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ものづくりの原点


第33回

地道な努力で試練を克服 [有田工業]

木下鷹久社長

木下鷹久社長

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船舶・土建向けが事業の両輪

有田工業は1954年(昭29年)に長崎市で設立した。創業当初は鋳物業を営んでいたが、57年から長崎県内を中心に溶融亜鉛めっき事業を始めた。現在では溶融亜鉛めっき事業を主力に粉体塗装事業や製作加工事業などを展開している。顧客の約4割が船に使う配管などの船舶関連で、残りがガードレールや信号機など土木建築関連となっている。

現在の業況は積極的な船舶投資を背景に造船関連の仕事が増加し、順調に推移している。一方で土建関連の仕事は公共事業の抑制で減少傾向にあるが「造船関連で補っている」(木下鷹久社長)と話す。このように同社にとって土建関連と造船関連の仕事は、車の両輪のような位置づけになっている。

現在の課題は溶融亜鉛めっきの材料となる亜鉛が高騰していること。世界的に亜鉛の需要が急増していることに加えて投機的な資金が流入し、価格が上昇している。木下社長は「亜鉛が建値で3倍近く上昇している」と、収益面での悪影響を危惧する。

そこで工場現場で取り組んでいるのが、亜鉛の使用量を減らす改善活動だ。一般に溶融亜鉛めっきは、めっきを行う部材を溶融亜鉛槽に投入し部材表面にめっき加工を施す。しかし部材を投入した際、部材に含まれる鉄イオンと亜鉛が反応した合成物が生成される。この合成物は無用の産物で、無駄に亜鉛を使っていることになる。

そこで同社は部材を溶融亜鉛槽に投入する前の工程で部材を塩酸の槽に投入。これにより鉄さびなどの酸化皮膜を除去し、鉄イオンを減らしている。木下社長は「亜鉛の高騰は良い試練と理解している。地道な努力でコスト削減を進める」と力説。経営環境が悪化する中でも、ものづくりへのこだわりを見せる。

顧客満足を追求

日々改善に取り組む溶融亜鉛めっきの作業現場

日々改善に取り組む溶融亜鉛めっきの作業現場

一方で溶融亜鉛めっきは膜圧などの品質面が日本工業規格(JIS)で決まっており、「耐食性など技術的な点で差別化することは困難」(同)と指摘する。また槽の材質などが技術革新しただけで、本質的な技術は変わっていないという。こうした状況で競争に勝ち残るには顧客サービスの充実が求められる。

同社は亜鉛の使用量の低減や歩留まりの向上などを図り、コスト削減を推進。加えて納期の順守や品質の安定化、顧客への誠実な接客など基本的な業務を着実に行っている。木下社長は「サービスとコストダウンで勝負する」と強調する。07年6月期売上高は約13億円になる見通しで、溶融亜鉛めっき業界でのシェアは1%程度という。

今後の経営課題としては設備投資をあげる。めっき槽は浸食されるため、8年程度で更新する必要がある。また部材を槽に投入するクレーンも老朽化が進んでいるという。「亜鉛の高騰が収束した段階で実施したい」(同)としており、大規模な設備投資への準備を進めている。

また事業領域の拡大にも余念がない。近年、めっき加工した部材に粉体塗装を行う事業を本格化しており、新たな柱に成長しつつある。粉体塗装は競合他社が多く経営環境は厳しいが、顧客に迅速に対応することで受注を増やしてきた。今後は「表面処理というキーワードで新たな事業を模索し、付加価値の高いサービスを提案する」(同)考えだ。

大型構造物に対応

設備面での特徴は長さ12.5mの大型めっき槽を有することだ。ガードレールや船舶向けのパイプなど大型の構造物に対応できる。このほか長さ8mのめっき槽も保有しており、溶融亜鉛めっきの月間処理能力は合計で3,000tになる。

また亜鉛の付着量テストを徹底して実施するなど、品質面でも顧客の評価は高い。顧客から要望があれば、めっきだけでなく粉体塗装も行うなどサービス面も充実している。木下社長は「今後も顧客の要求にこたえていく」と話している。


掲載日:2007年5月24日

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