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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された」
「おでん缶」-インパクトの強い缶詰を開発する
1980年代初頭、のちに日本を一世風靡するおでん缶の開発が始まった。自動販売機でおでんを売るというユニークなビジネスモデル。
2005年の人気テレビドラマに登場するやいなや、一躍日本中に知れわたった。

2005年、人気テレビドラマ「電車男」のワンシーンにおでん缶の自販機が登場すると、一躍おでん缶は広く世間一般に知れ渡る。大ブレークした瞬間だった。開発・販売元の天狗缶詰でも生産が追いつかず、売切れの自販機が相次いだ。

おでん缶の生みの親、天狗缶詰は1923年創業の缶詰メーカー。野菜の缶詰製造から事業を始め、現在では豆類、野菜、フルーツ、デザートなど多彩な缶詰を製造する。そして1980年代初頭、のちに日本を一世風靡するおでん缶の開発が始まった。

自販機から酒問屋へ販売チャネルのターゲットを移す

きかっけは、大手飲料メーカーからの依頼だった。

「インパクトがある食べもの系の新商品を開発してほしい」

この意を受けて社内で試行錯誤した結果、おでんの缶詰を企画した。そして大手飲料メーカーの自販機で専売する予定だったが、あにはからんや先方の計画が無期限延期になってしまった。

そのため自販機専売の業者を通して発売することに方向転換を試みたが、おいそれと事は運ばなかった。というのも、現在のように特定メーカーだけでなく各飲料メーカーの商品を扱う独立系自販機ベンダーは存在せず、飲料メーカーがそれぞれに専用の自販機を保有しており、販売する商品は当然のことながら自社商品のみだった。そこにおでん缶を扱ってほしいと攻勢をかけてみたものの、ほとんどが徒労に終わってしまい、自販機業界への販路開拓がなかなかできなかった。

そこで自販機から酒問屋へと販売チャネルのターゲットを移した。当時、街の酒屋では缶ビール、カップ酒などを店頭で飲ませる店が多くあり、つまみには乾き物や魚肉ソーセージなど簡易なものを提供していた。ここにおでんの缶詰を加えてもらうよう提案したのだ。

そして酒問屋の反応は上々であり、特に中国、四国、九州で販売を伸ばしていった。といっても年間の販売数は1,000~2,000ケース(24缶/ケース)と同社の売上全体からすればまだ微々たるものだった。

荒々しくもうれしい反応

1991年、新たな販売ルートの開拓にかかる。東京で職域販売の専門業者と提携し、件の業者のプライベートブランド「下町横丁」の商品におでん缶を提供した。職域販売とは、独身寮や工場などに自販機を設置して商品を販売する手法であり、東京の専門業者との提携により、関東圏内の男性の独身寮、工場等の自販機におでん缶を納入した。

これがおもしろいように売れた。冬期限定商品として自販機で販売したが、春商品との入替えでおでん缶を撤去する自販機に、「まだ取扱いを続けてほしい」と書かれた紙が張られていた。また、おでん缶を撤去した自販機が激しく蹴り飛ばされたなど、荒々しくもうれしい反応に遭遇した。この職域販売によって、おでん缶のニーズは若い男性が自販機で買うことにあると知ったのだ。

そして90年代後半になると東京・秋葉原でもおでん缶が自販機で販売されるようになり、着実に販売数量を伸ばしていく。そして、前述のように2005年のテレビドラマ(電車男)によって全国区の人気商品へと飛躍したのだ。

1985年の初代から発展を続ける「こてんぐ おでん缶」

1985年の初代から発展を続ける「こてんぐ おでん缶」

ネタの組合せは調査結果から決める

開発当初(85年)のおでん缶(初代)は、缶コーヒー(200ml)と同じサイズの缶で、おでんダネは、こんにゃく、ちくわ、さつまあげ、つみれ、うずらの卵、昆布の6種類。それが4本の串に刺さった状態で入っている(こんにゃく1本、ちくわ1本、さつまあげ2枚で1本、つみれ2つとうずら卵1個で1本)。天狗缶詰では、このタネの組合せを調査の結果から決めた。

とはいえ、おでんタネの好き嫌いは千差万別。さらに、関西では牛すじに根強い人気があるなど、地域の嗜好性も千差万別だ。そのため、当初はバイヤーや小売店から具材に対するリクエストが多く、その対処に苦労したともいう。

2010年には5代目としてリニューアル

2010年には5代目としてリニューアル

初代商品から10年程経た1995年、2代目おでん缶にリニューアル。缶のサイズを直径65.4mmと大きくした。さらに2000年に3代目商品を開発し、その第1弾として「牛すじ入おでん」を発売した。ネット通販でおでんを買う顧客から届いた多数のメールと営業担当者から届いた売り場の声をもとに開発した。

3代目からはパッケージのデザインもポップ感のある斬新なものに一新。家庭向け製品のトータルブランドである「こてんぐ」のイラストもこの3代目から載せた(商品名も「こてんぐ おでん缶」に変更)。ちなみに、こてんぐブランドを冠した第1号が先の「牛すじ入おでん」だ。

2001年には「つみれ入 おでん」を発売。これは2代目商品の「うす味 おでん」をリニューアルしたもので、中身のタネは変えずにパッケージだけをポップでキュートなデザインに替えた。2代目までのデザインは地味でいわゆるオヤジっぽさがあったが、3代目からは若年層への訴求も意識したデザインに変えていった。

さらに用途を拡大する

06年には4代目商品をリリース。「牛すじ入り」「つみれ入り」「がんも入り」の3種類のおでん缶のそれぞれに大根を入れ、さらに結びこんにゃくも追加した。

さらに10年には5代目商品にリニューアル。調味液をさらに見直し、だしが強くまろやかな風味に仕上げた。焼津産かつお節エキス、利尻産昆布エキスを配合し、味によりいっそうの深みを出しながら、魚が苦手な人が感じやすいつみれのくさみもまろやかに感じられるようにした。長年のおでんづくりの経験が最適なだしの開発をもたらした。

2011年に発売された「災害・備蓄用おでん缶」

2011年に発売された「災害・備蓄用おでん缶」

現在、おでん缶は「牛すじ入り」「つみれ入り」の2種類を販売する。また、おでん缶は常温で3年間保存できることから、災害・備蓄に向けた非常食・保存食・備蓄食にも適している。そこで11年からはシンプルなデザインで「災害・備蓄用おでん缶」を発売した。缶底には大きな文字で賞味期限が記され、のぞきこまなくても一目でわかるよう配慮している。

また、オリジナルの味付け・パッケージなどのPB商品も開発するなど、アキバ名物のおでん缶はさらに用途の拡大を図っている。

企業データ
天狗缶詰株式会社
代表取締役社長 伊藤圭太郎
名古屋市中区金山1-12-14 金山総合ビル6F
掲載日:2012年2月29日


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