本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > 飲食品でヒット商品をつくる

飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された」
「パパン」―売り場提案が“宝物”を掘り起こした
 スパイス売り場に眠っていた“宝物”があった。掘り起こしたのは当時、ハウス食品の名古屋支社にいた営業マン。「お客さまにシナモンシュガーの使い方をしっかり提案できているだろうか」と考えた同営業マンは、ある売り場提案を食品スーパーに行った。すると、予想をはるかに超える結果が出た。

スパイス売り場に眠っていた“宝物”があった。それを誰も宝物だとは思っていなかったため、スパイスの棚に埋もれたままになっていた。2010年ころ、名古屋支社の営業マン(当時)によって宝物は掘り起こされた。宝の正体は、グラニュー糖にシナモンパウダーを混ぜたシナモンシュガー。ヨーグルトやコーヒーに入れたり、ドーナッツの生地に混ぜたりする一般的なスパイスで、食品メーカー各社から発売されていた。営業マンが掘り起こすために行った施策が「売り場提案」。同スパイスをパン売り場に陳列させた。すると、予想をはるかに超える結果が出た。

15倍の売り上げを記録

販促方法などの情報を共有できるシステムを使い横展開すると、実施店舗のほとんどで売り上げが伸びた

販促方法などの情報を共有できるシステムを使い横展開すると、実施店舗のほとんどで売り上げが伸びた

食品メーカー各社から発売されていたシナモンシュガーは、その使用形態などから当然のようにスパイス売り場に陳列されていた。スパイスなどの調味料は商品性格上、同素材を使って料理する人は手に取るが、目的なく足を運ぶ売り場ではない。また「ひと瓶まるごと使うような調味料ではなく、どうしても使い残すことになりがち」(ハウス食品)で、使用頻度を高めることが難しい商材の一つとなっていた。

扱いが難しい商材ではあるが、シナモンシュガーの使い方はヨーグルトやコーヒーに入れるだけや、トーストにふりかけて使う方法など、さまざまな用法がある。「同素材の使い方をお客さまにしっかりと提案できているのだろうか」と考えた営業マンが名古屋にいた。

この営業マンは、名古屋にある取引先の食品スーパーにシナモンシュガーをパン売り場に陳列する提案を試験的に行った。小さな什器(じゅうき)に商品を並べ、販促物となる手づくりのPOPを添えた簡易的なものだったという。陳列から一週間後、売り上げを確認すると、驚くような数字があらわれた。「パン売り場に並べる前の一週間の売り上げと並べた後を比較すると、15倍に伸びていた」(同社)。宝物を見つけた瞬間だった。

ハウス食品には販促方法や期間、展開した商品などをウェブ上で登録して全社で情報共有できるシステムがある。「名古屋での事例を目にしたスパイスの企画担当者が『おもしろい』と、他の支店でも同様の取り組みを行うように指示を出した。すると、実践した店のほとんどで売り上げが伸びた」(同社)という。

スパイスの使用頻度を高めたい

シナモンシュガーをパン売り場に陳列したことで売り上げを伸ばした時期と並行して、スパイスの担当者はどうしたらスパイスの使用頻度を高めることができるかを考えていた。

2012年2月に発売された「スパイスブレンドシュガー」。トーストのイラストを配置して使い方を想起させた

2012年2月に発売された「スパイスブレンドシュガー」。トーストのイラストを配置して使い方を想起させた

市場を調べると、スパイスが一番使われるのは夕食、次いで昼食であることが分かり、朝食ではあまり使われていないことが判明した。「朝食にスパイスを使ってもらえれば、使用頻度は上がる。他方でパンにスパイスを使い売り上げを伸ばしている事例があった。この二つが合わさり、朝食時にスパイスをパンにふりかけて使う商品の開発を目指した」(ハウス食品)。

2011年から新商品の開発がスタートした。想定した利用シーンは家族が揃う朝食。子どもも食べることを考え、アレルギー物質必須7品目と推奨品目の合計25品目を取り除いたアレルギーフリーにした。

2012年8月に使用方法をより訴求できるように商品名を「トーストシーズニング」に変更

2012年8月に使用方法をより訴求できるように商品名を「トーストシーズニング」に変更

また、例えば「カカオシュガー」にはココアパウダーをベースに、ナツメグやクローブといったスパイスをブレンドしている。スパイスによる風味付けでスッキリとした甘さを狙った。「それぞれのアイテムにどのスパイスを配合すれば相性がいいか、どの程度の比率だとトーストを焼いた時に一番味が引き立つか、どのくらいの量をふりかければバターとのなじみが良いかなど、試食をしては作り直す作業を山のように繰り返した」(同)。焼いたトーストの枚数は100枚、200枚単位で増えていったという。

