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ものづくりの原点


第26回

油から水そして空気、さらに真空へ [大晃機械工業]

立花春三社長

立花春三社長

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受け継がれる創造の遺伝子

スクリュー式ドライ真空ポンプの内部構造イメージイラスト

スクリュー式ドライ真空ポンプの内部構造イメージイラスト

大晃機械工業(山口県熊毛郡田布施町大字下田布施209-1、0820-52-3111)のキーワードは「油から水そして空気、さらに真空へ」。同社はポンプなど流体機器を中心に事業を展開し、06年4月に創業50周年を迎えた。創業のきっかけは、千葉工業大学の武藤誠孝教授が発明した欠円ギアだ。特許実施権を譲り受けて、欠円ギアを使った歯車ポンプの工業化を目指し、山口県田布施町の工場誘致第1号としてスタートした。今、はやりの大学発特許の実用化に51年前に挑戦していたのである。

欠円ギアは1点連続接触歯車で、普通のインボリュート歯車の欠点である液圧縮による騒音・振動、短寿命といった欠点を解消、現在では汎用的に使われるに至った。同社はこの欠円歯車ポンプで舶用の油移送市場を切り開いた後、ねじポンプ、造船所向け海水移送用などの遠心ポンプ、陸用設備向け水処理曝気(ばっき)用や粉体空気輸送用などのロータリーブロワーへと製品の多角化を進めた。

さらに、それらの経験を融合させ、真空の領域にまで駒を進めた。このように創業時の「開発企業型の創造の遺伝子」は連綿と受け継がれている。現在も独自のスクリュー形状のドライ真空ポンプで、パイオニア的存在感を発揮し、半導体製造からフラットパネルディスプレイ(FPD)製造分野へと用途を広げている。06年4月には経済産業省・中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」に選定された。

積極的な海外展開

同社のもう一つの特徴は中国を中心とする積極的な海外戦略である。立花春三社長は「市場としての中国に注目」して、まだ日本で中国ブームが盛り上がらないうちから中国に目を向けた。74年に歯車ポンプを輸出してから中国とのつながりが断続的に続き、技術供与などを経て、95年に合弁で山東章晃機械工業有限公司、00年に合弁で山東豊晃鋳造有限公司、02年には単独で山東大晃機械有限公司を、03年には合弁で重慶大晃康環保技術有限公司を設立した。

また現在、青島に20億円を投じて中国の主力工場を建設中。一部の建家が完成し、6月には鋳造工場の操業開始を予定している。2年後には全面完工し、舶用、陸用の各種ポンプを手がける計画。小型ブロワーの関連企業、世晃産業(田布施町)の中国工場、上海晨晃機電を含めて中国で操業している5つの子会社・関連会社がすべて黒字だという。その結果、山口県では中国で成功した企業の代名詞になっている。

立花社長は「中国は人間関係の国。それを理解しないで金と技術を持っていけば何とかなると思うと失敗する」という。それだけに同社は中国の従業員に対する投資を惜しまない。同県柳井市に国際研修センターを設け、中国の関連会社の従業員の研修を定期的に実施。また毎年15〜20人を1年間、日本の本社工場で実地訓練しているので、中国関連5社の従業員300人強の大半が日本での実地訓練組だ。

舶用・真空の補完で安定を

工場全景写真

工場全景写真

同社の06年3月期は売上高120億円、受注高130億円、07年3月期はそれぞれ141億円、168億円の見通し。売り上げは創業以来最高で「収益もそれなりについてきている」(立花社長)そうだ。売上高の65%が舶用で、35%が陸用と真空ポンプ。このところ造船業が活況を呈しており、これが好調な業績を支えている。

一方で、真空ポンプも当初の医薬品・ケミカル業界向けから半導体業界、そして近年では液晶やプラズマなどのFPD業界、太陽電池業界向けへと進化を遂げてきた。同社独自のスクリュー形状が強みを発揮している。このスクリュー式は角ねじ式に比べ、1回転当たりの排気量が大きく、したがって低速で運転できるため、反応生成物などによるトラブルを避けることができるのが特徴。

半導体製造装置で多用されている多段式の真空ポンプは反応生成物が滞留してトラブルが多発するのに対し、スクリュー式ではこのトラブルが少ないため、反応生成物の多い化学気相成長(CVD)装置やエッチング装置から採用が始まった。現在では大容量がこなせるため、半導体に比べチャンバーが大きいFPD製造装置への採用が進んでいるそうだ。

将来は舶用と真空ポンプの比率を半々にもって行く計画だ。立花社長は「造船も半導体・FPDも好不況の波が大きな産業なので、両方が補完し合って安定した企業体質にしたい」と意気込んでいる。また今後もモノづくり重視の姿勢を変えず、現場を重視していく考え。開発も「流体を扱うという基本的な技術を高度化する形で進めていきたい」と“創造の遺伝子”の若手への継承に力を入れている。


掲載日:2007年4月 5日

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