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ものづくりの森


技能の森

ダイヤのように表面をカットした真珠

ダイヤのように表面をカットした真珠
小松一仁社長

小松一仁社長

山梨県甲府市は、かつて水晶の採掘地だったことから宝飾産業が栄えてきた。なかでも宝石研磨の高い技術は、地域の産業を支えてきた。ところが、近年、コストの低い中国や東南アジアなど海外工場への流出が顕著になってきた。

市内に工場を構える小松ダイヤモンド工業所はこうした動きを踏まえ、高い技術を活かした新しい製品がつくれないか思いを巡らした。そして、真珠にカットを施すことを思い付く。

従来、真珠は天然の丸い形として認識されてきたが、前社長の小松一男氏は「これまで誰も手掛けていないことをやってみよう」と真珠のカットに乗り出した。

機械の改良で品質向上

ダイヤモンドのように表面をカットした「華真珠」。従来の真珠とは異なる輝き、魅力を放つ

ダイヤモンドのように表面をカットした「華真珠」。従来の真珠とは異なる輝き、魅力を放つ

同社はこれまで、ダイヤモンド研磨技術の向上に力を注いできた。工場で使用する機械は前社長により独自に手を加えられ、研磨しやすく、カットの精度を高められるよう工夫されている。機械の改良点に関しては企業秘密だが、いずれも簡単な仕組みを取り入れたものばかりだ。

カットさえしてあれば売れるというダイヤモンド需要の高かった時代には、取引先から、「こんなに高品質にする必要はない」と言われるほど、他の工場に比べて技術が突出していたという。  このようにダイヤモンド研磨技術には自信があったが、真珠のカットは一筋縄ではいかなかった。真珠はほかの宝石に比べて軟らかく、表面の真珠層が薄いため、中の核が透けないように削るのは至難の業だった。大きさ、形、真珠層の厚さなど、1つひとつ異なる性質を活かしながら加工するには高度な技術が必要だった。製品を完成させるまでに10年以上を要した。

でき上がったカット真珠は、開発者の前社長の想像をはるかに超えるものだった。というのも、カットした平らの面が、丸く膨らんで見えるのだ。カットした真珠は平らな面の連続なのに、サッカーボールのように丸みを帯びて見える。真珠特有の奥行きのある光沢によって、カットした面ごとに真珠層が丸く膨らんで見えるために起こる現象だ。さらにカットにより真珠層の表面が透き通って見え、表面にクリスタルのような透明感が生まれた。まるでガラスをコーティングしたように見えた。

予想を超える美しさに、前社長は驚きを隠せなかったという。アコヤ、白蝶、黒蝶、淡水などさまざまな種類の真珠に加工を施し、華やかな真珠という意味で「華真珠」と名付けた。

足かせになった日本の常識

華真珠の開発によって、フォーマルの枠を超えた新しい真珠の楽しみ方が誕生した

華真珠の開発によって、フォーマルの枠を超えた新しい真珠の楽しみ方が誕生した

できあがった製品に満足していたものの、なかなか認知が広がらなかった。いくつかの賞も受賞したが、世間からは奇抜なものとして扱われ、なかなか受け入れられなかったという。

「保守的な日本市場では、真珠は丸いものという常識が根強く残っていた。それをうち破るのはとても難しかった」と小松一仁社長。

こうした常識を打ち破るきっかけになったのが、海外からの引き合いだった。偶然来日していたアメリカ人の業者に「華真珠」を見せたところ、すぐにアメリカでの販売が決まった。海外では、この珍しい真珠が稀少なものと評価されたのだ。大玉の真珠を加工し、高級品として富裕層を中心に人気を集めた。

海外で認められると、日本国内でも徐々に認知が広がった。「これまで真珠はフォーマルなイメージが強かったが、カジュアルに身に付けたり、個性を出したり、真珠の新たな魅力を楽しんでもらいたい」と小松社長。

華真珠によって真珠の可能性は広がり、ダイヤモンドで培った同社の研磨技術も、さらに向上した。今後も、伝統と技術に培われた宝飾産業の活性化に取り組みたいという。

データ

会社名 有限会社 小松ダイヤモンド工業所
所在地 山梨県甲府市宝1-11-20
電話 055-224-2518

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