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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された」
「ランチパック」―数ある菓子パンの中の一つが事業の柱の一つに
発売した1984年からの累計アイテム数は1000品以上。「ランチパック」は、山崎製パンの菓子パン事業の柱の一つに成長したが、発売当初から現在のような人気商品だったのではではない。おいしく手軽に食べられる菓子パンとして消費者の支持を拡大するようになったのは、ここ数年のことだった。

しっとりふわふわした食パンに包まれた種類豊富な具材やサンドイッチ感覚の手軽さが人気を呼び、ロングセラー商品となっている山崎製パンの菓子パン「ランチパック」。2011年の出荷数量は約3億7000万個で、パッケージを横に並べると地球を一周するという。12年12月期の売上高は、ブランド単体で前年度比10%増の400億円を見込む。発売した1984年からの累計アイテム数は1000品以上。同社の菓子パン事業の柱の一つに成長した。ただ、同商品は発売当初から現在のような人気商品だったのではではない。おいしく手軽に食べられる菓子パンとして消費者の支持を拡大するようになったのは、ここ数年のことだった。

白羽の矢

発売開始当時の4種類のランチパック

発売開始当時の4種類のランチパック

「ランチパックは、数ある菓子パンの一つの種類というくらいの認識でしかなかった」と、田村優和マーケティング部マーケティング第二課課長は2006年以前を振り返る。気が付けば、パッケージデザインはアイテムによってバラバラ。売り上げが安定していたこともあり、ブランド戦略が手薄になっていた。
 転機となったのが06年。パンそのものの品質向上を図ったのを機に、「ランチパック」の販売を強化する方針が打ち出された。サンドイッチのように手軽で、食パンを菓子パンのように食べたいという消費者ニーズに、「ランチパック」が応えられる点に注目。戦略商品として白羽の矢が立ったのだった。

連動させたブランド戦略

山崎製パン直営のランチパック専門店

山崎製パン直営のランチパック専門店

社内で検討を重ねブランディングの方向性を決定した。それまでバラバラだった商品デザインを統一。商品名のランチパックより、具材名のほうが大きかったデザインを逆転させ商品名を目立たせた。食品スーパー(SM)などの棚に並べたときに統一感を演出する狙いがあった。同時に、商品の棚作りにも着手。「以前はSMの隅に置いてあるような感じだったのをランチパック一色にしたコーナー作りを積極的に展開していった」(田村課長)。
 また、同年にはランチパックで初めてテレビコマーシャル(TVCM)を投入した。同商品はパッケージ内にエアを吹き込んで密封している。かばんなどに入れてもつぶれにくく、ふわふわした食感が長持ちするように設計されている。この商品特徴を訴求するとともに、購買層で弱かった女性会社員などのサラリーマンにアピールするため「ケータイするランチ」をキャッチコピーに、ランチパックをバッグから取り出すようなTVCMに仕上げた。
 デザインを統一させた商品でコーナー作りをし、同時にTVCMで認知度を高めていった。個々の施策を連動させることで相乗効果を狙うブランド戦略は功を奏し、「従来の主婦層に加えて、女性会社員や40-50代の男性が購買層に加わりボトムアップにつながった」(同)。05年度と比べると、今年度の売上高はブランド単体で3倍近い伸びを見込んでいる。

人気の根底支えた

専用のパンを使用した独自製法により、しっとり、ふわふわした食感に

専用のパンを使用した独自製法により、しっとり、ふわふわした食感に

ランチパックがロングセラーになった要因は、ブランド戦略だけではない。根底を支えたのは品質の向上だった。同商品の食パンには、専用のパンを使っている。「パサパサした食感」(田村課長)だったが、独自製法によりきめの細かい食パンに改良したことで「しっとりと、ふわふわした食感」(同)に仕上げた。
 食パンの品質向上だけではなく、中身の具材の味つけにもこだわっている。1984年の発売当時からある「ピーナッツ」も例外ではなく、食べやすいように、常に時代にあった味に変えている。「『これくらいでいいかな』と思って商品化すると、お客さまから厳しい意見が寄せられることもある」(同)ほどの熱烈なファンが多いためだ。ランチパックを好んで食べる人を「ランチパッカー」と呼ぶ。毎月新しく店頭に並ぶ新商品をワクワクしながら楽しみ、食べた感想をブログ(ウェブ上の日記)で紹介する。「地域限定品が出ると、現地まで行く人もいると聞く」(同)という。
 また、山崎製パンが洋菓子を扱っていることも具材の味の進化に寄与した。「洋菓子に使われるクリームなどの原料についてのノウハウがランチパックにも応用され、食感の向上につながっている」(同)。ブランドの枠を超えた“オール山崎製パン”で品質の向上に努めている。

年間の新商品100アイテム

本場の味を確かめるため日本全国を巡る田村優和さん

本場の味を確かめるため日本全国を巡る田村優和さん

発売当時は「青りんご」、「ピーナッツ」、「小倉」、「ヨーグルト」の4種類だったランチパックは現在、一部地域のみ販売の商品を含め、全国で40-50アイテムを常時発売している。だが、年間に発売される数は倍近い。新商品を発売すると、その分だけ既存商品を生産終了するためアイテム数は常に一定だが、年間に発売される新商品は100品に及ぶ。毎月4品と地域限定で6、7品を発売するハイペースだ。そのため、新商品の開発はマーケティングから入るだけではなく、基本的に「(本社と連携しながら)開発担当者が作りたいと思う商品コンセプトで開発する」(田村課長)方法も採っている。秋田県のB級グルメ横手やきそばを使った「横手やきそば風」はその一例で、地域限定で発売する商品の場合「地元の人から味が違うと言われないために、現地まで行き本場の味を確かめる」(同)ほどの力の入れようだ。
 ただ、開発担当者の“思い”で商品化すると、消費者の嗜好(しこう)と乖離(かいり)してしまう危険性があるので、「グループインタビューなどのモニター調査を実施し、そこでの内容を次の商品開発の際に参考にするようにしている」(同)。また、ランチパックには厳しいけれども頼もしい「ランチパッカー」がついている。ブランドとしての認知度が高まったため、12年1月から商品キャッチコピーを自由に種類が選べて食べる場所も自由に選べるという意味で「自由型ランチ」に変更した。今後も果敢に新商品開発を続け、ワクワク感を与え続けるブランドとしてランチパックを育成していく。

企業データ
山崎製パン株式会社
代表取締役社長:飯島延浩
東京都千代田区岩本町3-10-1
掲載日:2012年10月31日


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