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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された」
「こてっちゃん」-食材の高い栄養価に商品化のポテンシャルを見出した!
1981年、「こてっちゃん」が発売された。いまでは家庭でも親しまれるホルモン料理だが、その先駆けとなった商品が「こてっちゃん」だった。

1967年、有限会社スタミナ食品が設立された。現在のエスフーズの前身だ。同社の事業の主体はスーパー、飲食店、小売店への食肉、内臓肉(バラエティーミート)の卸売だが、焼肉のたれや一般消費者向けの肉加工商品(牛肉・豚肉)も製造する。その代表が「こてっちゃん」だ。

なじみの薄い食材

「こてっちゃん」の開発は1981年1月に始まった。発端は当時の森島征夫社長(現・相談役)が企業理念(畜産物の未利用資源の有効活用やその資源を利用した美味しい商品を消費者に提供する)から発したツルの一声だった。

「小腸を使った商品をつくりないさい」

経営トップからの突然の開発指令。それを受けた当時の開発担当は戸惑った。というのも、当時の同社は社員20名ほどの典型的な中小企業。しかも食肉の卸売を生業としている。そこに突然の自社商品の開発指令だ。マーケティングもバックデータもなにもない。戸惑うのも無理はなかった。

しかし、小腸の高い栄養価に注目してみると、食材としてのポテンシャルの高さを確信できた。また、米国産牛肉を輸入・卸売していたが、米国では牛の腸を食べる習慣がないため原料は大量に輸入できる。牛の小腸を用いる新商品開発の意が固まった。

米国では消費の習慣がない小腸だが日本はどうだろう。日本では豚の小腸に味付けした「豚ホルモン」はあったが、いかんせん一部の通が好む食べものにとどまっていた。実際、ガード下の大衆酒場で供される小腸は、多くの人々にとって硬くてくさいとイメージがあまりよくなかった。

また、関東と関西では調理方法も異なっていた。関西では「ホルモン焼」として焼いたり炒めたりするが、関東では「モツ煮込」としてみそ味で煮込むのが主流だった。しかし、いずれも大衆酒場で親しまれる食べものであって、一般消費者にはなじみが薄かった。

炒めたほうがいいんちゃう?

韓国語で大腸を「テッチャン」と呼ぶから、小腸は「こてっちゃん」としようとネーミングされた(1990年代のこてっちゃん)

韓国語で大腸を「テッチャン」と呼ぶから、小腸は「こてっちゃん」としようとネーミングされた(1990年代のこてっちゃん)

牛の小腸で新商品開発を決意したものの、どんな食品にすればいいのか苦悩した。どうしても小腸は食感が硬い。そのためまずは関東で主流のモツ煮込に注目し、みそ味で煮て食べる加工品を試みた。が、いまひとつ周囲の反応がにぶい。というのも、関西ではモツ煮込を食べる習慣があまりないため、小腸の煮込にピンと来るものがなかったのだ。

煮込を試食しているうちに社内外から「炒めたほうがいいんちゃう?」との声が上がり、煮込から一転して炒めものへと加工方法を方向転換した。

結果的にはこれが当たった。いまでは家庭でも親しまれているホルモン料理だが、その先駆けとなる食品がこの方向転換によって商品化へと向かい始めたのだ。

さて、加工方法が決まったものの大きな課題も横たわっていた。炒めて(もしくは焼いて)食べる加工品にするためには、小腸の課題である「くさい(=におい)」「硬い(=食感)」「見た目が悪い(=見栄え)」を克服しなければならない。そのため、切り方や加工の仕方、また調味により軟かくするなどさまざまな方法を繰り返し、数カ月にわたって研究した。その結果、同年7月に試作品が完成し、さまざまな場所で試食販売したところ、「おしいい」「食べやすい」と上々の反応を得られた。これにより商品化の手ごたえを感じた同社は、翌82年7月に「こてっちゃん」を発売。すぐに小売店、スーパーから注文が相次ぐ大ヒット商品となった。

ところで、こてっちゃんの商品名の由来だが、焼き肉の本場・韓国では大腸を「テッチャン」と呼ぶ。大腸がテッチャンならば、小腸は「こ(小)てっちゃん」や。なんとも風刺のきいたネーミングだが、ゴロのよさとユニークなコマーシャルも相まってこてっちゃんは急速に市場に浸透していった。

思わぬ事態が...

発売から順調に売上を伸ばしていったこてっちゃんは、92年に新シリーズとして「牛・もつ鍋」を発売した。のちにこてっちゃんは炒め系商品、煮込系商品、おつまみ系商品の3分野でシリーズ展開していくが、その先駆けとなる初のシリーズ商品だった。

こてっちゃんの新シリーズとして、「牛・もつ鍋」が1992年に発売された

こてっちゃんの新シリーズとして、「牛・もつ鍋」が1992年に発売された

そして、こてっちゃん、牛・もつ鍋とも順調に推移していった矢先、思わぬ事態に遭遇してしまった。BSE(牛海綿状脳=狂牛病)問題だ。米国では2003年にBSE感染した牛が確認されたが、米国産牛はこてっちゃんの原料でもあった。商品の安心・安全を第一に標榜するエスフーズにとって、米国産牛を原料としてそのままこてっちゃんを製造しつづけるわけにはいかない。そこで04年5月、やむなくこてっちゃんシリーズ全商品の製造を一時休止した。

また、日本政府も03年12月に米国産牛肉の輸入を全面的に禁止した。それにより米国からの原料調達が完全にできなくなったこてっちゃんシリーズは、のちに再開するまでの2年間、製造停止に追い込まれてしまった。それでもなんとか消費者にこてっちゃんの味を届けたいと、05年1月には豚の大腸を用いた「とてっちゃん」を発売し、こてっちゃんユーザーへ関連商品の提供が滞らないよう心を配った。


2012年の春夏商品として、こてっちゃんシリーズでは「ホルモンポッカ」(左)、「牛もつ炒め-甘辛しょうゆ」などがリリースされた

06年8月、ようやく原料の輸入先をオーストラリアに求めることができ、こてっちゃんの製造を再開する。

「当初は原料の輸入量を十分に確保できなかったことから、まず関西、中四国で販売を復活し、08年3月にようやく全国で販売再開にこぎつけました」(開発部長・日下大輔さん)

その後はコンスタントに売上を回復させ、現在(12年3月時点)、こてっちゃんシリーズはラインナップを増やして14商品を展開している。今後も安価で栄養豊富な庶民の味方として、食卓をにぎわせる肉加工食品を提供しつづけることだろう。

企業データ
エスフーズ株式会社
代表取締役社長 村上真之助
兵庫県西宮市鳴尾浜1-22-13
掲載日:2012年3月30日


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