロボットだけでなく、それを構成するRTコンポーネント、RTユニットを提供するビジネスも模索するなど、多くの選択肢を持っている。今後、サービスロボットの立ち上げに当たり、同社はどのようにコミットしようとしているのか、また、そのためにどのような市場環境が求められるのか、技術開発本部の横山和彦氏と松熊研司氏に聞いた。

コンポーネント・ユニットの実証機として

SmartPal使用例SmartPal

(写真:2005年2月にプレス発表したSmartPal。同社が開発したRTコンポーネント、RTユニットを組み込んで実証し、開発にフィードバックするという役割も持つ。)

2005年2月にマスコミ発表した「SmartPal」の開発に着手したのは、2003年の春頃からです。産業用ロボットメーカーである当社がサービスロボットを手がけることに違和感を覚えられるかもしれませんが、活線作業ロボットや病院内でのカルテの搬送ロボット、食事搬送ロボットなど、かなり以前から非製造業用のロボットを開発してきました。当社の場合、高いモータ技術を保有しているので、一貫して腕の制御をベースとした作業ロボットに注力しています。昨年末に双腕ロボットを発表して話題になりましたが、1989年に開発した活線作業ロボットも、両腕を巧みに用いて作業を行うものでした。

SmartPalは病院などの公共施設、管理者がいるような施設での利用を目指していますが、実は、実証システムとしての役割も担っています。社内でその開発プロジェクトを立ち上げる以前に、当時社長だった中山眞会長を交え、次世代ロボット産業などについて半年ほどかけて議論したことがありました。その中で、今後のロボットの普及を考えた場合、開発を支援するためのユニット化、コンポーネント化されたロボット要素が供給される体制を用意する必要があると考えました。

もう少し詳しく言いますと、センサやアクチュエータのような基本機能を実現するRT(Robot Technology)コンポーネントと、これらと制御ソフトウェアを組み合わることで実現する移動機能、マニピュレーション機能、把持機能、環境認識機能など単体機能を実現するRTユニットの整備です。そして、この考えが正しいかどうかを実証するために製作したのが「SmartPal」です。現在までに三号機(SmartPal?)まで開発しています。徐々にユニット化を進めると同時に、各RTユニットを構成する新たなRTコンポーネントができたら、SmartPalに組み込んで検証し、開発にフィードバックするということも行っています。次の四号機(SmartPal?)は、2007年をメドに発表する予定です。

また、今後のサービスロボット市場の立ち上げを考えた場合、ユーザーニーズを熟知し、それに合わせてカスタマイズしたロボットを供給するシステムインテグレータが市場に参画することが必要だと考えています。RTの専門家ではない彼らの積極的な参画を促し、ビジネスの規模を拡大するという意味でも、上述のRTコンポーネント、RTユニットは非常に有効だと思います。

今後、サービスロボット市場が立ち上がったときは、ロボット本体を販売するだけでなく、上記のRTコンポーネントやRTユニットを提供するビジネスの展開も視野に入れています。

まずは次世代産業用ロボットから

SmartPalでは、行える仕事例として受付や案内、手渡し搬送、テレビ電話などを想定しています。これまで産業用ロボットを開発してきたので、全社的に「何か作業をしないとロボットとは言えない」と考える風土があります。そのため癒しではなく、あくまで物理的な仕事で人に役立つことを意識しています。

ただし現状では、SmartPalをいきなり販売しても売れるとは考えていません。

「次世代ロボット」には、サービスロボットに加え、産業用ロボットがあります。工場内を見渡すと、産業用ロボットが適用されていない作業がまだまだ多くあります。ですので、まず次世代産業用ロボット市場が立ち上がり、次いで公共施設で適用するサービスロボット市場が、最後に家庭用のサービスロボット市場が立ち上がると捉えています。次世代産業用ロボットの開発で培った技術はサービスロボットに水平展開できるので、当面はこちらに注力します。同時に、サービスロボット市場を喚起しつつ、臨界点に達する時期を待つことになります。しかるべき時期を迎えたときに、いつでも提供を始められるようにしておくことが必要ですから。