2012年2月、トーストにふりかけるシーズニングは「シナモンシュガー」フレーバーのほかに「キャラメルシナモンシュガー」や「バニラシュガー」などを追加し、全5種類の「スパイスブレンドシュガー」ブランドとして発売された。パッケージデザインには、トーストのイラストを配置して使い方を想起させるようにした。

また、同年8月には「アップルジンジャーシュガー」と「アーモンドシュガー」、「ガーリックトーストミックス」の3種類を加え、より使用方法を訴求できるように商品名を「トーストシーズニング」に変更して発売した。

ヒットの舞台裏には…

「スパイスブレンドシュガー」開発に着手すると、環境整備のために既存商品をパン売り場で展開させる取り組みを徹底させた

「スパイスブレンドシュガー」開発に着手すると、環境整備のために既存商品をパン売り場で展開させる取り組みを徹底させた

2012年2月発売当時のブランド売り上げ目標は「12年2月-13年1月までの1年間で1億円(出荷ベース)だった。だが、ふたを開けてみると7億円」(ハウス食品)となり、予想をはるかに上回る結果となった。消費者のニーズをとらえた商品開発だったことは当然だが、ヒットの裏にあったのはそれだけではない。

ハウス食品は11年にスパイスブレンドシュガーの開発に着手すると、同時に既存商品のシナモンシュガーをパン売り場で展開させる取り組みを徹底させていた。新商品の発売までの約1年間、この取り組みを継続させたことで「スパイスブレンドシュガーを発売する前には、かなりの食品スーパーでパン売り場に陳列させてもらえるようになっていた」(同社)。

パン売り場にシナモンシュガーがあって当たり前の環境を事前に整備できていたからこそ、新商品を投入する時もスムーズな展開が可能になった。年間目標の7倍という数字を叩き出した背景には、戦略的で地道な取り組みがあった。

ブランドの魅力を追求

順調に売り上げを伸ばしていた「トーストシーズニング」だったが、消費者の声を聞くと「あの『キャラメルシナモン』っていう商品、おいしい」や「『カカオシュガー』は手軽で便利」と、ブランド名ではなくフレーバー名をあげる人が多かったという。

ブランドの認知度を上げるために、2013年2月に商品名を「パパン」に変更。「瓶をまとめて並べるとかわいい」との声も寄せられ、一度に複数本購入するケースが多い

ブランドの認知度を上げるために、2013年2月に商品名を「パパン」に変更。「瓶をまとめて並べるとかわいい」との声も寄せられ、一度に複数本購入するケースが多い

ブランドの認知度を上げるためにハウス食品は、2013年2月に商品名を「パパン」に変更。「トーストにふりかけて使う使用方法をイメージしてもらいながらも、楽しさやかわいらしさ」(ハウス食品)を表現した。

商品開発のきっかけとなった「使い方提案」をより深耕していくハウス食品(写真はハウス食品グループ本社東京本社)

商品開発のきっかけとなった「使い方提案」をより深耕していくハウス食品(写真はハウス食品グループ本社東京本社)

また、商品名の変更にあわせてフレーバーに「ストロベリーシュガー」を追加。13年6月には「カレートーストミックス」を、同年8月には「コーンスープ味」を投入し、ラインアップを拡充させた。現在では11種類のブランドになっている。「食パン以外にもさまざまな使い方を提案し、次の味を試してもらう楽しさを感じられるように種類を揃えている」(同社)と狙いを語る。実際に、一度に異なるフレーバーを複数本購入するケースが多いという。「『瓶をまとめて並べるとかわいい』という声をいただくことがある」(同社)と、手ごたえを感じている。
 現在では「トーストにふりかける利用方法は浸透してきた」(同社)ことから、今後はパパンを開発するきっかけとなった「使い方提案」をウェブ上のブランドサイトなどを通じて積極的に展開していく。また「楽しさ」や「かわらいらしさ」といったパパンブランドが持つ魅力の強化を図っていく方針だ。

企業データ
会社名:ハウス食品株式会社
代表取締役社長:工東正彦
所在地:東京都千代田区紀尾井町6-3
掲載日:2013年11月 6日


このページの先頭へ