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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された」
「ばかうけ」―受け継がれるプラスアルファの精神
1990年の「ばかうけ」発売からさかのぼること約1年。当時、青のりを練り込んだ人気のせんべいがあったという。自社で青のりを使ったせんべいを作るとすれば、どういう商品ができるか―。これが開発のきっかけだった。単に青のりを練り込んでも二番煎じになるだけ。考え迷う中で目に留まったのが「油しょうゆ」だった。

Befco「たのしい、おいしい、あたらしい」―。2007年の創業60周年を期に考案された栗山米菓のコーポーレートブランドだ。日本の伝統的な焼き米菓子“せんべい”は、味や食感、製造工程が確立されているため、似たり寄ったりの商品になりがちで差別化が難しい。だが、型通りが当たり前のせんべいにも、新しい変化を求める姿勢が栗山米菓には脈々と受け継がれてきた。90年1月、プラスアルファを追求する姿勢が形となって発売されたのが、せんべい「ばかうけ(青のりしょうゆ味)」だった。堅過ぎずやわらか過ぎない独特な食感が消費者から支持され、発売以来、約55億枚、単純計算でも1日当たり約66万枚が食べられているロングセラー商品だ。ヒットの舞台裏には、独特の食感だけでなく、拡大路線を続けるコンビニエンスストア(CVS)との戦略が符合した幸運もあった。

求められたプラスアルファ

1990年の発売からさかのぼること約1年。当時、青のりを練り込んだ人気のせんべいがあったという。「栗山米菓で青のりを使ったせんべいを作るとすれば、どういう商品ができるか考えるようになった」と、磴(いしばし)一弘マーケティングチームマネージャーは、ばかうけ開発のきっかけを振り返る。

「ばかうけ」の型に抜いて、乾燥させる工程

「ばかうけ」の型に抜いて、乾燥させる工程

ただ、単にせんべいに青のりを練り込んでも他社製の二番煎じになるだけ。プラスアルファが必要となる。考え迷う中で、目に留まったのが「油しょうゆ」だった。通常、焼かれた生地はすぐにしょうゆを塗られるが、「油しょうゆ」は焼いた生地にサラダ油をまとわせた後に、しょうゆにつける。油をつける工程を間に挟むことで生地に油がコーティングされ、焼いたせんべいの中を蒸らす効果があるという。「これにより、堅過ぎやわらか過ぎない、堅焼きせんべいとソフトせんべいの中間的な食感に仕上げることができる」(同)。栗山米菓には、油しょうゆの技術を使った商品「ミニかきもち」があり、同商品で培ったノウハウが役立った。青のりを練り込み油でまとわせた生地に合うように、やや塩味のあるしょうゆタレも独自にブレンドして開発した。

また、形状でも「たのしさ」を追求した。丸や四角形が多いせんべいの中で、原料の米をイメージした三日月形にして、目新しさを訴求。同形状には持ちやすく食べやすいという利点もある。

あだとなった“おもしろさ”

発売開始当時の「ばかうけ」

発売開始当時の「ばかうけ」

独自性の発露は「ばかうけ」というネーミングにも現れている。栗山米菓の本社がある新潟県で「ばか」は「すごい」と同じ意味合いで使われている。また当時、人気テレビ番組で「ややうけ」や「ばかうけ」などの言葉を使ったコーナーがあり、はやっていたという。「『ばかうけ』以外にも『米米クラブ』などの候補があった。だが、栗山米菓には『おもしろいことをやろう』という雰囲気が昔からある。社内で賛否両論あったのは確かだが、インスピレーションを得た開発企画担当者が上層部にプレゼンすると『それでいけ!』となった」(久代秀明経営統括部チーフリーダー)。

独自の製造工程と調味タレを使い、ユーモアのあるネーミングにした「ばかうけ」は満を持して1990年1月に発売された。しかし、おもしろいと思って名づけたネーミングが返ってあだとなった。
 「食品スーパー(SM)などの流通関係者からは『こんな何か分からない商品は売れない』と言われたり、お客さまからは『なんで、ばかうけなの?』と言われたりした」(同)ため、思うように配荷は進まなかった。


転機となったコンビニ

経営統括部チーフリーダーの久代秀明さん(右)とマーケティングチームマネージャーの磴一弘さん

経営統括部チーフリーダーの久代秀明さん(右)とマーケティングチームマネージャーの磴一弘さん

転機が訪れたのは、発売から約1年後の1990年末。コンビニ国内店舗数が1万店を超えたのが90年前後。90年代に入ると、コンビニ各社は右肩上がりに店舗数を増加させていった。
 店舗の数が増えれば当然、他店との差別化が必要になる。コンビニで独自性を出す方法の一つは商品による差別化だ。他のコンビニチェーンでは置いていない商品を取り扱うことで客数が増えるようになる。「独自路線を行こうとした時、商品名が目を引き『おもしろそうだ』と興味を持ってもらえた」(磴一弘マネージャー)。コンビニへの配荷が進み認知度が高まると、畳み掛けるようにTVCMを放映し露出度を高めた。
 発売当初、栗山米菓には三日月形の生地に加工する食品機械やノウハウがなかった。そのため、協力会社から型抜きした生地を仕入れていたが、このころになると、生地を製造する技術も蓄積され、また売り上げも伸びていたため、生地の自社生産に切り替えた。発売次年度の売り上げは「2倍以上になった」(久代秀明チーフリーダー)。

変えていいものと、いけないもの

発売から24年目に突入する「ばかうけ(青のりしょうゆ味)」の味は、ほとんど変えていないという。「商品には変えていいものと、いけないものがある。お客さまから『昔のままの味で懐かしいし、安心して食べられる』との声を頂くと、定番の青のりしょうゆ味は守らなくてはいけない」(磴一弘マネージャー)と、その理由を語る。

期間限定発売の「ばかうけ クリームチーズ味」(右)と「開運ばかうけ」

期間限定発売の「ばかうけ クリームチーズ味」(右)と「開運ばかうけ」

もっとも、定番の味にあぐらをかいているわけではない。季節限定や地域限定商品など、年間に発売する新商品は、ばかうけシリーズで約20アイテム。味つけの変更だけでなく、年末年始には「開運ばかうけ」とのネーミングで、商品の中に紙の絵馬を入れ、願い事を書いて栗山米菓に送ってもらう取り組みを行っている。本社の敷地内にある「ばかうけ稲荷(いなり)」に奉納し、一年後にお焚き上げする。「受験シーズンのため、中には『○○大学に合格できますように』や小さなお子様からか『逆上がりが出来ますように』などの絵馬が届く」(同)という。今年で7年目の企画で「昨年は1万通を超える願い事が寄せられた」(同)と、笑みを浮かべる。

おいしいだけではなく、消費者に楽しさや新しさの提案を基本理念としている栗山米菓。「たのしい、おいしい、あたらしい」。伝統的に受け継がれるプラスアルファの精神が、新製品開発の根底にある。

企業データ
株式会社栗山米菓
代表取締役社長:栗山敏昭
新潟県新潟市北区新崎2661
掲載日:2013年2月 6日


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