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ものづくりの森


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ナノファイバーの不織布を大量生産する

ナノファイバーの不織布を大量生産する
小松茂彦社長

小松茂彦社長

高知県の合成繊維紙メーカーの廣瀬製紙は、アルカリ乾電池(単3・単4)用セパレーター(絶縁紙)で国内シェア5割を誇る。同社は創業時の1958年にビニロン100%の湿式不織布の開発に成功。その優れた性質(耐摩耗性、耐アルカリ性、耐熱性など)からアルカリ乾電池のセパレーターに採用され、いまでは高い国内シェアとともに複数の国内大手電機機器メーカーには100%の納入率を持つ。

ただ、2次電池(充電式電池)が開発されるとアルカリ乾電池などの1次電池(使い捨て電池)はコスト競争にさらされるようになり、現在では中国を中心に2割程度も部品価格が下がっている。そのため、同社ではアルカリ乾電池のセパレーターの生産を続けても厳しい競争を余儀なくされるという危機感から、2次電池用のセパレーターづくりへと軸足を移した。そのために開発したのが新しいエレクトロスピニング法(電解紡糸法)である。

2次電池用セパレーターには、0.5-1μmという微小径の気孔を持つ材料が求められる。従来の湿式不織布の製法は、繊維とパルプもしくは接着繊維を原料にして、紙を抄くのと同じ方法で布にする。この製法で微小径な気孔を持つ不織布にするためには、もっと繊維を細くしなければならないが、「ビニロン系繊維自体をいま以上に細かくするのは限界」(小松茂彦社長)だった。

そこで微小径な気孔を持つ不織布をつくるため、ナノレベルの超微細な繊維(ナノファイバー)を生成し、それを不織布に吹きつける方法(エレクトロスピニング法)を応用した。本来、エレクトロスピニング法はナノファイバーの大量生産には向かない方法だが、同社では製法の工夫によって、大量生産を可能にする新しいエレクトロスピニング法を開発した。

既存の原理を応用して新しい製法を開発

ナノファイバー不織布の製造風景

エレクトロスピニング法とは、ナノファイバーを紡糸する製法の1つで、繊維の原料である高分子の溶液をノズル(紡糸口)から高速で吐出してナノファイバーを生成する。その際、ノズルには数から数十kVの電圧がかけられるため(陽極)、吐出された高分子溶液は電荷を帯びる。また、高分子溶液を吐出する先の捕集部にも高電圧がかけられていることから(陰極)、高速で吐出された高分子溶液は溶媒が蒸発して細かな繊維(サブミクロンからナノメートル)となって捕集部に付着する。こうしてナノファイバーが得られる。

ただし、エレクトロスピニング法でナノファイバーを大量生産しようとするとノズルが「10万-20万本程度必要」(上田圭司取締役)となる。また、ノズルが根詰まりを起こせば生産ラインが止まってしまったり、メンテナンスが必要になるなど、大量生産するには不安定さが課題となっていた。また、大量のノズルを必要とするなどコストを低く抑えるのも難しい。

そこで同社では、紡糸の原理はエレクトロスピニング法を用いながら、大量生産の障害となるノズルを使わない新しいエレクトロスピニング法(ナノファイバー不織布製法)を開発した。その製法は、ポリマー溶液を入れた容器に50kVの電圧をかけ、捕集部となる基材(従来の不織布)にも同様の電圧をかける。この基材をポリマー溶液上を通過させることで、基材にまんべんなくナノファイバーを吹き付けてナノファイバー不織布を製造する。

ナノファイバーの電子顕微鏡写真(太い繊維が基材の不織布、細い繊維がナノファイバー)独自製法でナノファイバー不織布を大量生産できる

紡糸部は、ノズルではなくマルチユニット化した装置に置き換えた。これは企業秘密のため明らかにできないが、ユニット化したことで紡糸量の不均一性が緩和でき、低コストで大量にナノファイバー不織布をつくれる。

ナノファイバー不織布の超微細繊維は約200nmと従来の1/10の細さ。基材の不織布はベルトコンベヤーで溶液上を通過するので大量に生成でき、「(根詰まりの心配がないため)月産1万m2が可能となる。また、製造コストも従来法の3分の1程度に削減できる」と、2次加工を手がける廣瀬製紙の関連会社ヒロセテクノの石川秀樹社長は語る。ナノファイバーと不織布とを複合化することで、海水を淡水化するための濾過フィルターや医療用機器、2次電池用セパレーターなどへの適用が期待されている。

データ

会社名 廣瀬製紙株式会社
所在地 高知県土佐市高岡町丙529
電話 088-852-2161

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