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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された」
「ジョア」―“第2のヤクルト”をつくろう
 1968年に国民総生産(GNP)が当時の西ドイツを抜き世界第2位になった日本。食品は“量から質”の時代に転換していった。1935年に腸内環境を改善する作用がある乳酸菌シロタ株が含まれる乳酸菌飲料「ヤクルト」を発売したヤクルト本社。「ヤクルト」だけではやがて時代の変化に対応できなくなる可能性があった。

1965年から始まった「いざなぎ景気」を背景に、68年には国民総生産(GNP)が当時の西ドイツを抜き世界第2位になった日本。戦後の食糧事情も改善し“量から質へ”の時代に転換していった。このような社会的背景の中で、世界初の飲むタイプのヨーグルト「ジョア」は誕生した。

世界初のドリンクヨーグルト「ジョア」誕生

生きたまま腸内まで届き有用な働きをする「乳酸菌シロタ株」

生きたまま腸内まで届き有用な働きをする「乳酸菌シロタ株」

ヤクルト本社の代名詞、腸内環境を改善する作用がある乳酸菌シロタ株が含まれる乳酸菌飲料「ヤクルト」は1935年に発売された。1963年には同商品を一般家庭に届ける「婦人販売店システム」を導入、また68年に従来のビン容器からプラスチック容器に変更すると、宅配やビンの回収が不要となるなどの利便性から出荷本数を急激に伸ばしていった。

1960年代、「ヤクルト」は販売本数を急激に伸ばしていたが、食生活の洋風化とともに消費者の嗜好が多様化し、「ヤクルト」単品ではやがて時代の変化に対応できなくなる可能性があった。また、「ヤクルト」の愛飲者のおよそ6割が子どもたちで占められていた。そこで大人向けの、ヤクルトに次ぐ第2の製品の開発が必要になった。(1)牛乳並みの栄養価があること(2)「ヤクルト」と違う風味で、いろいろな味が楽しめること(3)成人が飲んでも満足できる容量にすること(4)ヤクルトと同様、乳酸菌シロタ株を含有していることの4つを商品コンセプトに据え、開発に着手した。

直面した課題

1970年に発売された「プレーン」「マンダリン」「ブラックカーラント」

1970年に発売された「プレーン」「マンダリン」「ブラックカーラント」

「ジョア」の開発は困難を伴った。特に難しかったのは、スプーンですくって食べる固形タイプとは異なり、ドリンクヨーグルトとして安定した液状タイプにすることだった。「お客さまに毎日おいしく飲んでもらうため、試行錯誤する日々が続いたそうだ」(業務部企画調査課の金安輝起主事補)という。

フレーバーには「プレーン」のほか、消費者に選べる楽しさを持ってもらうために「マンダリン」、「ブラックカーラント」の3種類をラインアップ。また、内容量は「ヤクルト」より多く、飲みごたえや継続性を考えた125ミリリットルにした。容器の形状は、くびれをつけて手にフィットするデザインを用いた。商品名はフランス語で喜びや明るさを意味する「Joie(ジョア)」を使うことに決まった。70年11月、世界初の飲むタイプのヨーグルト「ジョア」は発売された。

生きたまま腸内に到達し働く“乳酸菌シロタ株”とあわせて、カルシウムやビタミンDが摂取できるジョアは、発売2年後の72年には一日の出荷本数177万本を達成し、当時のヤクルト本社の乳製品出荷本数のうち10%を占めるヒット商品になった。

また、発売当初は「どろどろして飲みにくい」という声もあったが、こうした消費者の声に応えて発売後もさまざまな検討がなされて、風味の改善が図られていった。

ヤクルトレディによる普及活動

大きく出荷本数を伸ばしていたジョアは当時「ヤクルト」同様、ヤクルトレディによる宅配での販売であった。「ヤクルトレディが地道に商品特徴をお客さまに説明し、ブランド普及に努めてもらったことが大きい」(金安主事補)と、出荷本数を伸ばしていった理由を分析する。今でも宅配の出荷本数の割合はスーパーなどの店頭より多く、「宅配チャネルが約6割を占める」(同)という。ヤクルトレディがブランドの浸透に大きな役割を果たしていることが分かる。

歴代「ジョア」のデザイン。左から初代(1970年)、2代目(1981年)、3代目(1992年)と続く。4代目(1999年)で「特定保健用食品」を表示。6代目にはキャップをアルミからポリスチレン素材に変更した

