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創業者・中小企業ベンダーのためのソフトウェア・ジャストインタイム


ソフトウェアビジネスの抱える問題

2. 品質を維持する仕組みを考え直す

コンピュータやパソコンには、ソフトウェア(プログラムとも呼んでいる)がぎっしり詰まっている。これらでなくても、車・家電製品・医療機器等々にはいろんな電子機器が搭載されていて、その中にもソフトウェアが詰まっている。今日、至るところに(ユビキタスに)ソフトウェアが散在しているのである。

これらのソフトウェアは、時々正常に動作しなくなる。あるいは、正常な結果を出せなくなる。これが、ソフトウェアの欠陥である。パソコンユーザは、時々(いや、頻繁に)パソコンソフトウェアが、果てはパソコン自体も動かなくなることを経験している。

この欠陥が、人命や企業の生命線や社会インフラに関わるソフトウェアで発生すれば、当然、生命やシステムの運用機能に被害が発生する。これが、ソフトウェアの品質問題である。便利なものが一転して被害の元凶に変身するのである。

このような欠陥は様々な原因から生じる。初歩的な誤りから要因が複雑にからむものまで実に様々である。しかし、その中でひときわ目立つ原因は、顧客や市場の要求を適確に取り込めないことから発生している(図1-2)。

しかし、ソフトウェアを内蔵する製品や、コンピュータを使用した情報システムへの期待は、今後ますます増大する。したがって、ソフトウェアへの要求は際限なく追加されるであろう。しかも、要求自体も多様化・複雑化するであろう。

欠陥の原因別分析図1-2 欠陥の原因別分析

要求を具体化した新たなソフトウェアも多様化・複雑化する。それにつれ、ソフトウェアの規模も大きくなる。規模が増えれば、ソフトウェアの開発作業、そしてソフトウェアのテスト量も連鎖的にいっそう増加する。

それだけではない。これまでのソフトウェア品質も維持することが難しくなるのである。この理由は、ソフトウェアを追加したり、一部でも変更すると、その追加・変更に関連した既存の(正常に動いている)ソフトウェア部分も含め、すべて再テストしなければならなくなり、そのテストケースが級数的に増加するからである。

こうして、多くのソフトウェアは、追加・変更による影響をすべてつかみ切れない、そして十分なテストを終えないまま出荷時期を迎えることになる。   

このような問題を抱えながら、ソフトウェア製品の多くは、今日も肥大化している。我々は、すでに数百万行に及ぶソフトウェア製品を携帯電話やカーナビ等でよく目にしている。これらも含め今後、さらに大規模化が進み、1,000万行をはるかに超えるソフトウェア製品も珍しくなくなるものと予想される。「超大規模化」である。その結果、この品質問題がさらに増幅し顕在化するおそれがある。

このような状況で、この先どうすれば高品質で信頼性の高いソフトウェアを提供できるのか、そしてビジネスを健全に発展させることができるのか、これがソフトウェアビジネスの抱える品質問題である。いや、問題はすでにもっと深刻な事態かもしれない。

たとえば、先日、東京証券取引所の株取引で注文を取り消すことができないトラブルが発生した。外部からは、取り消しのような基本的なことができないことに、「どうして?」という驚きで受け止められた。そして、高額な賠償請求する事態を引き起こした。この東証の事例は、ソフトウェアが当り前なことを見過ごしやすい、非常に危ういものであること、そしてその賠償も企業を消滅させかねない額であることを教えている。

では、どうしてこのような品質問題が発生するのか。その原因として、ハードウェアの厳しいものづくりに比べ、ソフトウェア開発は歴史も浅く、品質を充足させるソフトウェアエンジニアリングが成熟していないと説明されることが多い。

また、ソフトウェアの品質のベースとなる顧客や市場の要求をソフトウェア開発に導く方法、また開発中のソフトウェアに要求の追加・変更を正確に反映・制御する方法が未熟とされている(図1-2「欠陥の原因別分析」を参照。要求に関わる欠陥が最も多いことを示している)。その結果、開発の現場は、出荷直前まで常に混乱し、少しでも欠陥の少ない製品出荷に追われ疲弊している。

事態は、エンジニアリングの成熟を待ってくれるほど悠長ではないであろう。他方、すでに混乱があまりに広がりすぎている、そして対処するにも人もいない、スキルもない、必要な投資対効果も明確にできない、現状から脱却するにもマネジメントにリーダシップがない、等々、「八方ふさがり」の状態である。

誰もが、このような事態を重苦しく、危いと感じ、抜け出せないことに苛立ちを味わっている。これは、何が原因であろうか、どうすれば抜け出せるのか、ビジネスチャンスなのか、それとも逆に早期に廃業すべきか、という問いでもある。

世界的に優れているとされる我が国の製品にも、すでに大量のソフトウェアが搭載されている。しかも、今後、東証のような社会インフラや、医療機器・運輸機器・人と接するロボットのような人命に直結するものにも大量に使用されるようになる。しかも、ネットワークを介して連携するようなソフトウェアが大量に出回るであろう。事態は想像以上に深刻である。信頼できる高品質のソフトウェアを安定して供給する仕組みが不可欠である。

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