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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された!」
「じっくりコトコト」シリーズ-大人も満足できるスープをじっくりとつくり込む
1996年、「じっくりコトコト煮込んだスープ」が発売された。文字どおり“じっくり”と企画を煮詰めてつくり上げた商品だ。そこでめざしたものは、小さな子どもだけでなく、大人も満足する本格的スープの開発だった。

総務省統計局の家計調査年報によれば、食料消費支出は1992(平成4)年をピークにじりじりと下がり続けており、食品メーカーの数多くの商品が長引くデフレ不況下のダウントレンドに悲鳴をあげている。それに対し、インスタントスープの市場はゆるやかながらじわじわ伸び続けており、なかでもポッカコーポレーションの「じっくりコトコト」シリーズが快走。直近では2011年秋冬向けに「じっくりコトコト 海老のビスク」(11年8月)を発売し、市場の話題をさらっている。
 この走り続ける「じっくりコトコト」シリーズの誕生から話を始めよう。

スープは「飲む」ものでなく「食べる」もの

数多い料理の中でもスープの歴史は古い。紀元前1500~1600年頃には古代エジプトで食されていた記録がある。ポッカコーポレーション・マーケティング戦略グループ課長代理の池端幸司さんによれば、「当時からスープに肉や野菜、あるいはパンを入れて食べていたこともわかっている」そうだ。

えてして日本人はスープを「飲むもの」と思いがちだが、本来は「食べるもの」だ。その原点を古代エジプトの記録からも見てとれる。

時代は下り、11世紀末から13世紀末にかけてキリスト教とオスマン朝とが対立すると、ヨーロッパから中東へ十字軍が遠征する。これにより東西文化の交流が進み、その1つとして香辛料がヨーロッパへ流入した。この十字軍が持ち帰った香辛料によって、ヨーロッパのスープの味は現代のそれへとぐんと近づいていったのである。

さらに17世紀、ルイ王朝のフランスでスープがさらに洗練され、正式な献立に格上げされる。ところがほどなく市民革命が起こり、華麗なるルイ王朝はあえなく倒壊。お払い箱となった王朝おかかえの料理人が市中に出て料理店を開いたことにより、スープは市民の間へと広まっていったのだ。

ひるがえって日本のスープの歴史はどうか。なんと、ルイ王朝より古いのだ。1549年(武田信玄、上杉謙信などが群雄割拠した戦国時代)に渡来したフランシスコ・ザビエルがキリスト教とともにスープも伝えたといわれる。もちろんそれが多くの人々の口に広まるまでには200年以上という長い年月を要する。まずは明治期の文明開化で西洋料理店が生まれ、それにより多くの人にスープという“存在”が知られるようになる。

一般の家庭に達するのはまだこれからだ。戦後間もない1951(昭和26)年、初めて缶詰スープが売り出され、ここから市販スープの歴史が始まる。さらに時代が下って高度経済成長期の60年代にクッキングタイプのスープが発売され、それを機に日本人の嗜好に合った市販スープが数々売り出され、ここでようやく日本の食卓にスープが浸透していったのだ。(以上、日本スープ協会資料より)

“じっくり”と企画を煮詰めて開発した

1980年に発売された缶入りスープ「ポッカ コーンポタージュスープ」と「ポッカ ベジタブルスープ」

1980年に発売された缶入りスープ「ポッカ コーンポタージュスープ」と「ポッカ ベジタブルスープ」

ポッカコーポレーション(以下、ポッカ)がスープ市場に参入したのが80年。ポタージュとベジタブルの2種類の缶入りスープを発売し、翌81年には粉末タイプのインスタントスープを発売した。その後「元気であいさつ」や具入りの「GOO」、「つぶコーンスープ」をリリースし、スープ事業を確実に拡大軌道へと乗せていった。

いまでは当然のように思われている具(コーンの粒)入りのスープだが、88年にポッカから発売された「つぶコーンスープ」が先駆けて粒コーンを入れた商品といわれ、この発売により売上げが伸びたという。

さらに96年には、文字どおり“じっくり”と企画を煮詰めて開発した「じっくりコトコト煮込んだスープ」を発売する。当時、小さな子どものいる家庭を中心に普及していたインスタントスープだったが、「じっくりコトコト煮込んだスープ」は大人も満足する本格派スープとして具や味わいにこだわった。その結果、ユニークなネーミング等がうけたこともあり、「じっくりコトコト煮込んだスープ」は消費者ニーズをしっかりとらえ、国内スープ市場における有力商品の1つへと躍進していった。

