本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > ものづくりの原点

ものづくりの原点


第50回

ポーラス電鋳金型で世界へ飛躍[江南特殊産業]

野田泰義社長

野田泰義社長

ウェブサイトへ

従来成形の14分の1の熱量で製造

江南特殊産業(愛知県江南市、野田泰義社長、0587-54-5131)は、自動車のインストルメントパネル(インパネ)などの成形に使われる電気鋳造金型が主力事業。同社製の金型で成形された製品は今や世界中の自動車に搭載されている。そもそも電気鋳造は電気分解により原型の表面にニッケルなどの金属でメッキ層を形成。電鋳金型はそのメッキ層を原型からはく離して金型として使用する。原型表面の微細な模様を正確に転写できるのが特徴だ。

そのなかでも同社独自の「ポーラス電鋳」は世界から注目を集める技術だ。同社がこの技術を開発したのは82年。同技術で製作した金型には表面に直径0.1ミリメートルほどの穴が無数に開いている。熱して柔らかくしたシート状の樹脂材料をこの金型の上にのせ、穴が開いた型の裏側から吸引することでインパネなどを成形する。

かつてインパネはスラッシュ成形法という別の方法で製造されていた。スラッシュ成形法は電鋳金型自体を200℃以上に熱し、パウダー状の樹脂を金型に吹き付けた後、金型を冷却し成形品を取り出す。これに代えてポーラス電鋳金型を使えば、金型を加熱したり冷却したりする必要がなく、スラッシュ成形法に比べ約14分の1の熱量で製造できる。また従来は2万-3万回の成形で金型を交換しなければならなかったが、加熱や冷却で金型を酷使しないため、約50万回まで交換不要という。

現在、同社のポーラス電鋳金型は世界中に広まり、同金型により製造した自動車部品を「搭載していないメーカーの方が珍しい」(野田泰義社長)という。しかし同技術を普及するのは並大抵の苦労ではなかった。

インストルメントパネル用のポーラス電鋳金型(左)とポーラス電鋳金型により製造した自動車用樹脂部品(右)

インストルメントパネル用のポーラス電鋳金型(左)とポーラス電鋳金型により製造した自動車用樹脂部品(右)

米ビッグスリーとの取引に成功

ポーラス電鋳金型は、まず国内の一部自動車メーカーに採用された。しかし日本国内の特許しか取得していなかったため、同業他社が模倣して、先に米国の自動車メーカーなどへ売り込んでしまった経緯がある。ところが、当時の米国メーカーの間でポーラス電鋳金型が正しく評価されず、技術が定着することはなかった。実際、同社が米国展開を進めた当初は、メーカーの間で「ポーラス電鋳は使い物にならない」という評価が当たり前で、相手にされなかったという。

金型製作工程の一部である原型の作成作業

金型製作工程の一部である原型の作成作業

それから16年後の98年、一通の電子メールが同社に届いた。トヨタ自動車の「カルディナ」のインパネが優れていることに気づいた米フォードが、その金型を製作したのが江南特殊産業だと突き止めた。このフォードの採用を皮切りに、ついに米ビッグスリーとの取引が始まった。

07年3月に同社は経済産業省の「中小ものづくり高度化法」の認定を受けた。これにより金型を冷却するための配管を金網電鋳で固定する金網電鋳配管法を応用させた「MPM電鋳金型」を強化していく方針だ。「電鋳金型のトップメーカーとして、さらに他社と差別化を図る」(同)と力が入っている。


掲載日:2007年9月20日

前の記事次の記事

愛知県自動車部品金型


このページの先頭へ