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ものづくりの森


技術の森

自然界並みの効率を発揮する人工光合成システム

植物による光合成は、根から吸い上げた水を太陽光で電子と水素イオンに分解して酸素を放出する「明反応」と、空気中の二酸化炭素を(明反応で生じた電子、水素イオンを用いて)有機物に換える「暗反応」の2つのプロセスからなる。
 この自然界で行われる光合成を半導体を用いて再現し、植物並みの高い効率で二酸化炭素を有機物に変換したのがパナソニック先端技術研究所の「人工光合成システム」だ。

システム構成はいたってシンプル

2012年に発表した人工光合成システムは以下の図のように、明反応の働きをする左側の容器と暗反応の働きをする右側の容器からなる。左側の容器には水と窒化ガリウム電極、右側の容器には二酸化炭素を混合した水と金属触媒が設置される。窒化ガリウム電極には、LEDなどに用いられる窒化物半導体であり、金属触媒にはインジウム系触媒が用いられる。

反応概要図

反応概要図

このシステムによる人工光合成のプロセスは以下のようだ。
 まず、左の容器の水に太陽光と同じ成分の紫外線を照射すると、紫外線と窒化ガリウムの反応によって水(H2O)が水素イオン(H+)と電子(e-)および酸素(O)に分解される。
 2H2O→O2+4H+(水素イオン)+4e-

次に、水素イオンはフィルターを通って右側の容器へ移り、電子も導線を伝って右側の容器へと移る。そして金属触媒を介してこの水素イオンと電子を二酸化炭素に反応させる(還元反応)ことで二酸化炭素をギ酸(防腐剤や抗菌剤あるいは香料や染料の化学原料として利用されるカルボン酸)に換える。
 CO2+2H++2e-→HCOOH

二酸化炭素の還元反応を可視化した装置(以下の写真)を見ると一目瞭然だが、右側の容器の二酸化炭素(判別しやすいように二酸化炭素を黄色く着色した水)が還元されて黄色から透明に変化している。

高効率化のポイントは無機系の触媒

これまで日本の研究機関で研究されてきた人工光合成では主に有機触媒が用いられたが、有機触媒では電気抵抗などが原因でどうしても電子をスムーズに移動させることが困難だった。それが何を意味するのかというと、電子の移動がスムーズでないということは、強い太陽光が当たった時に暗反応における二酸化炭素の分解効率を高くできないことにつながるのである。つまり、太陽エネルギーを多量に投入する割には二酸化炭素の分解が低いということだ。実際、これまでの人工光合成の研究では、投入した太陽エネルギーに対する有機物の生成率(太陽エネルギー変換効率=生成物のエネルギー/太陽エネルギー)が0.002%(文献からの推定値)と、自然界(バイオマス)の変換効率(0.2%)に比べて著しく低かった。

ところが、パナソニック先端技術研究所の人工光合成システムでは変換効率を0.2%とバイオマス変換効率並みの効率を達成できた。そのポイントとなったのが、すべての触媒に無機系材料を用いたことだ。

まず、窒化ガリウム電極だが、2.4μmの窒化ガリウムの層の上にアルミニウムをドープした窒化ガリウム層(100nm)、さらにその上(表面)に助触媒として酸化ニッケルが積層されている。これにより、暗反応で必要な電子のエネルギーを二酸化炭素の還元反応(有機物の生成)に必要なエネルギーレベルに電子を高められる。
 従来も酸化チタンを用いて人工光合成が研究されていたが、電子のエネルギーレベルが二酸化炭素を還元させるためには約0.6eV足りなかった。そのエネルギー不足を窒化ガリウムで解決したのだ。

還元反応を促す金属触媒にはインジウム系の触媒を用いる。金属触媒は従来の有機触媒に比べて反応速度を高められ、照射する光を強くするとそれに比例して有機物の生成量を増加させられる。また、暗反応に用いる金属触媒を銅に替えることでエチルアルコールを生成できる。
 「半導体の技術やエレクトロニクス技術の知見があるからこそ開発できたシステムといえます」(四橋聡史主幹研究員)

2015年度にはアルコールへの変換でバイオマス並みを実現

今回、パナソニック先端技術研究所が開発した人工光合成システムでは、ギ酸の生成における太陽エネルギー変換効率が0.2%とバイオマス変換効率並みを達成できた。それにより10トンの二酸化炭素で9000リットルのギ酸を生成する。
 今年は実際の太陽光を用いて試験し、メタン、エチレンの生成に成功した。ギ酸に比べてメタンやエチレンの太陽エネルギー変換効率は0.004%(アルコール)とまだ低いが、小数点1桁レベルまで引き上げるべく研究を続け、2015年度には目標を達成したいと研究グループは意気込む。

データ

会社名 パナソニック株式会社
所在地 大阪府門真市大字門真1006番地
電話 06-6908-1121(大代表)

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