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4. 利益を生み出す構造への改革と戦略
一方、ソフトウェアの需要はどうか。また、ソフトウェアビジネスはどのような方策で成長を達成しようとしているのであろうか。
図1-5のグラフは、ソフトウェアビジネスそのものではないが、ソフトウェアを必要とする主要な6つの市場規模を予測したものである(6つのそれぞれの市場を構成する商品群は表 1-1「主要な市場を構成する商品群」を参照)。このグラフで平成15年(2003年)と平成22年(2010年)の市場規模を比べると、それぞれの市場で違いがあるものの、全体として3.1倍の拡大を示している。
図1-5 主要なソフトウェア市場規模
表 1-1 主要な市場を構成する商品群もちろん、この数字はマクロ的なものであり、個々の組織の製品にそのまま当てはまるものではない。自社なりの市場予測が必要である。とはいえ、ミクロ的にも成長が期待されているといえる。
では、この市場拡大に必要なソフトウェアを開発する技術者を容易に追加できるであろうか。市場は、すでに出荷済みの(追加開発をせずにすむ)ソフトウェアの複製のみで満足することはない。すなわち、市場が拡大することは、新たなソフトウェアを必要とする。そして、追加の技術者も必要とするであろう。
他方、ソフトウェアが今後さらに大規模化・複雑化することによって、生産性は今よりもっと悪化することになるであろう。とすれば、市場の拡大に追随でき売上増が実現したとしても、それに見合った利益を確保することはおそらく現状よりもいっそう困難になるであろう。
ソフトウェアビジネスの特徴については、Part4-2.「勝つか負けるか 〜成長へのコミットメント〜」でやや詳述しているが、自社が業界で1〜2位でなければ、ソフトウェア開発は労苦の割に成果の少ないビジネスへと変貌することが予想される。
このような見通しにどうすれば打ち勝てるのであろうか。ここでの問題は、このような見通しに有効な手立てを検討し実践していない組織が極めて多い現状である。すなわち、ソフトウェアビジネスから利益を出す構造に変える改革・戦略が欠如しているのである。
なぜ、このような差し迫った事業環境の変貌に対し、抜本的な方策を立て実践しないのであろうか。ものづくりの組織では、ソフトウェアはハードウェアの付随物とみなされることが多く、この問題に気づいていないのであろうか。気づく必要はないのであろうか。あるいは、どうすれば気づくのであろうか。気づいているが、まだ時期早尚という判断なのか。また、どうすれば有効な手立てを生み出せるのであろうか。その手立てはどれくらいでグローバル競争力を示すのであろうか。
ソフトウェアビジネスの多くは、発生する人件費を吸収できればよいとする工数ベースで採算を考えることが多く、顧客や市場の評価に基づいた付加価値ベースになっていない。このため、人件費をカバーできればそれでよしとして、それ以上考えが及ばない、あるいはあえてリスクを拡げない習慣が根付いている。ここで成長がストップするのである。
Part3にソフトウェアビジネスを成長させる1つのシナリオを示した。自社(読者が関わるソフトウェアビジネス)が、その成長のシナリオのどこかで脱線していないか試していただきたい。もし途中で脱線しているようであれば、どうすれば成長のシナリオに復帰できるかを検討していただきたい。
Part1では図1-6のように3つの課題のみを取り上げた。
その範囲の結論は、以下の表1-2のようである。
| 今後、ソフトウェア需要は増大するか? | Yes |
|---|---|
| その増大を担うソフトウェア技術者を確保できるか? | No |
| 自社のソフトウェアビジネスは成長するか? | No |
図1-6 ソフトウェアビジネスの課題ソフトウェア技術者を潤沢に確保するには、もはや国内だけでは足りない。日本のソフトウェアビジネスを国際的に魅力あるものにし、海外技術者にもっと開放的にするか、国内技術者の育成を強化し大幅な生産性向上を達成しなければならない。あるいは、自動化を押し進め人の関与を減少させる等の新たな方策が必要であろう。どこに成算があるであろうか。マネジメントの経営判断が問われている。
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