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ものづくりの原点


第39回

ソレノイド技術を生かした視覚障害者用点字ディスプレイの開発 [ケージーエス]

榑松武男社長

榑松武男社長

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赤字受注断る

ケージーエス(埼玉県比企郡小川町小川1004、榑松武男社長、0493・72・7311)は、産業用ソレノイド(電磁力で鉄心が直線運動する動力伝達装置)や、ソレノイド技術を生かした視覚障害者用点字ディスプレイ製品を生産している。点字機器に組み込まれる点字セルの世界シェアは75%に達するトップメーカーだ。

視覚障害者の支援機器だけに「気持ちを込めた製品づくりが欠かせない。顧客が次ぎに何がほしいかを常に意識している。社員には社会に欠かせない製品を手掛けているというプライドがある」(榑松武男社長)という。こうしたポリシーが点字関連機器ばかりでなく産業用ソレノイドを含む全製品に浸透。すべての製品を「5年保証」していることからも、同社の姿勢がうかがわれる。

同社の産業用ソレノイド生産は50年近くの歴史がある。かつてはオープンデッキ式やカセット式のテープレコーダー用ソレノイド(一時停止用など)を量産した。しかし需要が激減、その後登場したビデオ用もDVDなどのデジタル化で市場が縮小。複写機用も海外シフトで勢いを失っている。業界は常に淘汰の波にさらされてきた。

この中で同社は「あえて赤字受注を断り、同業他社がやらない短納期、小ロット生産に取り組んだ」(同)という。さらに5年保証を打ち出し、目先にとらわれない品質といった価値を顧客に認めてもらう生産・開発活動を推進した。

ソレノイドの新領域開拓

点字ディスプレイのプレイルメモポケット

点字ディスプレイのプレイルメモポケット

この一環として開発普及を目指しているのが、低衝撃ソレノイド。ソレノイドは可動鉄心と固定鉄心で構成。可動鉄心が吸引され固定鉄心と衝突する衝撃が自己破壊し、製品寿命を短くする。このため同社では、可動鉄心を中空にして軽量化。これにより、従来、ソレノイド内の磁力によって生じていた強力な吸引力を低減。固定鉄心とぶつかる衝撃や作動音を緩和した。ソレノイド本体の耐久性を高め、メンテナンス時の交換頻度を軽減する。ソレノイドを組み込んだ機器のダメージ軽減にも役立つ。

一方、点字機器は特殊な素子を利用。電圧をかけることで伸縮する同素子の性質を生かしている。ピンが上下運動するディスプレイに指を乗せることで、点字メッセージを読み取る。同社では「軽薄短小」を開発テーマとし、世界最小級の製品を供給している。

同社では所属する財団法人日本電気制御機器工業会を通じ、ものづくり基盤技術高度化法に関する制度を紹介され、同制度の認定企業となった。開発テーマは「ソレノイド技術の高度化」。エコロジーの観点から10年交換不要といった製品の長寿命化などもテーマの一つ。また脳疾患などの患者の刺激感知度を検知するための感覚刺激装置など、医療福祉分野で利用できる付加価値の高いハイエンド製品の開拓も推進している。

行動力とネットを生かす

顧客の心を読んだモノづくりが、成熟部品であるソレノイドの活路を開いてきた。業界の常識を打破してきた榑松社長の行動力は、産学官のネットも広げた。06年にはこれら関係者の協力を得て、国内初の視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド」を開催。榑松社長はその実行委員長を務めた。「障害者不在の展示会では意味がない。同イベントのようなダイレクトな障害者の声が新たなモノを生み出す」(榑松社長)と、日本の福祉の地位向上にも情熱を燃やしている。


掲載日:2007年7月 6日

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