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飲食品でヒット商品をつくる


「あの人気商品はこうして開発された!」
「JANJANソース焼きそば」-“カップ焼きそば=男性”という商品イメージを打破する
2010年春、カップ焼きそばではめずらしいタテ型容器入りでエースコックの「JANJAN」が発売された。その容器の形状には、カップ焼きそばに対する消費市場の固定観念を打破する思いが込められている。その思いとはなんだったのだろうか…。

カップ焼そばは若い男性の食べもの。長い年月を通して定着してしまったそんなイメージを打ち破りたい。また、いまの若者の食のトレンドは過去とはまったく違う。だから、従来品とは異なるまったく新しいカップ焼そばが必要なんだ。そんな思いから「JANJANソース焼そば」は開発された。

3強の牙城をなんとかして崩したい

カップ焼そば市場では、「ペヤングソース焼そば」(75年発売)、「日清焼そばU.F.O」(76年発売)、「一平ちゃん夜店の焼そば」(95年発売)の3ブランドが圧倒的な強さを示している。その3強の牙城をなんとかして崩したい。エースコックでもこれまでに数々のカップ焼そばを市場に投入してきたが、大幅にシェアを拡大するまでには至らなかった。

むしろ最近のカップ焼そば市場は全体的に微減傾向を示しおり、特に10~20代の若年層のカップ焼そば離れが顕著で、エースコックの商品もその傾向と連動していた。

そこでその傾向を打破すべく、2008年に1つのプロジェクトが立ち上がった。若年層のカップ焼そば離れに歯止めをかけてシェアの巻き返しを図る。そのためにもまったく新しいスタイルのカップ焼そばを開発する。チャレンジングなプロジェクトの始まりだった。

JANJANの開発では、既存商品で設定していたターゲットの見直しから始めた、と語るマーケティング部商品開発グループI 主任の金谷美香さん

JANJANの開発では、既存商品で設定していたターゲットの見直しから始めた、と語るマーケティング部商品開発グループI 主任の金谷美香さん

2人のプロジェクトリーダーの一方を務めたマーケティング部商品開発グループI 主任の金谷美香さんは、開発の第一歩について話し始めた。

「まずはターゲットの見直しから始めました。というのも、これまでカップ焼そばのメインターゲットは若い男性でしたが、そのターゲット層だけを対象にした商品をつくり続けていても、シェア拡大につなげるのは厳しいと感じていたからです」

カップ焼そば=若年男性。それが既存のカップ焼そばの商品コンセプトだ。だから、味付け、容量、デザイン-どれもが若年男性を前提としている。が、今後とも同じ土俵(商品コンセプト)で勝負していても3強に対して独自色を出せない。そう判断し、思いきって発想を転換してみた。

「若い男性ばかりでなく、若い女性に食べてもらえるカップ焼そばを目指そうと考えました。女性だってカップ焼そばを食べてみたいという意識はあります」

カップ焼そばは発売(74年)から今日まで、若い男性の食べ物というイメージがあまりにも強く消費者に定着している。とくに容器に対する女性の印象はネガティブだ。いわく、「持ち運びが面倒」「大きすぎて食べにくい」「人目が気になる」などなど。

これらのネガティブ・イメージを解消しなければ、若い女性をターゲット層に加えるのは困難だ。特に「人目が気になる」というネガティブ・イメージは女性にとって致命的だ。それもそのはず、自宅ならまだしもオフィスで四角形の大きな容器に箸をつければ、「私、焼そば食べてます!」とわざわざアピールをしているようなもの。女性にとってあり得ないシーンなのだ。

容器に対する不満は男女とも同じ

さらに容器に対する印象を調べていくと、若い女性のみならず若年男性にも同じような不満があった。つまり、容器が大きすぎる、持ち運びが面倒といった不満は男女とも共通して持っていたのだ。

特に男性の場合、容器に対する不満の原因として、「ながら食べ」という習慣が大きく関係していた。ながら食べとは、食事(特に昼食)に専念するのではなく、パソコンを使いながらなど何かの作業をしながら食事をすること。こうした習慣が若年男性に増えているため大きな容器が敬遠されるようになったのだ。

ちなみに、なぜカップ焼そばの容器はどの商品も平たい四角形なのか。実はエースコックが74年に初めて発売したカップ焼そばの容器は、カップラーメンと同じ丸いタテ型だった。が、翌75年にペヤングソーズ焼そばが平たい四角形の容器で発売されると、以後、その形状がカップ焼そばのスタンダードとなり、現在まで続いているというわけだ。

