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ものづくりの森


技術の森

ひび割れを自ら治す(自己修復)コンクリート

コンクリートの壁や柱にできたひび割れから入る水などが内部の鋼材を腐食させ、建物や橋梁など構造物の早期劣化をもたらす。そのためこのひび割れをどう治すかが重要な課題になっていたが、東京大学生産技術研究所の岸利治教授は造粒化(準カプセル化)技術での解決を目指している。

ひび割れを自己修復するコンクリートの修復経過

ひび割れを自己修復するコンクリートの修復経過

コンクリート自体が亀裂を修復する

その技術は「ひび割れ自己治癒(自己修復)コンクリート技術」という。コンクリートに亀裂などが生じても、それをわざわざ人為的に修復しなくても、コンクリート自体が自己修復してしまうという技術だ。
 岸教授はこの研究に1990年代後半から取り組み始めた。最初の研究(第1世代)は、水とセメントの比率(水セメント比)を低く抑えてセメントの未反応部分を多くし、膨張材を大量に使用してひび割れを自己閉合する方法だった。
 次いで第2世代の研究では、ひび割れ部分に生成物を析出させる自己閉塞へと発想を転換。ひび割れの中に炭酸カルシウムを析出させる方法。これはJR東日本などと共同研究を進めた。

さらに第3世代の研究では、膨張材、膨潤材、化学的安定化剤を使用する方法を試みた。これは、東京大学生産技術研究所の安台浩特任准教授の提案による技術だ。膨張材は第1世代の研究で用いたのと同じだが、それに複数の粘土鉱物をブレンドした膨潤材と、ひび割れ中に析出する生成物の安定性を高めるための化学薬剤を組み合わせる。
 この方法だと確かに効果は高い。が、この方法には重大な難点もある。自己治癒効果を高めるため大量に入れる膨潤材が練り混ぜ水を吸い込んでしまうため、コンクリート自体のフレッシュ性状に影響が出てしまうのだ。そのため現在では、自己治癒よりもむしろコンクリート補修の分野への展開が安台浩氏を中心に進められている。

研究で決定的な活路を見出した

自己治癒に関しては、岸教授が第4世代以降の研究で決定的な活路を見出す。2009年から造粒化の研究に着手し、ようやく2013年にそれを実用化させるメドをつけた。第5、第6世代の研究も同時並行で進めている。岸教授はこう説明する。
 「カプセル化は元来、自己治癒の常套手段として考えられてきました。液体の補修剤をカプセルの中に入れ、ひび割れが入るとカプセルが割れて補修剤が出てくるというやり方です。それなりに有効ではあるのですが、カプセル化技術そのものがコスト高で、建設材料としてそれを大量に使うには不向きです。そこで私どもは準カプセル、すなわちカプセル化に似た造粒化技術を改良して低コストで高い効果をもたらす技術の開発を進めたわけです」
 第3世代の研究はセメントの一定量を粉末の膨張材、膨潤材、化学的安定化剤におきかえる方法だったが、第4世代では砂と同じような粒度分布の造粒物をつくり、その造粒物をセメントではなく砂とおきかえる方法をとる。この方法だと、砂とのおきかえなので、使用するセメントの量的制約を伴わないですむ。

続く第5世代は、骨材表面に自己治癒材料をコーティングするという方法だ。骨材際がはがれてそれがひび割れの原因になるケースが多いため、自己治癒材料と硬化促進剤を選択的に骨材周りに配置することによってひび割れを治す方法で、それを生コンの製造工程で行う。この方法は骨材担持型と称している。

低コスト化のポイント

第4世代の方法である造粒化は、砂状の造粒物をあらかじめつくり置きし、それをコンクリートに混ぜ込むやり方だった。ところが、この方法だと別工場で造粒物をつくり、コンクリートに混ぜ込む現場にそれを運搬する必要があり、そのぶん手間とコストがかかる。
 そこで第6世代の研究では、別工場で造粒物をつくる工程を省き、生コン製造の一連工程の中でそれをやってしまう方法を考案、それによって低コスト化を図った。

この具体的な技術内容は現段階では未公表であり、岸教授は「化学的なカプセル化ではなく、物理的な加工方法によって準カプセル化を実現している」と述べるに止めている。

データ

機関名 東京大学生産技術研究所 岸研究室(岸利治教授)
所在地 東京都目黒区駒場4-6-1

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