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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された」
「ワンダ モーニングショット」―缶コーヒーの“本質”を探れ!
缶コーヒーって何だろう―?アサヒ飲料は、新しい価値を創造するため原点に帰って考え直した。缶コーヒーの本質をテーマに議論を重ねていくと「目覚めの一杯」や「始業前の気合い入れ」など、朝の時間に関連したキーワードが浮かんできた。不安もあったが、アサヒ飲料は「朝専用缶コーヒー」の開発に舵を切った。

缶コーヒーって何だろう―?2002年10月に発売された「ワンダ モーニングショット」の開発は、こんな素朴な疑問からスタートした。他社から続々と新商品が登場し競争環境が激化する中で、味わいの提案だけで勝負するのは難しい。単なる既存商品のリニューアルではなく、新しい価値を創造するために、アサヒ飲料は原点に帰った。何のために飲むのか、どのような時に飲むのかなど缶コーヒーの“本質”を探った。すると、議論を重ねていくうちに「朝の時間」というキーワードが浮き上がった。

成長し続けなければいけない宿命

1997年に発売された「ワンダフルブレンド」。ワンダブランドの歴史はここから始まった

1997年に発売された「ワンダフルブレンド」。ワンダブランドの歴史はここから始まった

アサヒ飲料は、1997年に「ワンダ」ブランドを立ち上げ「ワンダフルブレンド」や「カフェオレプレミアムテイスト」などを発売していた。
 当時のTVCMでは、1997年のマスターズ・トーナメントで最年少優勝を果たしたプロゴルファーのタイガー・ウッズを起用し話題を呼んだ。だが、「缶コーヒー市場は大きく拡大することなく、横ばいの状況が続いていた」(マーケティング部コーヒーチームの本岡智裕チームリーダー)という。
 市場の成熟化に加え、1999年にはキリンビバレッジが「ファイア」を、2000年にはJTが「ルーツ」ブランドを発売するなど、ワンダブランドを取り巻く環境は厳しさを増していった。当時のトップブランドは日本コカ・コーラの「ジョージア」、2位はサントリー食品インターナショナルの「ボス」、ワンダは5位のポジションに甘んじていた。「缶コーヒー市場は清涼飲料市場の約2割を占める大きなマーケット。メーカーとしても、シェアアップをしていきたい大切なカテゴリー」(同)。次の一手が必要だった。


よぎる不安

2001年当時の缶コーヒーは、味や情緒をメーンに訴求している商品が多かったという。「お客様のニーズが多様化する中で、今までと同じような提案だけでは缶コーヒー市場での地位確立は難しい」(本岡智裕チームリーダー)との判断の下、アサヒ飲料は新商品開発に際し、缶コーヒーが提供できる新しい価値とは何かを徹底的に掘り下げた。

飲用時間帯を朝に限定することに不安もあった

飲用時間帯を朝に限定することに不安もあった

「缶コーヒーって何だろう」ということをテーマに議論をしていくと「リラックス」や「休憩時」などの言葉が出てくる一方で、「目を覚ます」や「始業前の気合い入れ」などの朝の時間に関連したキーワードが浮かんできた。
 缶コーヒー市場を調べると、午前中に缶コーヒーを飲用するボリュームが全体の約4割以上を占めることが分かった。市場を見渡すと、朝という“時間”に着目した商品はない。また、発売前に調査をすると朝に飲む缶コーヒーについて「買ってみたい」、「面白そう」との声が多く好感触を得た。コンセプトは業界初となる「朝専用」の缶コーヒーに決まった。
 もっとも、不安がないわけではなかった。朝の時間に缶コーヒーを飲む割合が多いとはいっても、飲用シーンには昼食後や夕方のブレイクタイム、終業後の一息入れる時間など多様にある。飲用時間帯を限定することは、他の時間帯では飲用されないのではないかとの思いがあったからだ。だが「清涼飲料の中で大きな構成比を占める缶コーヒーカテゴリーのうちの朝の時間帯でナンバーワン商品になることができれば販売量は大きい」(同)との理由から決断した。

ときどき飲まれる商品ではダメだ!