とはいえ、たまに自動車工場を見学させもらうことがありますが、「これは難しいなあ〜」と、思わずため息をついてしまうような作業ばかり、ニーズとして寄せられます。特に組立作業に関するものが多く、柔らかいワークの把持やワイヤハーネスの組付け作業などもあります。民間企業だけでは開発が難しい部分がありますが、少しずつレベルアップしていくことが大切なので、その開発に精力的に取り組みたいです。

普及には、やはり安全がカベになる

松熊 研司氏

今後、サービスロボット市場を喚起するためには環境の整備が必要になります。まずクリアしなければならないのは、皆さんもよく指摘される安全性です。当然、ロボットそのものの安全技術の開発も必要ですが、何よりユーザーの理解が不可欠です。

私の個人的な捉え方ですが、ロボットはバイクに近いものではないかと考えています。便利だけど、使い方を誤ればケガにつながってしまうもので、その理解が進まないと普及は難しいと思っています。メーカーとしては、ロボットが持つベネフィットを示していくことが重要で、それに伴うリスクがあることを理解してもらったうえで使用してもらうというコンセンサスを得なければなりません。

私も議論に加わっていた「平成18年度サービスロボット市場創出支援事業」では安全の問題を大きく取り上げ、「ロボットの製造・導入・運用までの一連の安全性確保の手法を開発」することを求めています。ロボットの安全は一企業では難しい課題なので、このように国家および自治体による各種施策などにより環境を整えていく取り組みは有益なことだと思います。

なお、SmartPalは上述の通り、公共施設での利用を目指していますが、安全性を考慮すると、ユーザーと空間を区切ることができるアプリケーションから提供していくことになると思います。2005年の愛知万博にて、飲食店を模したロボットカフェ(RobotCafe)ではSmartPalが来店したお客と対応して注文を聞き、注文品を準備してお客が座っているカウンターへの配膳などを行う作業などを実施しましたが、これはその一例です。また、腕を使った作業を伴わない受付や案内なども最初に提供されるサービスになるでしょう。

また、ある1つのロボットにアプリケーションを搭載していくような動きがあれば、サービスロボット市場を早く喚起できるのではないかと考えています。すでに他社さんが発売されているサービスロボットを見ると、どれも機能が非常に似ているので、そのように感じてしまいます。そうすれば、当社のRTコンポーネントやRTユニットが売れるのかもしれないなどと期待しています。「ロボットの開発費がかかるので、安川からユニットを買おうか!」という話になればよいのですが、そのような時期を迎えるのは、もうしばらくかかるでしょう。

過度な期待がある中で、いかにニーズを引き出すか

横横山 和彦部長

(写真:今後のサービスロボット市場の立ち上げを考えた場合、ユーザーニーズを熟知し、それに合わせてカスタマイズしたロボットを供給するシステムインテグレータが市場に参画することが必要だと訴える横山部長)

わが国は、世界的に見てもロボットが好きな国民だと思います。きっと、鉄腕アトムをはじめとするアニメの影響なのでしょう。ロボットへの抵抗が低いです。しかしながら、そのためにロボットに過度な期待が寄せられる嫌いがあります。特にヒューマノイドは、人と同様の作業ができると誤解されがちです。当社のSmartPalは道具であることを強調するため、顔や脚がないデザインにしています。機械っぽく、冷たいイメージを与えますが、玄人ウケしています(笑)。展示会を見たドイツ人からは、「玩具ぽく見えないので、むしろこのデザインがいいんだ!」という声をいただきました。

ロボットが適用できるアプリケーションは多種多様です。また、上述のようにユーザーの期待も高いです。産業用ロボットと異なり、サービスロボットの開発はユーザーのニーズを掴みづらいので、どうしてもシーズ中心になりがちです。いかに一般の方からニーズを引き出すかが重要であり、実証実験を通じて、人に役立つアプリケーションを見出していきたいです。

参考文献

1)横山和彦:ロボットシティに向けてのRTユニットとRTコンポーネント、日本ロボット学会誌、Vol.22 No.7、日本ロボット学会、pp.29-pp.32、2004.

※2006年10月14日掲載のロボナブルより転載

企業データ

安川電機

〒803-8530 北九州市小倉北区大手町12-1


掲載日:2007年7月31日

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