ポッカのスープ事業で基幹商品となった「じっくりコトコト煮込んだスープ」はシリーズ化され(「じっくりコトコト」シリーズ)、そのベースの「あらびきコーン」をはじめ、「緑野菜ポタージュ」「濃厚」シリーズ、カップ入りの「こんがりパンのはいった」シリーズなど14年間で多様なアイテムが開発された。そして2010年8月には、製法やパッケージにさらなるブラッシュアップがなされて全面刷新された。

この有力ブランド「じっくりコトコト」シリーズには3つの特徴がある。第1は「濃厚とろ~り。そのうえなめらか」というコンセプト。他社の商品がファミリーユースに重点を置いているのに対し、「じっくりコトコト」シリーズは「大人も満足できるワンランク上のスープ」をめざしている。

そのため具にもこだわり、コーンスープには粗挽きしたスーパースイートコーンを用いた。また、クラムチャウダーも本場の味わいをめざし、いわゆる「食べるスープ」に仕立て上げている。

第2はスープの決め手となるダシ。鶏ガラと肉の両方の旨味を抽出したダブルチキンエキスと野菜をいっしょにコトコト煮込んだ特製チキンブイヨンを使い、それによって味に深みを出している。

第3がなめらかさ。こだわった素材の味わいを活かすため、特性のクリームパウダーを独自に開発し、レストランで仕上げにクリームを入れたときのようななめらかさをめざしている。

10年の「じっくりコトコト」シリーズには、「あらびきコーン」「ホックホクじゃがいも」「クラムチャウダー」「とろ~りチーズ」「とろ~りかぼちゃ」「豆のポタージュ」「根菜ポタージュ」のアイテムがあり、売上げ実績比率では「あらびきコーン」がトップを占め、ついで「クラムチャウダー」が人気を集めている。

インスタントスープはまだまだ伸びる

「2011年の秋冬商品はぜひ魚介系でいきたい思い『海老のビスク』を選択しました」と話すマーケティング戦略グループ課長代理の池端幸司さん。

「2011年の秋冬商品はぜひ魚介系でいきたい思い『海老のビスク』を選択しました」と話すマーケティング戦略グループ課長代理の池端幸司さん。

このように「クラムチャウダー」が好評に推移しているのを追い風に、2011年8月に新アイテムとして「海老のビスク」が発売された。開発の経緯について池端さんは語る。

「クラムチャウダーのヒットから考えて、2011年の秋冬商品はぜひ魚介系でいきたいと思っていました。そして数ある魚介類の候補の中でどれを使うか。アイデアをひねっている最中に、ネットの魚介系人気ランキングや通販サイトの売れ筋ランキングから日本人はエビ好きだということがわかりました。いま人気のチェーンのスープ専門店でもオマール海老のスープも売れ筋アイテムです。自社で7~8年前から広範なフレーバーを研究してきた結果と、このような世の中のトレンドから判断して『海老のビスク』を選択しました」

この読みはピタリと当たった。暑さが残った秋口の出足こそ苦戦したものの、寒さが本格化しはじめた10月末から売れはじめ、11月末にもなると売れ行きが急伸、いまでは「あらびきコーン」「クラムチャウダー」とほとんど肩を並べる3本目の柱になっている。

「海老のビスク」(2011年8月発売)は「じっくりコトコト」シリーズの3本目の柱となった

「海老のビスク」(2011年8月発売)は「じっくりコトコト」シリーズの3本目の柱となった

「じっくりコトコト」シリーズは、02年からカップ入りタイプ(「じっくりコトコトこんがりパンのはいった」シリーズ)も商品化している。「海老のビスク」はカップ入りタイプでも11年11月に商品化された(「じっくりコトコト こんがりパンのはいった海老のビスク」)。

「じっくりコトコト」箱タイプは量販店で主婦層を中心に売り上げを伸ばし、カップ入りタイプは男女問わずコンビニで若年層のニーズをとらえている。

「食品市場が全般的に伸び悩む中で、スープ商品は消費者の食の簡便性への要求や健康志向にもマッチしており、まだまだ伸びるとみています。技術革新も進み、昔に比べると味覚の点でも格段においしくなり、フレーバーも多様化しています。常にトレンドを読み、いかにタイムリーにそのトレンドをとらえた商品を開発していくかにかかっています」(池端さん)

ポッカの多彩な商品分野の中でもすでに重要な柱と位置づけられるスープ商品。稀な成長分野であるインスタントスープ市場において、どこまで独自色を誇示して市場シェアを伸ばせるか、今後のポッカのスープ商品および「じっくりコトコト」シリーズの開発戦略、販売戦略が楽しみだ。

企業データ
株式会社ポッカコーポレーション
代表取締役社長 伊藤哲文
名古屋市中区栄4-2-29
掲載日:2012年1月17日


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