カップ焼そばにはめずらしいタテ型容器。

カップ焼そばにはめずらしいタテ型容器。"持ちやすく、運びやすい"を追求し、数十回の試作を経て完成した

ところが、いまやそのスタンダードな容器が若い男女にとってネガティブな印象につながってしまっている。

「カップ焼そばを若年の男女にもっと訴求するため、新商品開発では容器の見直しから始めました」

スタンダードな容器を思いきって刷新する。その結果、容器のデザインを平たい四角形からタテ型に一新した。カップの大きさはビールの大ビンと同じサイズ。この大きさなら女性でも持ちやすく、なにより「焼そば食べてます!」のイメージから離れられる。また、手軽に運べるので若年男性の「ながら食べ」にもマッチする。

「数十回の試作を繰り返し、ベストと思われる四角形でタテ型の容器をつくり上げました」

新容器の容量は従来に比べてやや小ぶりのため、めんの量は85g。従来のカップ焼そばの100g超に比べると1割強の減量になる。が、逆にそれがユーザーニーズに合致していた。というのも、これまでのカップ焼そばはメインターゲットである若年男性の満足感を充たすため、めんの容量は100g超が主流になり、それが徐々に増えて200g超の大容量商品も売られるようになった。が、皮肉なことに最近の若い男性はそのボリューム感を敬遠していたからだ。ユーザーは100g、200gという「量」ではなく、「軽い感覚で食べられる」ということに充足感を求めていたのだった。

「量」以外の要素で食のボリューム感を演出する

「若い女性ばかりでなく男性にも食のライト化が広がっていますが、一方で若年層は濃くてしっかりとした味を好みますので、それにも応える必要がありました」

最近の若年層の飲食では、気軽にライト感覚で食べるトレンドが強くなっている。また、その一方で食べものに対してボリューム感も求める。そこで従来の商品はそのボリューム感に「量」でもって対応していたが、さすがに若年層でも大容量だけの商品には胃もたれを感じることが多々あった。つまり、単にめんや具材の量を増やすだけのボリューム感では限界だったのだ。

そこで容量に頼るのでなく、味付けの工夫で食べごたえ感をつくり出すことにフレーバー開発のベクトルを合わせた。

「その発想から、従来の5倍のソースを練り込んだめんを開発し、ブラックペッパーを効かせた濃厚な味わいにしました」

めんの量が従来品より少なくても食べごたえを感じさせるため、従来品の5倍のソースをめんに練り込むことでコクのあるしっかりとした味付けにした。左の従来品に比べて右のJANJANのめんの色はかなり濃い

めんの量が従来品より少なくても食べごたえを感じさせるため、従来品の5倍のソースをめんに練り込むことでコクのあるしっかりとした味付けにした。左の従来品に比べて右のJANJANのめんの色はかなり濃い

めんの量が85gでもユーザーの食べごたえ感を満足させる。そのために大量のソースをめんに含ませることで、よりコクのあるしっかりとした味付けを実現した。従来品の5倍のソースを練り込んだめんは、従来品に比べてかなり濃い茶色に仕上がっている。それが量ではない新しい発想の食べごたえ感だった。

具材はフリーズドライのキャベツと鶏・豚の肉そぼろのみ。通常は野菜類、肉類に紅しょうがや青のりが具材として添付されるが、平たい四角形の容器と同様に青のりも女性にとってはネガティブ・イメージだ。歯に付着すれば、食後の歯ブラシのやっかいものになる。そのやっかいな青のりはあえて添付しない。ターゲット層の中でも重要な若い女性への心づかいなのだ。

年間100万ケースを売れたらヒット商品といわれるカップ焼そば市場に新しいヒット商品「JANJAN ソーズ焼そば」が誕生した

年間100万ケースを売れたらヒット商品といわれるカップ焼そば市場に新しいヒット商品「JANJAN ソーズ焼そば」が誕生した

2011年2月に発売されたJANJANの新しいフレーバー「JANJAN たらこ焼そば」。JANJANシリーズは人気商品へと成長しようとしている

2011年2月に発売されたJANJANの新しいフレーバー「JANJAN たらこ焼そば」。JANJANシリーズは人気商品へと成長しようとしている

2010年3月に発売した「JANJANソース焼そば」は、初年度の販売目標である140万ケース(1,700万食)を半年あまりで突破。年間100万ケースを売れたらヒット商品といわれるカップ焼そば市場に新しいヒット商品が誕生した。

そして11年2月には新しいフレーバーとして「JANJAN たらこ焼そば」を発売。JANJANシリーズは、エースコックのヒット商品「スーパーカップ 1.5倍」、「スープはるさめ」に続く人気商品へ成長しようとしている。

企業データ
エースコック株式会社
代表取締役社長 村岡 寛
大阪府吹田市江坂町1-12-40 紙谷新御堂ビル
TEL 06-6338-5585
掲載日:2011年8月 3日


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