本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 製品・技術を開発する > 飲食品でヒット商品をつくる

飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された!」
「タカラcanチューハイ」-居酒屋の味をいつでもどこででも飲んでもらいたい
1980年代に入ると日本全国に居酒屋ブームが起きた。その居酒屋で人気の飲料となったのがチューハイ。それを家庭でも気軽に飲めるようにしたい。そんな思いから84年に発売されたのが宝酒造の「タカラcanチューハイ」だった。

1980年代に居酒屋のチェーン店化が進むと、老若男女を問わず幅広い消費者から支持されるようになった。70年代まではサラリーマンの酒場というイメージだったが、料理やアルコールの種類を増やし、店内の装飾も工夫することでサラリーマン以外の客層を広げていった。

特にアルコール飲料でブレイクしたのがチューハイだった。居酒屋のチェーン化と軌を一にするかのように、若者の間でチューハイが注目されていった。そこに82年に発売された焼酎の割り材用炭酸飲料が爆発的ヒットを飛ばすと、一気にチューハイは日本全国へと広がり定着していった。戦後間もなくチューハイ(焼酎の炭酸割り)ブームが起きたが、それに次ぐ第2のチューハイブームとなった。

チューハイを缶入り商品にする

チューハイブームに湧く居酒屋では、各店がそれぞれにオリジナルのフレーバーでチューハイのメニューを増やしていた。そうした居酒屋のチューハイの味を家庭でも気楽に楽しむ機会を消費者に提供したい。それが「タカラcanチューハイ」開発の動機だった。

宝酒造では1977年に焼酎「純」を発売していたが、これが82年には前年比で179%の売上げを記録していた。まさしくチューハイブームの効果を受けていたのだ。そして翌83年、チューハイ商品の開発が始まった。

商品開発でもっとも重要なのが味だった。参考になる味を調査するため、首都圏を中心に居酒屋の調査を始めた。とくに東京の上野、新宿、大阪のキタ、ミナミの居酒屋を集中的に回る。そして多種多様なチューハイを口にした結果、キタのある居酒屋のフレーバーに注目した。それはレモンだけを使ったシンプルな味だが、飲み口はすっきりしていて後味も抜群にいい。しかも、ベースの焼酎には自社の「純」が使われていた。

このフレーバーを参考に試作開発を繰り返した結果、プレーン、レモン、プラム、グレープフルーツの4種類のフレーバーを完成。ここに「タカラcanチューハイ」が誕生した。

1984年に「タカラcanチューハイ」が発売された。シルバーメタルのアルミ缶に英字の商品名と当時としては斬新なパッケージだった

1984年に「タカラcanチューハイ」が発売された。シルバーメタルのアルミ缶に英字の商品名と当時としては斬新なパッケージだった

メインターゲットは若年層

東京のホテルで大々的に「タカラcanチューハイ」を発表した

東京のホテルで大々的に「タカラcanチューハイ」を発表した

商品コンセプトは手軽にどこでも飲める本格的な味のチューハイだ。フレーバーの探求と並行してパッケージ開発も進められていた。販売のメインターゲットは若年層。手軽に飲めるように容器は缶と決めていた。そしてパッケージのデザインは、メタリックなシルバーの地に文字の色をフレーバーに応じて黒、黄、ピンク、グリーンを使った。ネーミングはそのものずばり「タカラ缶チューハイ」。これ以上ないわかりやすさだ。さらに、ブランドの文字はメインターゲットを意識して「can CHU-HI」とアルファベットで表記した。独特の光沢を醸し出すパッケージはシンプルかつ斬新なゆえにインパクトが強かった。

スイート系のチューハイ「デラックス」を1990年に発売。りんごのほかにもグレープ、ピーチ、ハイビスカスなどさまざまなフレーバーでシリーズ化していった

スイート系のチューハイ「デラックス」を1990年に発売。りんごのほかにもグレープ、ピーチ、ハイビスカスなどさまざまなフレーバーでシリーズ化していった

84年1月に発売された「タカラcanチューハイ」は、チューハイブームの後押しもあり順調に売上げを伸ばしていった。そして、ソフトアルコール飲料という新しいジャンルを確立し、市場を創造した。その後もスイート系(果汁入り)のチューハイ「デラックス」を90年に発売し、シリーズ化も図っていった。

さらに99年から2001年にかけて大手ビールメーカーが缶チューハイ市場に参入すると、一気に市場規模が拡大した。

元祖焼酎ハイボールの味わい

現在、同社は缶入りチューハイ商品として、「タカラcanチューハイ」のほかにストレート混濁果汁を使った「直搾り」シリーズ、「TaKaRa焼酎ハイボール」などを展開している。「TaKaRa焼酎ハイボール」は2006年に発売。50代以上の男性をターゲットに、大衆酒場で生まれた元祖焼酎ハイボールの味わいを追求した。

同社は、「タカラcanチューハイ」をプレミアムタイプ、「TaKaRa焼酎ハイボール」をスタンダードタイプの缶チューハイと位置づけている。その前年比の売上成長も、「タカラcanチューハイ」が103%、「直搾り」137%、「TaKaRa焼酎ハイボール」140%と急伸している。

2007年、「直搾り」シリーズを発売。果汁のおいしさに徹底的にこだわり、ストレート混濁果汁を用いている

2007年、「直搾り」シリーズを発売。果汁のおいしさに徹底的にこだわり、ストレート混濁果汁を用いている

2006年発売の「TaKaRa焼酎ハイボール」。戦後間もなくの焼酎ハイボールの味わいを追求した商品

2006年発売の「TaKaRa焼酎ハイボール」。戦後間もなくの焼酎ハイボールの味わいを追求した商品


1980年代に若者が注目したチューハイだが、それも現代の若者のアルコール離れにはかなわない。また、チューハイのみならずアルコール飲料全般について、どのメーカーもジャンルを問わず軒並み苦戦している。が、そんな中にあって「TaKaRa焼酎ハイボール」はメインターゲットばかりでなくブログなどで若者からも評価されているという。

若者のアルコール離れが続く国内市場において、宝酒造の缶チューハイ商品群がどこまで彼らに訴求できるのか、その行方に注目したい。

企業データ
宝酒造株式会社
取締役社長 大宮 久
京都市伏見区竹中町609
掲載日:2011年12月16日


このページの先頭へ