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創業者・中小企業ベンダーのためのソフトウェア・ジャストインタイム


根本原因が何かを突きとめる

5. マネジメントの関与

Part1の冒頭に「混乱するプロジェクト」を示した。混乱する様々な要因は、プロジェクトレベルで検討されることが多い。実際は、開発者一人ひとりの知識やスキルレベル、プロジェクトレベル、そしてビジネスレベルまでの問題が混在している。

図2-6は、ソフトウェアビジネスの一般的な組織体系を示したものであるが、この図でいえば、Part1で記載したソフトウェアビジネスの下部組織であるプロジェクトで発生する混乱(たとえば、品質問題)がプロジェクトの問題としてのみ捉えられていて、組織全体の問題と受け止められることが少ない。

ソフトウェアビジネスの一般的な組織体系図2-6 ソフトウェアビジネスの一般的な組織体系

最近では、混乱する多数のプロジェクトを図中層のプログラムマネジメントレベルで検討されることも増えてきた。一般に、「プログラムマネジメントオフィス(PMO)」と呼ばれている機能である。

ここでは、プロジェクトに共通するトピックを扱うが、ソフトウェアビジネスを改革するほどに成功しているとはいえない。また、欧米では、ドメインエンジニアリングを実施する機能と個別アプリケーション(ソフトウェア製品)を開発する機能が分離していることも多い。

マネジメントの関与不足は、いろんな症状を引き起こす。その最初で最大の問題は、品質問題である。東京証券取引所の事例のようにシステムの品質が社会問題化することによって、組織の外部からシステム内部のソフトウェア品質が問われる。そのときには、もはやプロジェクトマネージャ1人の問題ではなく、事情に精通しないマネジメントが事態を掌握し報告しなければならなくなっている。

このようなケースが自社に起きないとは限らない。特に、自社が開発・提供するソフトウェアが、直接・間接、社会インフラ・人命に関わるソフトウェアであれば、ほんのわずかの欠陥でも事態が深刻であれば、社会的な責任を追及されることになるであろう。

また、組織内部の問題もある。最も大きな問題は構造的に利益が出ない組織体質の問題である。この主因は高コスト構造である。もし人件費を下げれば技術者はいなくなる。逆に、顧客が認める付加価値を説明することなく高い見積りを提示すれば、プロジェクトを受注することは困難である。

さらに、コスト削減の決め手である海外のITベンダーも、下請けからライバルにいつ転じてもおかしくはない。日本のソフトウェアビジネスに横たわる商慣習を学び、コスト競争力のある自国のリソースで開発に成功すれば、当然、ソフトウェアを必要とする我が国の需要家と直接の取引が雪崩現象のように始まることを覚悟しなければならない。つまり、自社の高コストを放置できないのである。

ソフトウェア需要が増大し提供能力が減少すれば、開発者の人件費も高騰するので問題ないとの楽観的な見方もあり得る。しかし、かつて米国でもこの現象が発生し、ソフトウェア開発が海外にシフトし国内の技術者が空洞化した。この現象が、我が国でも発生すればものづくりの強みそのものも空洞化しかねない。

どうすればよいか。まずは、このようなソフトウェアビジネスの特徴を理解することが必要であろう(Part4-2「勝つか負けるか 〜成長へのコミットメント〜」を参照)。

そして、以下に例示するようなソフトウェアビジネスで発生している課題を直視しながら、またソフトウェアビジネスの特徴を理解しながら、ビジネス成長シナリオを形成しなければならないのである。

  1. ソフトウェア需要は増大するが、その提供能力は減少する。
  2. 品質問題で爆発する可能性がある。
  3. 構造的高コスト問題がある。

これらの経営課題は、いうまでもなくソフトウェアビジネスを指揮統括するマネジメントの問題である。以下に例示するような課題に現実的な解決策を提示し、組織をリードしなければならないのである。

  • 高品質のソフトウェア供給を可能にする方法を明確にする。
  • ソフトウェア需要が増大しても、競争力を維持向上させるソフトウェア開発方法を明確にする。
  • 高コスト構造を吸収し、付加価値生産性に優れた技術者の確保・育成、そして組織改革のシナリオを明確にする。

ソフトウェア開発は、人の高い能力に依存する(これに対し、工数ベースのソフトウェアビジネスは人数に依存する)。人は最も貴重な経営資源である。貴重とされながらも、工数ベースのビジネスモデルを採用する結果、人の能力が活かし切れていない。我が国のように、人口減の国では致命的なモデルから早く脱却しなければならない。

図2-7は、景気の良し悪しによって人の採用がどう変わるかに基づいたひとつの考え方(ジレンマ)を表したものである。21世紀におけるソフトウェア(ビジネス)の重要性からみて、優秀な技術者の確保・育成は今後ますます重大な問題となるであろう。

景気と採用の関係に見るジレンマ図2-7 景気と採用の関係に見るジレンマ

ソフトウェア組織は、自社のソフトウェアビジネス戦略に即した人材育成・組織モデルと生産性向上のモデルを早期に形成し、その実現に取り組まなければならないであろう。さもなければ、ソフトウェアビジネスに勝ち残ることはできない。

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