2002年発売当時の「モーニングショット」。毎朝飲んで仕事などをスタートしてもらいたいという思いが込められている

2002年発売当時の「モーニングショット」。毎朝飲んで仕事などをスタートしてもらいたいという思いが込められている

朝専用の缶コーヒーに一番適した味とは何か―。開発チームをもう一つの難題が待ち受けていた。
 通常、朝に飲むコーヒーといえば、目を覚ますためにブラック系の苦い味わいを連想することも多い。だが、開発チームはこの常道を行かなかった。「特徴を出すために、苦くすることや甘くすることはできる。しかし、お客様が缶コーヒーに求める味わいでないとニッチな商品になり、ときどきしか飲まない商品になってしまう。毎朝飲んで仕事などをスタートしてもらいたいという思いがモーニングショットには込められている。そのためには、しっかりしたコーヒーの味わいがしながらも、すっきり飲みやすいバランスが必要だった」(本岡智裕チームリーダー)と強調する。
 使用するコーヒー豆には、香りとコクのあるアラビカ種のコーヒー豆を100%使用。焙煎や抽出方法なども朝専用缶コーヒー向けに独自に開発した。求めるバランスを追求するため、完成までに試作したコーヒーは何百種類に及んだ。ネーミングは朝専用の商品コンセプトをダイレクトに訴求するため「モーニング」を使用。また、朝に飲んで気分をキリッと変える一杯をショット感覚で楽しむことを表現するために「モーニングショット」に決まった。
 2002年10月、「朝専用」という時間軸をコンセプトとしたモーニングショットは満を持して発売された。

消費者の心をつかむ

サンプリングには、荻田伍アサヒ飲料社長(現アサヒグループホールディングス会長)も参加した

サンプリングには、荻田伍アサヒ飲料社長(現アサヒグループホールディングス会長)も参加した

アサヒ飲料は「朝専用」缶コーヒーの認知度を高めるため、発売日の2002年10月2日から「グッドモーニング作戦」を展開。駅前やタクシー会社、ガソリンスタンドなど、缶コーヒーユーザーが集まる場所でのサンプリングを全国約1000カ所で行った。
 朝専用という新しい切り口や味わいが話題になり「お客様が抱く朝に飲む缶コーヒーのイメージにうまく符合し、売り上げは発売から1週間で100万ケースを突破した」(本岡智裕チームリーダー)。3カ月後には約500万ケース、1年後の2003年9月には約1,500万ケースに伸長した。
 2003年12月期のワンダブランド全体での売り上げは約2,517万ケースとなり、糖類を抑えた微糖缶コーヒーの「金の微糖」や業界初の糖類ゼロ缶コーヒー「ゼロマックス」を発売した2008年12月期には、約3,587万ケースまで伸びた。

価値をつくることが仕事

順調に売り上げを伸ばしているワンダブランドではあるが、若年層の缶コーヒー離れが近年進んでいることを注視している。同世代は後にヘビーユーザーになるからだ。ワンダに目を向けてもらうために、アサヒ飲料は2011年から国民的アイドルグループ「AKB48」をTVCMタレントに起用する取り組みを行っている。

「魅力ある価値をお客様に提案していく」と、意気込みを語るマーケティング部コーヒーチームの本岡智裕チームリーダー

「魅力ある価値をお客様に提案していく」と、意気込みを語るマーケティング部コーヒーチームの本岡智裕チームリーダー

人気グループの起用は広告宣伝方法の王道のようにも思えるが「通常、缶コーヒーのTVCMにはユーザーの男性を用いることが多い。もしワンダがナンバーワンのブランドだったら保守的になっていたかもしれない。だが、モーニングショットの発売自体が挑戦だった。挑戦者ということを忘れないできたからこそ」(本岡智裕チームリーダー)と胸を張る。2012年12月期のワンダブランドの売り上げは約4,048万ケース。アサヒ飲料として初めて1ブランドで4,000万ケースを突破した。
 2002年以前は缶コーヒーブランドで5位にいたワンダだったが、今ではジョージア、ボスに次ぐ3位のポジションを獲得するまでになった。
 「私たちの仕事は商品をつくることではなく、価値をつくること。価値を具現化したものが商品であり、これからも魅力ある価値をお客様に提案しなければならない」と、本岡智裕チームリーダーは新商品を開発する上での勘所を説く。新しい価値の提案は「朝専用」という業界になかった切り口によって実現された。

企業データ
アサヒ飲料株式会社
代表取締役社長:本山和夫
所在地:東京都墨田区吾妻橋1-23-1
掲載日:2013年10月16日


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