本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > ものづくりの原点

ものづくりの原点


第15回

熱処理技術の最先端を提供 [朝日熱処理工業]

村田 茂社長

村田 茂社長

ウェブサイトへ

温度や制御など諸条件のコントロールに注力

朝日熱処理工業(大阪府寝屋川市、村田茂社長、072-827-1139)は、1978年の設立以来、数万種類以上の製品をガス浸炭、窒化、浸炭窒化、プラズマ窒化など多様な熱処理で手掛けてきた。自動車部品をはじめカメラ、弱電部品など精密部品、金型の熱処理が得意。熱処理によるひずみや寸法変化を予測し、ユーザーが求める範囲内に納める実績を多く持つ。「浸炭の深さのコントロールにおいて、過去のデータや傾向をもとに0.03ミリメートル単位で制御できる」(村田社長)と強調する。

基盤技術である熱処理は海外展開しにくい工程。理由は繰り返し耐える強度や組織に達しているか確認作業が難しいためだ。最近は取引先が海外に熱処理を移行した量産品の受注が再び戻っているケースが見られるという。一方、日米の自動車部品の熱処理技術を比べても断然日本のほうが優れている。

熱処理は温度設定や制御、炭素、窒素などをうまく浸透させるポテンシャルが、長寿命化に大きな影響を与える。素材や熱処理がまずいと寿命が短く破損につながる。そういう意味で熱処理の位置づけは重要と言える。

村田社長は「金属は正直である」と実感し「諸条件を一定化させ再現性を高めるため熱処理条件のコントロールに注力してきたし、これからもそうしていきたい」(同)と話す。

さらなる低温化を目指す

プラズマ窒化処理中の家電部品

プラズマ窒化処理中の家電部品

同社は熱処理条件のコントロールにおいて、まず第一に低温化している。熱処理の問題は高温処理するため温度や組織変化による膨張がつきまとうこと。温度を下げるほど熱による膨張変化は抑えられる。物理的には低温にするほど反応時間がかかりコストを費やすため、これらのバランスをうまくとり、熱処理から得られる機能を兼ね備えながら低温化を目指している。

現在、浸炭930℃、軟窒化570℃、浸炭窒化850℃が標準的な熱処理に必要な温度と言われている。同社の浸炭窒化はカメラ部品用などの顧客の要望を受け750℃以下に下げ、量産品や多品種少量品を手掛けている。軟窒化は420℃まで下げた。

耐食性を維持したまま耐潤滑性が高いオーステナイト系ステンレスの開発も進めている。浸炭窒化は安価な素材でも効果が出せるのが利点である。

量産品は熱処理後に海外工場で組み立てるものが多い。しかし熱処理の段階で指紋などの異物がつけばサビにつながる。そのため指紋をつけず密封した形で送るなど清浄な外観仕上げの要望にも応じている。将来的には金属精密部品を熱処理した後工程の研磨についても事業を広げたい考えだ。

一方、村田社長は「取引先のM&Aの増加や大手企業で熱処理に詳しい技能者が少なくなっている業界の環境変化を感じ、その中で技術相談される機会も増えている」という。同社ではこうした状況をチャンスととらえ、毎週土曜日に社内勉強会を開き、技能伝承や技術相談に即答できる社内体制を構築中だ。また新幹線などの座席予約方式で短納期や工程管理するシステム化を進めている。

金属に魂こめる

同社の工場には『がんばれ大阪のモノづくり』の看板が掲げられている。村田社長は熱処理が基盤産業を支えていると自覚している。熱処理で発生するひずみの矯正は後工程で行うが、量産品は機械化できても単品は人的に頼らざるえない。繰り返したオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)が必要であり、こうしたノウハウが企業のブラックボックスとなっている。社内教育を通じて「金属に魂を入れてやる」という村田社長の思いが全社的に浸透しつつある。


掲載日:2007年1月19日

前の記事次の記事

大阪府自動車部品製造業金型


このページの先頭へ