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ものづくりの原点


第3回

クロム全廃の亜鉛メッキ法開発 [サンビックス]

猿渡旭社長

猿渡旭社長

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まずゼロウイスカー

サンビックス(福島県郡山市、猿渡旭社長、024-933-5755)は、クロムを全廃した亜鉛メッキ法「ゼロクロムS」を開発した。欧州特定有害物質使用規制(RoHS)指令で欧州向けの亜鉛メッキは、六価クロムから三価クロムに転換が進んでいる。サンビックスは一気にクロムを全廃し、製品だけではなく排水からも有害なクロムをなくすことに成功した。

ゼロウイスカーS全自動ライン。コンピューター室向けの支持脚カバー

ゼロウイスカーS全自動ライン。コンピューター室向けの支持脚カバー

同社は従業員40人の町工場。金物商社に勤めていた猿渡社長が1973年に取引先のあった郡山市で創業した。異分野からの進出で「まず品質、そして顧客満足を考えた」(猿渡社長)だけに、営業でもまず顧客の悩みを解決するのが仕事だった。そこから生まれた技術が通信業界で困っていたウイスカー(猫のひげ状結晶)を発生させない「ゼロウイスカS」。メッキの表面に現れるウイスカーは、コンピューターの誤作動を誘発する。同社はメッキ層の不純物を少なくすることで内部応力を低くしてウイスカー発生を防いでいる。95年から量産を始め、00年には地方発明表彰中小企業庁長官奨励賞を受賞した。

「次はクロムだな」がきっかけ

この開発の検証で福島県ハイテクプラザから紹介を受け、支援してもらった青江徹博OEAガルバノ事務所長に「つぎはクロムだな」と問題を提起され、クロムゼロに取り組むことになった。亜鉛メッキでは、六価クロムを使ってクロメート処理を行っているが、RoHS指令で六価クロムが使用できなくなることが分かっていたため、業界の流れは三価クロムへの転換に動いていた。

しかし、三価クロムであっても、「排水の時にコバルトと反応してクロムがでる恐れがある」(猿渡社長)。このため使わないのがベストと考え、研究に着手した。同社が採用したのが特殊な有機酸で、はじめは白っぽい色だったが、研究を重ねて2年ほどで現行のクロメートに近い色調を実現した。

01年に電話交換機向け量産を始め、02年に特許を取得、04年には商標登録も済ませた。そしてゼロウイスカSに続き、ゼロクロムSでも06年10月の地方発明表彰中小企業庁長官奨励賞を受賞した。

一般にメッキは部品を吊るして行うが、ネジなどの小さな部品は容器に入れてメッキ(バレルメッキ)する。このためバレルメッキでもゼロクロムSで挑戦。06年秋から量産を始めた。

「ゼロクロムSとゼロウイスカSを広めるにはわが社だけでは無理。代理店を通じてライセンスを供与したい」(猿渡社長)と東京と大阪の代理店を中心に有害なクロムを一掃できるメッキ法を広める考えだ。そして今後も研究スタッフは4人と限られているが「研究開発の方向を間違えないように対応していく」(同氏)という。

現在の生産は1ライン対応なので、バレルメッキでは1日2トン、吊り下げでは月4,000万円の能力だが、余力はまだあり、亜鉛メッキは早くゼロウイスカS、ゼロクロムSに全量切り替えたいという。「クロムの問題は自動車業界も注目しているので07年が勝負の年になりそうだ」と猿渡社長は期待を寄せる。

大手の図面で指定進む

ウイスカーが発生しない上にクロム全廃という2つの特許がやっと生きてきた。大手通信機器メーカーから部品メーカーへの図面に初めからサンビックスのメッキを指示しているものが増えてきた。従業員が50人に満たない町工場が顧客満足と品質の保持を掲げ、研究に取り組んだ成果だ。もちろんRoHS指令が追い風になったことは事実だが、中小企業のチャレンジ精神が成功につながり、これから特許に守られながら事業でも報われることになりそうだ。


掲載日:2006年10月26日

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