歴代「ジョア」のデザイン。左から初代(1970年)、2代目(1981年)、3代目(1992年)と続く。4代目(1999年)で「特定保健用食品」を表示。6代目にはキャップをアルミからポリスチレン素材に変更した

商品の多様化に伴う出荷本数の減少

発売後、出荷本数を伸ばしていった「ジョア」だったが、72年に記録した一日177万本の出荷本数をピークに、減少傾向にあった。「ヤクルトに次ぐ第2の製品をつくろうと投入したジョアだったが、その後、『ソフール』や『ミルミル』など、お客さまの様々なニーズに応えるため、商品群が増え多様化していった」(金安主事補)ことが背景にあった。

ブランドに刺激を与える戦略

13年6月から期間限定発売する「ピーチ」は、ジョアのCMタレント剛力彩芽さんとの共同開発

13年6月から期間限定発売する「ピーチ」は、ジョアのCMタレント剛力彩芽さんとの共同開発

ジョアブランドの立て直しを図るためにヤクルト本社が採った戦略が、パッケージデザインの変更や期間限定商品を投入することで「ブランドに刺激を与える」(金安主事補)取り組みだった。

99年の4代目となるパッケージリニューアルでは、厚生省(当時、現厚生労働省、主管官庁)から特定保健用食品の認可を得たことから、乳酸菌シロタ株の働きで腸内環境を整える整腸作用の表示を追加。また、08年の6代目ではキャップ素材をアルミからポリスチレンに変えている。容器と同じ素材にしたことで一括廃棄が可能になった。廃棄性や使用性を高めたことが評価され、同デザインは日本パッケージコンテスト(日本包装技術協会主催)で「ジャパンスター賞」を獲得した。

そして、12年6月には4年ぶりにパッケージデザインを変更した。7代目となる今回のリニューアルでは発売当時のブランドロゴにシズル感とフレッシュ感を加え、現代風にアレンジしたデザインに変え、食品の味わいを思い起こすようなイラストを配置した。また、整腸作用などジョアがもたらすベネフィットを表す「カラダにしあわせ」というキャッチコピーを新たに採用した。リニューアルの効果は数字に現れ、12年6月のジョアブランドの売り上げは「前年同月比126%」(同)と伸長した。

12年6月のデザイン変更からジョアブランドを担当する金安輝起主事補

12年6月のデザイン変更からジョアブランドを担当する金安輝起主事補

期間限定商品では09年6月の「ジョア 期間限定(夏みかん風味)」を皮切りに、翌10年6月には「同 マンゴー風味」、同年11月には「同 ゆず風味」などを発売した。13年6月には、ジョアブランドで初のコラボレーション商品となる期間限定商品の第8弾「ジョア ピーチ」をジョアのCMタレント剛力彩芽さんと共同開発した。ヨーグルトとの相性がよく消費者からの支持も高い白桃のフルーティーな果汁感がする風味に仕上げた。また、デザインには剛力彩芽さん直筆の「うさぎのイラスト」と「Peach♪」が描かれており、かわらしさを演出した。

12年6月のパッケージデザイン変更からジョアブランドを担当している金安主事補は「期間限定商品を投入すると、売り上げが分散してしまうようにも思えるが、期間限定商品の発売がきっかけとなり、通常アイテムの出荷も伸び、全体のベースを底上げする傾向にある。期間限定商品は流通のバイヤーと商談するきっかけづくりにもなり、店頭への配荷が上がっている」と、その意義を強調する。

ブランドの鮮度を保持するため、パッケージデザインの変更や期間限定商品の投入を通じて「ブランドに刺激を与える」(同)戦略が功を奏していると言える。

確かな健康感、おいしさと選べる楽しさ

ジョアは、定期的なパッケージデザインの変更や期間限定商品を投入することでブランドに刺激を与え成長してきた。ジョアの現在の一日の出荷本数は「約80万本」(金安主事補)という。金安主事補は「ジョアの基本価値である“健康感”“おいしさ”に加え、いろいろな味を選ぶ、“選べる楽しさ”をお客さまに提供し続けてきたからこそ」とロングセラーの要因を分析する。

企業データ
株式会社ヤクルト本社
代表取締役社長:根岸孝成
所在地:東京都港区東新橋1-1-19
掲載日:2013年8月 7日


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