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ものづくりの原点


第27回

図面レス化で短納期実現 [近畿精工]

畑澤康弘社長

畑澤康弘社長

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3次元設計で他社と差別化

近畿精工(滋賀県長浜市、畑澤康弘社長、0749-63-3596)は、携帯電話やデジタルカメラなどに使うプラスチック製品用の高精度射出成形金型を手掛ける金型メーカー。物体の質量や重心を求め、断面表示も可能な3次元ソリッド設計をいち早く採用。ITを駆使した図面レス加工と微細加工技術で高精度な量産金型の短納期化を実現し、他社にマネできない技術を確立した。

もともと工業用ミシン部品や自動車部品を手掛けていたが、1980年代後半から金型生産に特化。先発メーカーに追いつくため、当初から3次元金型設計を採用し、図面簡素化に取り組んだ。92年に、3次元CAD/CAMのハイエンドモデルを導入。デザイン、寸法精度の難易度が高い焼入金型製作も始め、デジカメや携帯電話の量産金型を受注する。

同社製金型で生産された携帯電話の筺体

同社製金型で生産された携帯電話の筺体

ノキアやモトローラなど携帯電話メーカー向けに、金型内にデザインを施しプラスチック表面に画像を転写するインモールド金型も開発。00年から、複雑設計が必要な携帯電話本体の金型生産を始めた。

携帯電話の金型は約300パーツで構成され、パーツ間のすき間は10μm(マイクロは100万分の1)以内の寸法管理が要求される。携帯電話用金型は、ほかの金型と比べ製品サイクルが短く、生産技術を持つ企業は国内メーカーの10%程度といわれる。

同社は職人技が必要だった図面設計をIT技術でカバーし、図面レスで加工する。取引先とウェブで常時接続して、設計図が未完成の状態から金型作りはスタートできる。ワイヤ放電加工機などを活用した生産技術も強みで、量産金型としては業界トップクラスとなる20日間の短納期を実現。畑澤康弘社長は「設計の遅れを金型製作で取り戻すのが仕事」と話す。

04年には短納期化で増加した経理業務の負担解消を目的に、設計データと受注、納期、見積もり、財務管理を一元管理するシステムを導入。年間で売上高の8%にあたる2400万円の経費削減にも成功している。

脅威は中国

99年ごろからデジカメの生産は海外シフトし始めたが、同じ傾向が携帯電話にも見られる。ハイテク金型と呼ばれる携帯電話の金型は国内企業しか対応できないとされたが、中国企業による生産が一部でスタート。国内での競争は無いと考える畑澤社長だが、金型生産の歴史が浅い中国企業は脅威に写る。「職人に縛られないので、最新の設備、技術で勝負してくる。同じ技術レベルで人件費を考慮すれば勝ち目は無い」と読む。

携帯電話メーカーの要請で、06年に携帯電話の樹脂製シャシーの量産を可能にする金型開発に着手した。高強度で耐熱、耐薬品性に優れたポリアミド樹脂やポニフェニレンサルファイド(PPS)樹脂にガラスを含み強度を補強した材料に対応する金型を開発した。強度などの理由でマグネシウムで生産するシャシーの樹脂化は、5μmの寸法管理が必要で不可能とされた。工程ごとに加工寸法を機械で計測し、技能者も養成し加工精度を高め開発に成功。マグネシウムを成形する金型と比べ開発した金型は、約10倍の100万ショットが可能で、金型費削減にもつながる。既に携帯電話メーカー1社から受注した。

このほか産学官連携で進める医療向け樹脂製検査チップ開発事業にも参画。精密金型製造技術を生かし、使い捨て可能な高機能マイクロ化学分析システム(μTAS)チップ量産化のための金型開発も進めている。

IT技術を駆使

3次元図面設計ソフトを活用した高精度金型の設計制作技術と業界トップクラスの短納期化が強みの金型メーカー。携帯電話、デジタルカメラなどエンジニアリングプラスチックの量産金型製作に特化し、顧客からの信頼を得ている。

IT技術を駆使した高精度な図面設計と、図面レスの加工技術で顧客から高い信用を獲得する。後発メーカーのため昔ながらの図面製作にこだわる職人がいなかったことが、いち早く3次元図面設計を採用できた格好だ。同社の金型技術を頼りにする企業は多く、自動車部品の金型製造も扱っている。


掲載日:2007年4月12日

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